(左から)※りゅうちぇる、横浜流星、※EXIT兼近大樹、※安達祐実(※はInstagramより)

 “ピンクの髪色”がブームだ。6月9日には、安達祐実が髪をピンク色に染めた写真を自身のインスタグラムに投稿。ファンはもとより、仲里依紗ら有名人からも絶賛された。

 ほかにも、チャラ男キャラでブレイクしたお笑いコンビEXITの兼近大樹りゅうちぇる、過去にはNEWSの手越祐也といった、ピンク髪の有名人がいる。その特徴は、髪の色だけではなく、言動でも注目を集めていることだ。

見た目だけじゃなく言動にも注目

 例えば、兼近は5月17日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で「若者のお笑い離れ」に言及。「言葉の世代間ギャップ」が話題にのぼった流れで、こんな分析をした。

(今のバラエティーのメインで活躍する芸人たちは)ドラゴンボールやプロレスでよく例えるけど、若者には伝わってない。こっちは気を遣って笑うしかできないんすよ。『何言ってんだ、この先輩たちは?』っていう。若い人たちは『わかんないから見なくていいや』って、お笑いから離れていったと思うんすよ

 また、りゅうちぇるは6月3日に自身のインスタグラムで質問を募集。子育てを「手伝う」という態度の夫に悩んでいるというフォロワーに対し、こんな回答をした。

 その内容は「まず、お父さんの立場で“手伝う”という言葉はどうなのかな? 当たり前に子育てってやるべきことですよね」としたうえで、その夫に対し、

仕事で忙しくても、疲れていても、あなたも子作りしたんですから、あなたも父親なんだから、責任持って愛を持って育ててください

 と呼びかける、というもの。日ごろのイクメンぶりが伝わるエピソードだ。2人とも賛否両論あったものの独自の発言に注目が集まっている。

 ピンク髪といえば『テラスハウス』(ネットフリックスなど)に出演していたプロレスラー・木村花さんもそうだった。同じく故人では、X JAPANのhideさんもピンク髪がトレードマーク。彼は「ヴィジュアル系」という言葉を考案したことでも知られる。今のブームを先取りしていたということだろうか。

 そんなピンク髪の魅力について、専門家に聞いてみた。カラーコンサルタントの松本英恵さんだ。

 まず、ピンクという色については、

甘く優しいロマンティックな色、思いやりや愛情、希望や幸福のシンボルです。その一方で、軽薄で子どもっぽいイメージもありますが、人懐っこい雰囲気を醸し出します

 これに対し「ブルーはクール、パープルなミステリアスというように、寒色系は人とのあいだに壁を作りがち」だという。たしかに、ピンク色の有名人、特に男性は、親しみやすいキャラが際立っている。手越の場合はピンクがグループにおけるイメージカラーでもあるとはいえ、彼らは「ピンク効果」をわかったうえで、キャラ立ちに生かしているのかもしれない。

時代ともに変っていった「ピンク」

 ちなみに、ピンク髪の流行にはひとつの兆しがあった。昨年1~3月期に放送された連ドラ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)の横浜流星だ。深田恭子扮する予備校講師に恋をするピンク髪の高校生を演じ、一気にブレイク。同名マンガの原作者・持田あきも、そのハマり具合を絶賛していたものだ。

 松本さんによれば「私服も衣装もハイブランドをさらりと着こなす横浜さんがピンクヘアにするということは、“ピンク髪”の流行を象徴するようだった」とのこと。また、こんな変化もブームにつながったと指摘する。

「ヘアカラーの技術が向上し、ブリーチなしで出来る暗めトーンのピンクから、ブリーチをして染める明るく鮮やかなピンクまで、ヘアカラーでさまざまなピンクを表現することができるようになりました」

 とはいえ、伝統的に見れば、ピンクは女性的なカラー。「ピンクリボン運動(乳がんの啓発キャンペーン)にこの色が用いられているように、ピンクは女性と結び付けられてきて、そのイメージは根強い」わけだが――。ここ数年はそうでもなくなってきた。松本さんはその例として、韓流スターのオルチャンメイクや日本の特撮ヒーローを挙げる。

『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系・16~17年)の戦闘コスチュームには、ピンクがうまく取り入れられ、人気を得ました

 つまり、男の子が憧れるヒーローにも違和感なくハマるようになったピンク色。さらに芸能界において、ジェンダーによる色分けを超えたオシャレで成功したのがりゅうちぇるだ。髪がピンクでないときは、服をピンクにするなど、そのこだわりはデビュー当時から印象的だった。

 そんなピンクが大好きな「ジェンダーレス男子」りゅうちぇるも、2年前には1児の父に。最近は若者の代弁者として、社会派的発言も評価されている。

ブリーチをすると髪の手触りがごわごわするのですが、りゅうちぇるさんはさらさらのストレートヘア。個性的でおしゃれな私服とともに、美意識の高さが伺えます。また、ピンクは子どもが好きな色のひとつ。父親になり、お子さんを喜ばせたいという心理もあるのかもしれません」(前出・松本さん)

 女性がピンク髪にすれば、新鮮な可愛さやかっこよさにつながり、男性がそうすれば、現代にふさわしい親しみやすさをかもしだすことに。このブーム、まだまだ広がっていきそうだ。

話を聞いたのは……●松本英恵●2003年より、フリーランスのカラーコンサルタントとして活動。2005年、総合情報サイト『All About』にてカラーコーディネートガイドに就任。同サイトの900名を超えるガイドの中で読了率1位を誇る(2016年)。他にも雑誌など多数のメディアで活躍。https://allabout.co.jp/gm/gp/609/ 

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。

(取材/編集部 文/宝泉薫)