小池知事の会見後4月2日の歌舞伎町。通りを歩く人の姿はまったくなかった

「感染経路が不明な症例のうち夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブ、酒場など、接客を伴います飲食業の場で感染したと疑われる事例が多発しています」

 3月30日、小池百合子都知事は新型コロナウイルスについての会見を開いた。どうやら彼女が指摘する夜の飲食店は、“3つの密”が重なる場所のようだ。

このままじゃ破産よ!!

「換気の悪い密閉空間、多くの人が密集する場所、近距離での密接した会話。これらの条件が重なると集団感染が発生するリスクが高いということで、小池知事はそういった店に行くことへの自粛を要請しました」(一般紙記者)

 この会見によって、都内の繁華街では臨時休業する飲食店が続出することに。

「接客するとなると、お客さまの隣に座って会話もしますし、手を握られるといった接触だってします。今回の都知事の発言で、うちは4月中旬までお店を閉める予定です」(銀座のクラブママ)

 都知事による要請は、あくまで“営業の自粛”であり、休業命令ではない。そのため“3つの密”への対策を取りながら、営業を続ける店も少なくない。

「うちは店内を常に換気したり、席数を減らしてお客さまが密接しないようにするなどの対策をして店を開けているわ」

 こう語る新宿二丁目のゲイバー店主は、自粛による減収に頭を悩ませているという。

「売り上げは普段に比べて7割から8割減。従業員の減った給料は、満額は無理だけど補償もしなきゃ……。でも、このままじゃ破産よ!!」(同・ゲイバー店主)

小池知事の会見後4月2日の歌舞伎町。通りを歩く人の姿はまったくなかった

感染経路が不明確になる

 国外では休業した飲食店への補償策が出されているが、日本は現状、明確な保障は示されていない。このような状況を受けて“自主営業”を始める女性たちもいる。

「働いているキャバクラが営業自粛で出勤が少なくなっちゃって……。ぜんぜん稼げないから、常連さんに連絡して一緒にご飯食べたり遊んだりしてお金をもらっている子もいます。常連さんも普段より安く女の子と飲めて楽しんでますよ」(新宿のキャバクラ店で働く女性)

 このような行為が感染拡大につながるおそれがあると語るのは、繁華街事情に詳しいジャーナリストの渋井哲也氏だ。

「キャバクラなどの接客を伴う飲食店には、営業の前後にお客と食事や買い物をする “同伴”や “アフター”といったサービスがありますから、店以外で会うことは自然です。しかしこの時期、毎日のように“3つの密”を満たすような場所に不用意に外出していれば感染するリスクは高いでしょう

 また、店以外での接触は感染経路が不明確になるおそれもはらんでいる。

「お店自体が休業してしまったら店側は女性たちのプライベートの動きを把握しきれませんからね。今回の自粛要請で給料が減ってしまったキャバ嬢が生活のために個人の営業を続けることで、知らない間にウイルスの感染源になっている可能性は十分にあると思います」(渋井氏)

 ただでさえ感染経路の特定が難しいといわれる夜の街。これ以上コロナウイルスの魔の手を広げないためには、できるだけおとなしく自宅にいるべきなのだが……。