2013年5月30日、志村けん一座第8回公演『志村魂』のインタビューで 撮影/廣瀬靖士

 お笑い界のスター・志村けんさんが3月29日の午後11時過ぎ、新型コロナウイルスによる肺炎のため、他界した。お茶の間に活気を与え続けた志村さんの訃報を受け、日本全国からはもちろん、世界じゅうから悼む声が届いている。

 志村けんさんといえば、『8時だョ! 全員集合』や『ドリフ大爆笑』、『志村けんのバカ殿様』『天才! 志村どうぶつ園』など代表作となるテレビ番組がいくつもあるが、舞台活動も精力的に行っていた。特に、2006年から'19年まで毎年、主催及び主演を務めた舞台『志村魂』では、おなじみ“バカ殿コント”から津軽三味線の演奏、芝居『先ず健康』など、盛りだくさんの内容で会場を沸き立たせた。

 志村さんと師弟関係にあり、『志村魂』の中心メンバーとして15年以上、ともに作品づくりをしてきたのが、お笑いトリオ・ダチョウ倶楽部の上島竜兵、肥後克広、寺門ジモンの3人だ。週刊女性では、第8回公演が行われた'13年、すでに確固たる信頼関係を築きあげていた4人を迎えての座談会を決行。気の置けない仲だからこその“ぶっちゃけトーク”がいくつも飛び出した。お笑い、そして仲間への愛あふれる言動の数々を、志村さんを偲ぶ気持ちとともに今こそ、振り返りたい。

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※以下の内容は'13年6月に発行された『週刊女性』の記事を再編集したものです。

バカ殿の白塗り姿でダチョウ倶楽部を“ガン見”

──ダチョウ倶楽部さんが『志村 けんのバカ殿様』のレギュラー出演になって12年目になりますが、 もともとのきっかけは?

上島 僕が師匠(志村)の財布に目をつけはじめてからそんなになりますか(笑)! きっかけは、 師匠と一緒に酒を飲んでるときに 「おまえら最近コントやってないだろ? 『バカ殿』に呼んでやるよ」って声をかけてくださったこと。でも、酒の席だから社交辞令だと思ったんですよ。そしたら1 週間くらいたってマネジャーが 「『バカ殿』決まりました!」って。 まるで自分の手柄みたいに持って きたのを覚えてますよ(笑い)。

志村 3人がコントをやってるのをあまり見ないなぁと思って、声かけたんだよ。

上島 でも初めて会ったときに言われたもんだから! 冗談だと思ってたんです!

──前から注目されていたんですか?

志村 いや、注目はしてなかったけどね(笑)。

寺門 ちょっと師匠(笑)!  初めて出させていただいたときはすごい緊張しましたね〜。師匠が、 自分が出てないシーンでもカメラ位置で見てたりして。

上島 普通の格好ならいいけど、 バカ殿の白塗り姿で!

志村 スタッフばっかりだったから、和ませるつもりだったんだけどな(笑)。緊張してるのは伝わってたよ。でも、スタッフが音出しのタイミング間違えたりしてな。

肥後 あ~、そうだそうだ。僕らより師匠のほうが覚えてる。

上島 収録が終わったあと、師匠がスタッフの方たちを怒ってくれましたよね。「やるやつの気持ちも考えろ!」って。自分たちが怒られるのもつらいけど、自分たちのせいで人が怒られてるのもつらかったなぁ......(笑)。

思い出話に花を咲かせる『志村魂』の4人 撮影/廣瀬靖士

上島竜兵、セリフをポーン!

──舞台『志村魂』の副題に『先づ健康』とありますが、健康法は?

志村 酒ですね。

寺門 いやー、師匠ほど体力ある人はいないと思いますよ! 着替えとかも含めて、公演中はずっと動きっぱなしだから。

上島 公演が始まって、終わったころには5歳くらい老けたように見えますけどね (笑)。

志村 終わって風呂入るときなんか、じいさんだもんな(笑)。

──舞台となると、ハプニングも起こったり?

志村 覚えてるのは、竜ちゃん(上島)がセリフをポーンと飛ばしちゃったことかな。名古屋だったよな? 普段は拍手がないのに、登場したら拍手があったもんで舞い上がってセリフ飛ばして(笑)。

上島 まさかの拍手だったんで舞い上がっちゃって(笑)。

寺門 俺は、刀がサヤに入らなくて笑われたことがあったなあ。

肥後 大事なシーンでドアがはずれちゃって、みんなで必死に押さえたり。

上島 師匠の大きい失敗とかはないですよね。

気心知れた仲間との対談に笑顔を見せる志村けんさん 撮影/廣瀬靖士

いつまでたっても師匠が舞台に現れない!?

──舞台の魅力とは?

志村 お客さんの反応がすべてですよね。スタジオでやってたってテレビの前ではどんなふうに見られてるのかわからないし、拍手とか笑い声が起こると素直にうれしいんですよ。年齢層の広いお客さんが、同時に笑ってくれることほど気持ちいいもんはないしね。

肥後 終わって客電(観客席側の照明)がついたときは、見てくれていた人の多さに毎回すごいなって感動しますし。

寺門 面白いものを見たい! っていうお客さんの気持ちもすごく伝わってくるし、その熱量も、この舞台だからこそなんだと思いますよ。

上島 あ、1個思い出した! 師匠の大きな失敗! 1回(舞台に)出てこないことがありましたよね?

志村 それずっと考えてたのかよ(笑)。着替えて、出る準備はできてたんだけど、合図の音が聞こえなくてさ。

上島 あのときは、舞台の上でみんな目を合わせて“倒れた!?”って焦ってましたから(笑)!

肥後 あとで、そろーっと出てきたんだったよね(笑)

寺門 こんな話をしてたらドキドキしてきた! 僕たちにとって、夏は『志村魂』っていう思いが強いですから。

志村 毎回、真剣勝負。気を引き締めていこう。