塩野瑛久 撮影/高梨俊浩

 “カメレオン俳優”“キケンなイケメン”と話題になっている塩野瑛久(25)。先日は、初めて表紙を飾った雑誌が完売と、大ブレイクを予感させる若手俳優のひとりと注目を集めている。

“S”系イケメンの素顔

 画面やスクリーン越しでもそうだが、目の前にいる塩野のふとした表情から色気を感じる。そう本人に伝えると、

ふふふふふ。たぶん、ヘアメイクさんとスタイリストさんのおかげです

 と、照れる。公開中の映画『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』では、伝説の王子・奏(片寄涼太)の幼いころからの理解者でありながら、奏と“伝説”の称号をめぐってバトルを繰り広げるホスト=貴族のドリー(白濱亜嵐)側に寝返る誠一郎を演じている。

「ぶっ飛んだ設定の映画の中で、物語を担う役割をさせていただいています。ドラマから見てくださっている方はわかるかもしれませんが、あるきっかけがあって誠一郎は奏から離れていきます。フラフラになって歩いているところをドリーに助けられる。

 ドリーにお姫様抱っこされるシーンの前にカットされてしまった場面があるんです。誠一郎がドリーの車が来るのを待ち構えている、あのシーンは入れてほしかったですね

 作品を見た人なら“なるほど!”と思うはず。男性にお姫様抱っこされている塩野の姿に驚いたが、実は2度目。

映画『HiGH&LOW THE WORST』でも、小柳心くんが演じる仁川にアドリブでお姫様抱っこしてもらったんです。残念ながら、完成した作品では使われなかったんですけど。抱っこされる側にもコツがあって。大事なのは、相手の首に腕をしっかり回すこと。そうすると、する側はだいぶ楽になります(笑)

 知識豊富なメガネ王子の誠一郎をはじめ、塩野が演じるキャラクターは女性の心をくすぐるものばかり。例えば、先日放送が終わったばかりのドラマ『来世ではちゃんとします』でのSM好きでドSな高スペック会社員Aくんや、反響を呼んだ映画『HiGH&LOW THE WORST』で演じたブルーのサングラスに金髪ハーフアップの冷静な策士・小田島。

姉ふたりに母親っていう女系家族で育ったので、女性の心理が少しわかる気がします。少女漫画に出てくる男の子に憧れたときもあって。“いたらいいな”というキャラを映像を通してなら体現できる

 それでも、小田島は意外でした。試写会で映画を見た帰り道、マネージャーに“頑張ったけど(出演者の)人数多いから、そんなに目立たなかったよね”って話していたので。『来世では~』のAくんは同じ事務所の小芝風花ちゃんがすごく褒めてくれて。ほかの俳優さんもそうだと思いますが、作品ごとに芝居の傾向を変えています。Aくんはわりと自分に近いというか、自然に仕上げていますね

 それでは、ご本人もAくんのようにSっ気が?

「そういう印象を持たれますよね(苦笑)。たしかに、Mではないかもしれない。小学生のころにいじめられているのか、いじられているのか曖昧だなと感じる経験をしたせいか、わかりにくい人のそばにはいたくないなというのはあります。中学時代から本音で話し合える人と付き合ってきたので、ぶつかることなく仲を深めていくのは難しいんじゃないかな」

 その思いは、素敵だなと思う女性にも共通していて、

あまり周りに流されることのない意志が強い人が好き。すごく性格悪そうなこと言いますけど……、口説いた途端にすぐについてくるような人には興味がないかもしれません(笑)。もちろん、何回も砕けたことはありますよ。砕けた末にうまくいったことも。中学生の恋愛でしたけど(笑)。

 最近は、引っ越した先がすごく快適で充実しているせいか、恋愛したいっていう感情がなくて。女性にモテたい気持ちはあるし、男性から評価されるとうれしいですけど

 芸能界に入るきっかけは、自宅のクレープ屋さんを手伝っているときに周囲から「応募してみれば」と言われた'11年の『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』。審査員特別賞とAOKI賞をダブル受賞し、翌年のドラマ『GTO』で俳優デビュー。もともと役者を志してコンテストに挑戦したわけではなかった。

『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』での初々しい笑顔。ステージパフォーマンスではクレープを焼いた塩野瑛久

「僕、テニス、サッカー、野球をやっていたことがあるんです。でも、テレビ観戦は一切したことがなかった。たぶん、見るよりも自分がやるほうが好きなんだと思います。ただ、この仕事と出会って、ハッと気づいたんです。見るのも、やるのも好きだなって。俳優としての明確な目標はあるんですけど……。最終的なことを言えば、惜しまれながら死にたい(笑)。

 いちばん近いところだと、普通の高校生を演じてみたいです。やったことがないんですよ。『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』は、ちょっと違いますよね(笑)。純粋な恋愛作品に挑戦してみたいです。読者の方がズッキュン、ズッキュンくるようなものに」

塩野のプライベート話

 小さいころから「かわいい」と言われてきた?

 全然、そんなことないです。でも、女の子に間違えられたことはあったみたい。それは、姉に女の子のように髪を結ばれたりしていたからかも。僕、ひとまわりほど年の離れた姉がふたりいるんです。次女によくいじられて。次女が保育園にいる僕を迎えに来ると、すごく嫌がって泣きわめいていたらしいです(笑)。今では、次女の悩み相談に乗るくらい成長しました。

 最近の息抜きやリフレッシュ方法は?

 甘いもの食べたり、散歩したりですかね。最近は、おじいちゃんみたいな感じです(笑)。トイプードルを飼っていて、公園のドッグランで走らせるんです。走らせている横で僕は少年たちの野球を見ながら、いいプレーに“ナイスピッチ!”とかって声をかけたりして(笑)。隣に同じように少年野球を見ているおじいちゃんがいることもあります。飼っているトイプードルの黒蜜は、もう5歳くらい。犬がいるので「早く家に帰りたい」って、ホームシックになりがちです。

映画『貴族降臨-PRINCEOFLEGEND-』公開中
(C)2020「PRINCEOFLEGEND」製作委員会
PROFILE
●しおの あきひさ●1995年1月3日生まれ。男劇団 青山表参道Xのメンバーで副リーダー。'13年の『獣電戦隊キョウリュウジャー』のキョウリュウグリーンを経て、昨年は映画『PRINCE OF LEGEND』や『HiGH&LOW THE WORST』、6月から舞台化されるドラマ『Re:フォロワー』などに出演。振り切ったキャラにハマる人が続出中。