スポーツ紙・週刊誌のコロナウイルスのあおりを受けて──

 各方面に計り知れない影響を及ぼしている新型コロナウイルスは芸能界にも確実に暗い影を落としている。タレントのみならず、テレビ局員にも感染者が出始めて、NHKは大河ドラマや朝ドラの撮影を一時中止した。TBSやテレビ東京など、局によっては番組の制作を中止しているところも。すでに経済的に困窮している人たちが出てきているのはいうまでもない。

テレビ番組の制作会社のなかには個人でやっていたり、社長とディレクター1人ずつというところもあったり、ひとつの番組しか請け負っていない会社もあるので収録がなくなるというのはとにかく痛手。小さいところは破綻してしまいます。

 加えて、芸能事務所も大変です。テレビ局やラジオ局などに出向く営業ができなくなり、電話営業になってしまっているところも多い。特に大手ではない個人事務所や“特定のタレントだけが稼いでいる”ような中小規模の事務所も、冗談ではなく、倒産するところが出てくるでしょうね」(テレビ局プロデューサー)

「出荷部数を絞ってくれ」

 だが、芸能界がダウンすることで、その余波を被るところがほかにもある。雑誌やスポーツ紙などを発行する媒体社だ。

スポーツ紙は“スポーツ新聞”と銘打っているが、スポーツだけを扱っているわけではありません。芸能情報のほかに、夜の街の情報なども載せています。メインのスポーツネタは開幕自体が延期となっているうえに、選手などには感染予防の観点で取材してはいけないことになっています。もう書くことがない状態です。なので、今はもっぱらウェブ媒体のほうに記事を投稿していますね。テレビでのタレントの発言を注視したりだとか、SNSを巡回したりして、どうにかやりくりしていますよ」(スポーツ紙記者)

 前出の記者によると、このままでは紙面を縮小するか、最悪の場合、発行できなくなるかもしれない可能性もあるという。スポーツ紙のひっ迫した状況に比べ、雑誌はまだ余裕なのかと思いきや……。

 4月8日にも「社員に感染の疑いがある」として、集英社が『週刊少年ジャンプ』の発売延期が発表されたばかり。

「雑誌の中でも特に週刊誌は厳しいですね。いまや多くの一般週刊誌が芸能ニュースを扱っています。芸能記事がなくなれば誌面構成が難しくなる一方で、ページ数を急には減らすことはできない。つまり、内容が薄くなり、売れ行きが悪化する可能性も大いにあります。その対策のひとつとして、“合併号”というかたちをとって発行点数を減らすことを決定した媒体もあると聞きます。

 “3密”を満たすような記者会見などイベントも中止になっているので、住所を把握している芸能人の自宅をあてもなく張り込んだりする媒体が多いですね。外を出歩けないので、芸能人カップルも絶対に“家のなかで会う”はずなのでチャンスといえば、チャンスかと」(週刊誌記者) 

 しかし、悠長に構えていられるわけもない。政府の要請により“不要不急の外出を避ける”とのことであれば、書店経営も立ち行かなくなるわけで、

大手取次トーハンによると、新型コロナの影響で同社と取引している250店ほどの書店がすでに休業しているそうです。ショッピングモールなどに入っている書店は、モール自体が食料品売り場以外を閉めるので営業できないケースも。ある大手チェーン書店は3割ほど配本を絞ってほしいと版元に依頼したという話もあります。短期的な部数減は確定したといってもいいでしょう」(出版業界関係者) 

 さらに、印刷所の関係者が新型コロナにかかったとなると、最悪の場合「刷れなくなってしまうかも」という瀬戸際に立たされている。終息はいつになるやら──。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。