MAYUMIさん 撮影/廣瀬靖士

「今までの髪型が似合わなくなった……」。それは顔のたるみや髪のツヤ、ボリュームがなくなったから。でも髪のアンチエイジングで、見た目はグッと若返るんです。予約のとれないNo.1レジェンド美容師・MAYUMIさんが、おうちでできる美髪メソッドを教えてくれました。

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 40代からじわじわと押し寄せてくる老化の波。顔のたるみ、髪のボリュームダウン、白髪やうねりなど、数えればキリがないほど。今までの髪型が合わなくなったと悩んでいる人も少なくありません。

「多くの人が美容師なら似合う髪型を見つけてくれると思いがちですが、それは大間違い。若い美容師が大人の髪悩みに共感することは難しいので、理想の美容師に出会えていないのであれば、自分自身で分析して、似合う髪型を探すことが大切です」とは、カリスマ美容師のMAYUMIさん。

 そこで今回は髪悩みをカバーしながら、自分自身で似合う髪型を見つける手がかりとなる“MAYUMI流・美髪メソッド”を紹介。「似合う髪型をつくるにはヘアカットが主軸。細部にいたるまで理論化されたMAYUMIカットは360度どこから見てもバランスのいい髪型になり、小顔に見せられます」

 似合う髪型を見つければ、本来の美しさが引き出せて自信が持てる。いま以上に美しい自分を手に入れよう!

Over40が知っておきたい7のこと

 40も半ばをすぎると今まで似合っていた髪型が急に似合わなくなったり、髪質の変化に戸惑ったり……。今の自分にいちばん似合う髪型を見つけだすためのヒントをご紹介

【1】若い子や若いころと同じ髪型はやめる

20代のころは丸顔や卵顔だった多くの日本女性も、加齢で頬の肉が重力に負け、エラの目立つ四角い顔へと変貌していく イラスト/中村奈々子

 若いころは引き締まっていた頬やあごのラインも、年を重ねると重力に負け、たるんでエラ張りが目立つようになってくる。今まで似合っていた髪型に違和感を覚えるようになったら、それは顔と髪型のサイズが合わなくなってきたサイン。

 ボーダーラインは40代~50代。40代前半までは比較的どんな髪型でも似合うけれど、それ以降は加齢によるコンプレックスや悩みをカバーし、今ある素材を最大限に美しく見せる髪型にチェンジして。

【2】MAYUMI流 美容院での3つの心得

1.足を組まずに姿勢を正す
 イスに座るとつい足を組んでしまう人は、要注意。足を組むと上半身が傾き、髪の左右の長さにズレが生じてしまうのでやめること。

2.施術中に雑誌を読まない 
 雑誌を渡されたとしても、施術中に読んでいてはダメ。下を向くと角度が変わりバランスが崩れるので、きちんと正面を見据えるべし。

3.店の看板美容師を指名する
 若い美容師が、大人の女性の髪悩みに寄り添うのは難しいのが現実。髪悩みの多い人ほど、キャリアのある経験豊富な美容師を選ぶこと。

【3】シャギーカットは痛みの原因に

 20年ほど前から日本でも多く取り入れられているシャギーカット。髪の表面をえぐるように削ぐため、髪の毛の断面が傷みツヤが失われ、きれいな卵型シルエットが作れなくなる。また、削がれすぎると髪が広がってしまうというデメリットも。

 1度削がれた髪は切り落とすしかなく、元の状態に戻すのに数年かかる。カットしてもらうときに「髪を削がれたくないので、シャギーはいれないでください」と伝え、自分の髪を守ること。

【4】MAYUMIカットの似合わせメゾットは卵形シルエット

 MAYUMIカットの似合わせ理論で、いちばんのポイントは“360度卵型シルエット”。顔の形と髪型をセットで考えてデザインし、前後左右どこから見ても立体感のある卵型シルエットに整えることで、小顔に見え、加齢によるたるみも目立たなくなる。

 また、他人からよく見られているのは、正面よりも正面以外の角度であることがほとんどなので、360度どの角度から見ても立体的なシルエットは、大人の女性を美しく印象づける絶対条件。

【5】年を重ねるほど曲線のあるスタイルに

ショートでも、ボブスタイルやふんわり曲線をいかしたフェミニンなボブレイヤーがオススメ。 イラスト/中村奈々子

 若いころはストレートヘアが似合っても、顔のたるみによりエラ張りが目立つようになると、ミスマッチに。まっすぐの縦ラインが強調され、老け顔に見せる。年を重ねれば重ねるほど、顔のたるみや髪のボリュームダウンをカバーしてくれる、パーマヘアがオススメ。

 ゆるやかな曲線の毛流れが、四角いフェイスラインを隠し、女性らしいイメージも与えてくれる。パーマは、ふんわり&ゆるくかけるのが今っぽく仕上げるコツ。

【6】小顔に見せるには前髪にヒケツが!

