3月31日、仙洞仮御所に入る上皇ご夫妻。美智子さまは布マスクをつけられていた

 新型コロナとの闘いで深刻なマスク不足が続く今、布マスクが注目されています。作り方からお手入れ法まで、暮らし方アドバイザーの野沢恭恵さんにお話を伺いました。

美智子さまは繰り返し使える「布マスク派」

 終息の兆しどころか、長期戦必至のコロナ問題。マスク不足は相変わらず深刻ですよね。「増産している」とはいうものの、薬局の棚はいつもスカスカ。入荷を待つ長蛇の列を見かけると、感染リスクはないのだろうかと複雑な気持ちになります。マスク不足はしばらく続くようで、政府もついに繰り返し使える布マスクの配布を決めました。

 そんななかで、美智子さまが布マスクを使われているという記事を読み、とてもうれしくなりました。お代替わりに伴う転居のため、長くお住まいになられていた皇居の品々の整理をしていたとき、美智子さまは埃よけのために布マスクを着用されていたというのです。どうやら、以前からの習慣のようで、使い捨てではなく、布製のものを洗って、繰り返し使っていらっしゃるとのこと。

 数年前に、現在の上皇陛下がインフルエンザの診断を受けた際もマスク姿で看病されたとのことですから、それもきっと布マスクだったのではないでしょうか。

 かつて、マスクといえば布マスクでした。たしかに、布マスクの感染防止効果には否定的な意見もあります。使い捨てではないことで、衛生的に保てるかどうかも気になります。

 とはいえ、使い捨てマスクが手に入らない以上、しないよりはずっといい。咳やくしゃみの飛沫を自分から飛ばさない。また、ウイルスのついた手で顔を無意識に触れることで高まるといわれている感染リスクも防げます。洗って繰り返し使えるのでマスクが足りなくなる心配もありません。実際、厚生労働省も布マスクの使用を推奨し、現場の医師たちも「完璧ではなくても防護壁にはなる」と肯定的です。

 医療関係者はもちろん、風邪や花粉症の人など、マスクが必要な人たちはたくさんいます。その人たちに生産されたマスクが行き渡るようにするためにも、症状がないのであれば、布マスクの使用を心がけてみませんか。

 美智子さまに思いやりと心遣いを学び、実践していきましょう。

布マスクは意外と簡単に自作できる!

「マスクといえば使い捨て」が当たり前になったのは、思えばごく最近のこと。

 便利なものに慣れてしまうと、それがいつしか当たり前になり、手に入らなくなるとイライラしたり、パニックになったり……。でも、ちょっと時間をさかのぼれば、どこの家庭でもマスクを自作していたのです。

「自分で作るのは大変そう」という声も聞こえてきますが、実は意外と簡単です。ミシンでも、手縫いでも、どちらでもOK。小さなものですから、思いのほかササッと完成します。

 今回のマスク不足が起きたとき、私の周囲のハンドメイド仲間は、すぐに布マスク作りを始めました。作ったものをママ友に配ったり、作り方を教えたり。そんなふうに生まれた布マスクが、手作りマーケットの「minne」やフリマサイトの「メルカリ」でも販売されています。もし自分で作れないなら、それらのハンドメイド品を購入する手もあります。手芸屋さんでは、マスクの材料セットも販売されていて、これも手軽。

 自分に合う方法で、布マスク生活、始めてみてください。

プリーツタイプの布マスクを作ってみよう!

 では、実際に布マスクを作ってみましょう。作るのはプリーツタイプのシンプルなマスク。見た目は紙マスクそっくりで、男性でも違和感なくつけられます。型紙もいりません。ミシンを使うと早いのですが、それが無理なら手縫いでも。100均で売っている携帯用の裁縫セットで十分に作れます。

 適している布はガーゼやダブルガーゼといわれるものですが、最近は売り切れが多いようですから、シーチングやブロードといわれる薄手の綿や、さらしでもOK。

 もっと手軽なのは、さらしでできた日本手ぬぐいや、ハンカチを利用すること。探せば家のどこかにありそうですよね。100均や薬局を探したら、ガーゼはどこも売り切れでしたが「三角巾」を発見! 腕を骨折したとき使うものですが、さらしでできていますから布として使うことができます。

 マスクゴムも手に入りにくいので、いちばん細い手芸用のゴムで代用を。これも売ってない場合は、古いTシャツをひも状に切って利用しても◎。ヘア用の丸ゴムは、長時間だと耳が痛くなり、向きません。

