佐伯チズ

「私はみなさんに訴え続けてきました。自分を大切に、自分らしくなるのよ……」

 切々と絞り出すように訴えるのは、佐伯チズ。自身のブログに動画でメッセージを投稿し、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患したことを公表したのだ。

「ごめんなさい……(自分らしくと)言ってきた人間がこんなことになってしまって」

 涙を抑えながら語る言葉に、胸が苦しくなる……。

 “美肌のカリスマ”と呼ばれた佐伯が、車イスでの闘病生活を余儀なくされている。昨年末から右足が動かなくなったという。佐伯の会社である『チズコーポレーション』の執行役員が現状を話す。

今は病院と自宅を行ったり来たりですね。病院ではALSの進行を遅らせる対症療法を行っています。でも、私たちの前では弱音を吐いたり、悲観的になったりしません。常に“佐伯チズ”でいようとしているのだなと感じています。佐伯は“夢は薬、諦めは毒と、私が常日ごろ言っている言葉なのだから、キチンと病気と向き合わなければ嘘になるわね”と話し、前向きに治療に取り組んでいます

後継者のマネージャーに裏切られ

 佐伯は'03年にクリスチャン・ディオールを定年退職して独立。エステサロンを開業し、テレビのコメンテーターとしても活躍した。

「佐伯先生は明るく前向きなオーラがある人でした。よく“美しさは内面から”と話しており、あるタレントさんについて“美人だけども、性格の悪さや欲深さが顔に表れている!”と話していたこともありました」(美容ライター)

 サロンは常に300人待ちになるほどの人気で、出す本はベストセラー。順風満帆な人生だが、悲運が襲う。

佐伯さんはご主人を早くにがんで亡くしています。ご主人のことを本当に愛されていて、亡くなったときはそうとうな落ち込みようでした。でも“仕事があるから立ち直れた”とも話しています。しかし、数年前に後継者と考えていた女性マネージャーに裏切られ、会社を奪われ、多額の資産も失ってしまったのです」(同・美容ライター)

 夫の死と側近の裏切り。受難が続くが、何度も立ち上がってきた佐伯。今度は難病を発症し、“生きがい”である仕事も奪われそうに。だが “もしも”に向けて準備を始めていた。2年前に佐伯は会社の代表を退き、甥を後継者として、養子縁組をしていた。

佐伯は残念ながら子宝に恵まれませんでした。だからこそ、自身の甥を息子同然にかわいがっていました。独立した当初から甥は佐伯の仕事に携わっておりますから、長年の信頼から会社の代表に選び、養子としても迎えたのです」(前出・執行役員)

 佐伯が住むマンションでは、

数年前まで弟さんと一緒に住んでいたんです。“姉ちゃんがいてくれって言うんだよ”って話したことがあります。姉弟でお互いを信頼していたんでしょうね」(同じマンションの住人)

 頼りにしていた弟の息子に “佐伯ブランド”を継がせることを選んだ。もちろん自身も美の追求をやめるつもりはないようで、今後も可能な限り活動を続けていくという。

諦めません。負けません。頑張ります

 動画で自らを励ますように発した言葉には、強い意志と決意が込められていた。