MAYUMIカットでは、図左(赤い部分)のように正面から見えるすべての髪を前髪ととらえてカット。図右のような一般的な前髪は、欧米人向けの前髪であり、横幅の広い日本人には前髪の範囲が狭すぎて合わない。 イラスト/中村奈々子

 MAYUMIカットのもうひとつのポイントが“前髪”。一般的なカットでは目尻から目尻を前髪としているのに対し、MAYUMIカットでは正面から見えるすべての髪を前髪としてカットするのが特徴。

 前髪の範囲をやや広げてつくることで、顔のたるみや顔まわりの薄毛をカバーしやすい小顔スタイルに。前髪のデザインは、下ろす、分ける、横に流してかきあげる、の3パターン。顔型に合わせて、卵型シルエットに補正して。

【7】MAYUMI流 似合う髪型を見つけるルール

1.身長
 160cm未満の人がロングにすると、頭が大きく見えてバランスが悪い。長くても背中のブラジャーの線より上のセミロングまでにするのがオススメ。

2.首の長さ
 なで肩の人は首が長く見えるので、ほとんどの髪型(ショート、ボブ、ミディアム、ロング)が似合う。いかり肩の人は首が短く見えるので、鎖骨より下のセミロングか、ロングにすると好バランス。

3.顔
 丸顔の人はショートが似合う。縦長シルエットのセミロングやロングも似合うけれど、丸顔を強調してしまうボブはイマイチ。どうしてもボブにしたいなら、縦長シルエットのボブにするのがベター。

 面長の人は縦のラインを緩和させるためにも、ボブやミディアムなどの、サイドにふわっとボリュームの出せるスタイルが似合う。ベース顔、四角顔の人は、前髪が口からあごの長さであればショートも似合うが、前髪が長く縦長シルエットが強調されるボブ、ミディアム、ロングが特にイチオシ。

4.目と目の間隔
 目と目の間が離れているタイプの人は、童顔に見えるので、大人っぽく見せたい場合は、前髪を流すなどして、ゆるやかなニュアンスをプラスするのがオススメ。

5.体形
 太めのタイプの人は、レイヤーを入れた縦長シルエットのスタイルですっきり見せると、全身のバランスがよくなりグッド。ボブは横幅が広く見えてしまうので、オススメしない。

6.ファッション
 コンサバ系の人は、フェミニン、エレガントなイメージを出すために、カールをきかせたり、前髪を流すことで、女性らしい優しさを感じさせるスタイルに。おしゃれに敏感なモード系の人は、個性的な前髪を作ったり、シャープなボブやアシンメトリーな髪型にしたり、ハイトーンカラーに挑戦したり、幅広いデザインのバリエーションを楽しんで。

加齢によるヘア悩みにズバッとお答え!

 40代以降のほとんどの女性が、加齢によるヘア悩みを抱えている。白髪やボリュームダウンといった代表的な悩みから、スタイリングやアレンジまでMAYUMI先生が解決!

Q.白髪が多いのでいっそグレイヘアにしようと思うのですが……

A.私は“アンチ・グレイヘア”です

「グレイヘアが流行(はや)っていますが、グレイヘアにするのであれば、覚悟を持ってケアを。お化粧をしっかりして、グレイヘアに似合うファッションに身を包まないと、“魔法使いのおばあさん”状態に!  それができないのであれば、ファッションカラーで白髪の目立ちにくい髪色にするのがベスト。白髪染めは1度使うとカラーチェンジが困難なので、ファッションカラーで白髪を隠しながら、顔映りのよいカラーを美容師に選んでもらいましょう」

Q.自分で上手にスタイリングをするコツは?