 市販のマスクに入っているノーズワイヤ。布マスクでも再現できます

2枚の布を縫い合わせたとき、片方だけ縫い目から5mmのところ(点線)を縫ってワイヤの通り道を作ります。脇からワイヤを中央の位置まで入れたら、あとの作り方は一緒。

 ワイヤは市販のマスクのものや、食パンや焼きそばの包装についているワイヤを再利用すればOK。

 材料が用意できたら、あとは作り方のとおりに縫っていくだけ。

 慣れたら30分もあれば完成します。

プリーツタイプの布マスク、できあがりサイズは縦約10cm×横約15cm

 子どもがわずらわしがってマスクをつけてくれない、というときは、可愛いキャラクターや好きなモチーフの柄布で作って、気をひいてみて。布選びから一緒にしたり、マスク作りをお手伝いしてもらうと、その気になってつけてくれるかもしれません。

材料
●布…約50×約25cm/1枚
ガーゼ、さらし、ブロードなど、薄手の綿がよい
●マスクゴム…約50〜60cm
手に入らなければ細い手芸用ゴム
●縫い糸

安全に使うためのお洗濯マニュアル

 布マスクは繰り返し使えるメリットがありますが、それとて衛生的に保ってこそ。マスクの外側についたウイルス類は洗わないと落とせないので、1日使ったら必ず洗濯が必要。私自身は、お風呂に入ったときに、その日に使った1枚をちゃちゃっと手洗いすることを習慣にしています。

 この機会に正しい洗濯の仕方を調べてみたところ、経済産業省のホームページで、動画でていねいに紹介されていました。特別な洗剤やテクニックは必要ありませんが、ポイントは型崩れや繊維の傷みを防ぐため、もみ洗いや乾燥機を避けること。衛生的に心配なときは、塩素系漂白剤を使うこと。漂白するのであれば、脱色の心配がない白い布マスクは理にかなっているといえそうです。

 1人2枚作って毎日洗濯を習慣にすれば、ベストなサイクルで使い続けられます。

 今はまだ終息の兆しは見えませんが、できる知恵と工夫で乗り切りたいものですね。

■1日使ったら必ず洗う! 漂白すれば衛生面でも安心

用意するもの
●衣料用洗剤
●塩素系漂白剤
●ゴム手袋
●タオル
●たらい

(1)おけに水を用意し、衣料用洗剤を規定量どおり入れ溶かしたら、洗剤液の中にマスクを10分浸す。その後、軽く押し洗い。繊維を傷めるので、もみ洗いはしない。

(1)おけに水を用意し、衣料用洗剤を規定量どおり入れ溶かしたら、洗剤液の中にマスクを10分浸す。その後、軽く押し洗い。繊維を傷めるので、もみ洗いはしない。

(2)洗剤液を1度流したら、たっぷりの水で洗剤分が残らないように十分すすぐ。

(2)洗剤液を1度流したら、たっぷりの水で洗剤分が残らないように十分すすぐ。

(3)手のひらにとって押し、水けをきる。

(3)手のひらにとって押し、水けをきる。

(4)汚れが気になる場合は、漂白液(水1リットルに塩素系漂白剤15ミリリットル)を入れ、10分浸す。この際、ゴム手袋の使用を。2回ほど水をかえて十分すすぐ。

(4)汚れが気になる場合は、漂白液(水1リットルに塩素系漂白剤15ミリリットル)を入れ、10分浸す。この際、ゴム手袋の使用を。2回ほど水をかえて十分すすぐ。

(5)清潔なタオルにマスクをのせてはさみ、軽くたたいて水けをきる。

(5)清潔なタオルにマスクをのせてはさみ、軽くたたいて水けをきる。

(6)清潔な手で左右を持ってパンパンと軽く引っぱると、プリーツがきれいに出て形が整う。ゴムがのびるので、本体を洗濯ばさみではさみ、陰干しに。

(6)清潔な手で左右を持ってパンパンと軽く引っぱると、プリーツがきれいに出て形が整う。ゴムがのびるので、本体を洗濯ばさみではさみ、陰干しに。

目指せ、ナチュラルマスク美人!

 いつもマスクをしていると、顔がほとんど隠れてしまうので、メイクをどうしたものかと悩みます。そこで、ヘアメイクの増田貴久さん(ブリリアント)に伺ってみたところ、

「ほとんどがマスクで隠れてしまって見えるのは目だけ。必然的にアイメイクがポイントにはなるのですが、だからといってアイラインやマスカラで頑張りすぎるのはかえって不自然。マスク姿の清潔感とギャップがあって、浮いてしまいます」

 やるなら、アイシャドーで濃淡をつける、ちょっと太めのナチュラル眉で整えるくらいがベストバランスだそう。

「口紅はどうしてもマスクですれて落ちやすいので、色が落ちないことをうたっているリップクリームなどがおすすめです」


お話を伺ったのは…
暮らし方アドバイザー 野沢恭恵さん
生活実用の分野で書籍、雑誌の編集に携わったのち、家事、整理収納、料理、ハンドメイドなどの企画編集、アドバイスなどを中心に活動。ホームソーイング講師の資格も持つ。