『ヒルナンデス!』公式HPより

《今日から華丸大吉さん、スタジオの外からリモート出演でご参加いただきます》

 4月8日放送のNHK『あさイチ』で、スタジオ内の近江友里恵アナから紹介されたのは、別室からもリモート出演となったメインMCの博多華丸・大吉。

 また、同日のフジテレビ系『とくダネ!』では、こちらもメインMCの小倉智昭が、

《私自身がリスクのある高齢者ということで、なるべく大勢の人と接触しないように、自分の書斎からしばらくの間、お届けすることになりますのをお許しください》

 と、同局に来ることなく、自宅からの「テレワーク」を選択したのだった。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け、番組を制作するテレビ局も対応を求められている。中でも、生放送される情報番組やワイドショーは特に、感染防止対策に気を使わなければならないようだ。

「コロナの脅威を連日伝えているのに、出演者が“濃厚接触”していては説得力など皆無。感染を防ぐことはもちろんですが、視聴者からクレームが寄せられかねないので、スタジオ内の人員を極力減らして、出演者も距離をとりつつ、可能ならばリモート出演をお願いしているという状況です。
 
 また、『森三中』の黒沢かずこや『たんぽぽ』の白鳥久美子ら、一見、夜遊びとは無縁にも思えるタレントにも感染が広がってきています。経路は不明とのことですが、これはスタジオやロケなどでクラスター感染が起きていることを示しているのかもしれません。現場は“コロナ禍”でピリピリしていますよ」
(テレビ局ディレクター)

スタジオにはナンチャンが1人だけ

 お昼の情報番組も然りだ。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)では、MCの南原清隆だけがスタジオ入りし番組進行を務め、レギュラー陣は局内の別の場所からリモート出演となった。    

 また坂上忍がMCを務める『バイキング』(フジ系)も、通常ならば芸人やタレント、コメンテーターら大勢が“ひな壇”に座ってのトークを繰り広げるのだが、そのひな壇を撤去し、出演者を絞っての放送となった。

「コメンテーターのリモート出演は当然として、スタジオ内の出演者同士の間にアクリル板を置いて感染を予防する徹底ぶり。坂上さんも“できることは全部やったほうがいい”と、しばらくはこの形式で放送されそうです」(テレビ局関係者)

 多くの番組で、このままリモート出演、また出演“見合せ”状態が続くというわけだ。

「確かに絵面(えづら)は寂しくなりますが、特にヒルナンデスは前収録したVTRがメインコンテンツとなる番組構成なので、実は進行役のナンチャンさえいれば成立してしまうのです。一方で、リモート出演をするタレントは表情や動き、リアクションが伝わりにくくなるため、よほどのコメントをしないと番組で活かしきれません。結果、芸人やタレントとしての力量がより問われます。

 それこそ経費削減の時代ですし、コロナショックで制作費もさらに抑えられでしょうから、このまま人員が整理されてスタジオに呼ばれなくなるかもしれません。一般企業も大変な時を迎えていますが、芸能界も“リストラ”の波がくるのでは。ひな壇芸人やタレントは戦々恐々ですよ」(前出・テレビ局関係者)

コロナの先に待ち受ける非情リストラ

「確かにロケギャラというのは安くて、スタジオ生出演の方がギャラが高いのが一般的」と話すのは、芸能ジャーナリストの佐々木博之氏。それでも、

「現在の状況下では収束は夏ごろか、それすらも見通しが立ちませんが、事態がよくなれば出演者はスタジオに戻ってくるとは思います。テレビ局と芸能事務所は持ちつ持たれつで番組を作っているところがあるので、出演者を降板させるような非情なリストラはしないんじゃないか、という気はします。

 それぞれのコンセプトがあって番組はタレントを起用しているわけで、その形は簡単には崩せないと思います。やはり出演者あっての番組作りなのです」(佐々木氏)

 と、番組に呼ばれなくなった出演者も“今のところ”は悲観しなくてもいいのかもしれない。しかし、コロナが長引けば別の話だ。

今後は“3密”を避けるために収録自体が少なくなります。ドラマの制作も中止や延期になっていますし、予定していた番組作りができなくなるということが起きます。先日、局の人が、“人気タレントを多く抱える大手芸能事務所ならまだしも、タレントが1人、2人だけの小さい事務所はこの状態が続けば潰れる”という話をしていました。

 またプロダクションだけでなく、制作会社も同様です。孫請けの会社だったり、ロケ専門や1つの番組だけ受け持っている会社、なかには社長兼ディレクターといったテレビマンもいます。そういった小さい会社がどんどん潰れていくかもしれません」(佐々木氏)

 一般企業も芸能界も、中小企業がコロナ不況の影響を大きく受けそうだ。