A.MAYUMI風ヘアドライの仕方を覚えて

「スタイリングがうまくできない人は、表面だけなんとなく乾かしていたり、ヘアドライの仕方に問題があることが多いです。まずは頭皮と髪の根元から乾かすことで、髪がまっすぐ立ち上がり、ふんわりボリュームが出ます。

 ショートの場合、えり足は頭に沿うように乾かして。根元が乾いたら、前後左右の面を斜め45度から手グシでとかしながらドライヤーで乾かします。まっすぐ当てて乾かすよりも毛先がハネにくく、キューティクルも整いツヤやかな髪に仕上がります

Q.大人に似合うまとめ髪を教えてください

A.アシンメトリーな内巻きシニヨンに

「顔のたるみが隠せるのでダウンスタイルを推奨していますが、あえてするなら、アシンメトリーな内巻きシニヨンがオススメ。耳上にボリュームを持たせながらアシンメトリーにまとめることで、顔の歪みをカモフラージュしつつ、艶っぽい表情に見せることができます

 ポニーテールなどのひっつめ髪は、顔がむき出しになり、頬やあごのたるみが余計に目立つのでNG。まとめ髪をほどけば、グラマラスな内巻きスタイルも楽しめます」

Q.髪がぺしゃんこになってしまいます……

A.朝シャン&ブロードライヤーの合わせワザがオススメ!

「私のオススメは朝にシャンプーをし、根元をふわっと立ち上げるブロードライヤーを使うテクニック。髪の細い人や、もともと毛量が少ない人でも、根元からふんわりとボリュームを出すことができます。

 夜のシャンプーは、寝ているときに頭の重みで根元がつぶれてしまい寝グセの原因になることも。根元が立ち上がらなくなってきた人は、夜シャンプーから朝シャンプーに変えてみるのもひとつの手です」

  髪の根元にブラシをしっかりと絡ませ、回転させながら上に引き上げるだけで、根元にふんわりとした立ち上がりをつけられるとのこと。

МAYUМIさんのきれいのヒミツに迫る!

美髪のヒケツは頭皮への刺激と朝晩の育毛ケア

 若々しいハリ・コシのある髪をキープするには、健康的な頭皮が必要不可欠。MAYUMIさんは毎日、朝晩2回の育毛剤ケアで頭皮に栄養を補給。「育毛剤はいわば頭皮の美容液。シャンプーと同じで、なるべく高価で質のいいものを使います」

 また、ちょっとした空き時間には、肩まわしや頭皮マッサージを。「頭皮のこりは細毛や抜け毛の原因に。頭皮がこり固まっている人は、セルフマッサージで頭皮をほぐす習慣をつけましょう」

月に1回のスペシャルケア“頭皮パック”で見た目も若返る!

 MAYUMIさんの頭皮の色は、赤ちゃんのように青白く透き通っている。その健康な頭皮を保つヒミツのひとつが、MAYUMIさんの美容室・MISS ESSENCEの最新の頭皮パック。

「毎日シャンプーをしていても落としきれない汚れが毛穴にたまります。歯の歯垢と同じで、定期的なケアで除去することが大切。頭皮パックで毛穴の汚れを取り除くと、頭皮の毛穴が引き締まり、髪が立ち上がりやすくなるだけでなく、フェイスラインまでキュッと引き締まります

シャンプーやトリートメントの効果は値段に比例する!

 “ヘアケア剤の価格と質は比例する”というのがMAYUMIさんの持論。スキンケアと比べると、ヘアケアは研究が遅れているため、質を求めるとどうしても価格が高くなってしまう。

「安価なものには、髪や頭皮を傷める成分が入っていることがほとんど。けれど、美容業界の人でない限り、成分を見極めるのは困難なので、価格で判断するのが賢明。シャンプーには5000円くらいはかけてもらいたいと思います

スタイリング剤はスキンケアと同じ感覚で選ぶ

 ふだん何気なく使っているスタイリング剤。ベタつきを感じるものはすべて、石油系オイルを使っている証拠で、髪や頭皮を傷める成分が入っていると考えてほぼ間違いない。そのため、スタイリング剤も髪や頭皮を傷めないものをセレクトすることが大切。

「せっかくシャンプーにこだわっても、スタイリング剤で傷めてしまったら台無し。“MAYUMI MAGIC”(MISS ESSENSEで販売中)は、化粧品と同じ成分でつくられているので安心です」

(取材・文/鈴木恵理子) 

MAYUMI
10年連続1億円以上売り上げるレジェンドNo.1美容師。美容室ミスエッセンス代表。名古屋と東京・青山の2拠点でサロンワークを行う。長年研究を重ねた結果「MAYUMIカット」を発案。日本全国でセミナー講習活動を精力的に行い、現在までに教え子は累計1万人。近著に『加齢を華麗に変える!MAYUMI美髪メソッド』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、『MISSESSENCE MAYUMI 人生を楽しむお洒落のコツ』(宝島社)がある。HP http://www.miss-essence.co.jp/