新型コロナ流行語大賞、第1位は?

 2020年上半期は、新型コロナウイルスのパンデミックに世界中が振り回されました。世界の感染者数は700万人、死者数は40万人を超え、今も増え続けている国があります。経済へのダメージも深刻です。日本でもいずれ、感染拡大の第2波があると言われています。コロナとの戦いの中で学んだ、忘れてはいけないコトバを振り返り、おさらいしておきましょう!

流行語大賞に24語がノミネート!

 アンケートは、5月下旬にインターネットリサーチ「フリージー」を利用して、全国の20代以上の男女1000人を対象に実施。

 新型コロナウイルス感染症に関するニュースやSNSで目にしたキーワードの中で、流行語大賞にふさわしいと思うコトバを3つ選び、1位、2位、3位の順位をつけてもらいました。

新型コロナ流行語大賞ノミネート(上位24語、アイウエオ順)

 1位=3ポイント、2位=2ポイント、3位=1ポイントで集計して合計ポイントで順位を決定。トータル6000ポイントのうち1154ポイントで1位に輝いたのは?  写真ページのリストの中から予想して、読み進めてみてください!

【第1位】 アベノマスク
別名『アホノマスク』と揶揄される間抜けさがたまらない

 圧倒的な支持(?)で見事1位に選ばれたアベノマスク』。マスク不足を解消するために政府が実施した緊急対応策は、“全国のすべての世帯を対象に、1つの住所あたり2枚ずつ布マスクを配布”というものだった。4月1日に発表されたこの政策に、世間の反応は……。

これ以上バカバカしくて笑えるものはない」(67歳男性)

日本の政治責任者のコロナウイルスに対する考えと実行力が、マスク2枚の配布とは情けない」(72歳男性)

考えられない愚策。税金の無駄遣いの象徴」(71歳女性)

 と、さんざんな声が寄せられた。そもそも『アベノマスクという言葉自体は造語で、発祥はツイッターの呟(つぶや)きからだといわれている2013年に安倍首相が掲げた、経済政策の通称『アベノミクス』をもじったもので、今では、海外メディアも取り上げるほど

『新語・流行語大賞』の審査員経験があるコラムニストの辛酸なめ子さんは、

政策自体に対するあきれもですが、言葉自体の語感というか、“うまさ”が評価されたのではないでしょうかこれが海外だったら1位にはもっと深刻な言葉が選ばれていたのかなと思うと、まだ日本は遊び心があって平和なのかもしれませんね。気づいたらSNS上でも盛り上がっていましたし、パワーワードでした」

「新型コロナ流行語大賞」アンケート結果

466億円の税金が投入されたものの……

 実際に、「ニュースなどで頻繁に耳にしたから」(37歳女性)「耳なじみがいい」(44歳女性)と、そのネーミングのインパクトが残っている様子。

 だが、購入費や運送・梱包(こんぽう)費など、466億円の税金が投入されたにもかかわらず、いまだ届かない地域もある

マスクが不足していた期間に間に合わなかった政府のスピード感とズレにびっくり」(37歳女性)

首相のとった行動の中で、最も国民感情からかけ離れた無駄なものとして後世に語り継いで戒めとすべき」(40歳男性)

「発注先が不透明であるとか、問題も多かった印象です。官房長官や政界の人たちは、このマスクがあったからこそ市販のマスクの価格が下がったとか、ポジティブに考えられていましたよね。そこが国民の感覚とギャップがあるなと思っていました。

 ですが、女性たちの間では、アベノマスクをつけて小顔をアピールするブームが起こるなど、ちょっと笑えるネタでもあったかも」(辛酸さん)

 鼻からあごまでをカバーできれば小顔、というひとつのマウントをとるアイテムにもなっていたのも事実

“アベノマスク”をつける安倍晋三首相

不評なマスクで、安倍総理以外の官僚ですら使用していない」(69歳男性)

サイズの合っていないマスクを、ただ1人つけ続ける首相がシュール」(52歳女性)

別名『アホノマスク』と揶揄(やゆ)される間抜けさがたまらない」(71歳男性)

 辛辣(しんらつ)な意見が目立つが、だからこその1位なのだろう。

 ’13年の『新語・流行語大賞』では『アベノミクス』がトップテンに選ばれるも大賞は逃しているが、今年こそ!?

【第2位】 3密/密です
注意を喚起する意味として「すごくわかりやすい言葉」

 第2位は、密集・密接・密閉、3つの“密”を表した3密、そして小池百合子都知事が報道陣に向けて発した言葉密です』。

フレーズが頭に染みついている」(53歳女性)

わかりやすい言葉なので、記憶によく残る」(38歳男性)

 小池都知事が、「密です、密です、密です」と連呼しながら距離をあけるように促す様子がメディアで報じられると、すぐさまネットで話題に。これをモチーフにしたブラウザゲームも流行した。

注意を喚起する意味で、この言葉はすごくわかりやすかったですね今の状況が、数十年後、日本の歴史に刻まれたら、“3密とはなんでしょう?”といった問題がテストに出たりしそうだなと思いました」(辛酸さん)

“3密”は楽しいことにも使える!?

 5月25日に緊急事態宣言が全面解除され、全国の飲食店や映画館などが営業を再開しているが、座席数を減らしたり、間隔をあけるなどの対応が余儀なくされている。マスク着用や手指の消毒も、今では当たり前の生活に。

私自身はあまり変わりのない日々を過ごしているけれど、新たなフェーズに時代が移り変わっているんだなと思うこれに対応しながら生活していかなければいけないのだと、強く感じている」(52歳女性)

 今は、感染が再拡大する「第2波」を防ぐことが最重要。

コロナが無事に終息したら、“3密”は、楽しいことが起こりそうなときにも使えそう」(78歳男性)

 そんな前向きな意見に、

楽しそうとは……みんなでワイワイ、祭りとかって意味なんでしょうか」(辛酸さん)

【第3位】 クラスター
コロナウイルスの怖さを象徴「みんなが意識しなくては」

 第3位はクラスター』。政府の発表や報道でよく耳にする言葉だが、当初は正確な意味もわからず、聞き慣れない人のほうが多かったのでは? 感染症や、今回の新型コロナウイルスに関しては、“特定の人から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例”、いわゆる集団感染のことを表している。

コロナウイルスの怖さを象徴する言葉だと思う」(70歳女性)

今まで聞いたことがなかったが、意味を考えさせられ、コロナの特色を表していると思うインパクトが強い横文字だ」(65歳男性)

 厚生労働省では、集団感染の連鎖を抑えるために専門家を集めて結成した『クラスター対策班』を設置。

厚労省は3月15日にHPで「全国クラスターマップ」を公開(イラストは3月17日時点)

「今では当たり前に聞くようになりましたが、これまで使う機会があまりなかった言葉のように思います。このようなアカデミックな専門用語が出てくると、緊張感を与えますよね」(辛酸さん)

 病院内での患者や職員、学校内での教師や生徒間などでの発生が多かったが、緊急事態宣言の解除後、“夜の街”のガールズバーや、若い男女が参加したパーティー、高齢者の“昼カラ(昼カラオケ)”などでクラスターが確認されている。

普段から距離感の近い人にもっと危機感を持たせたほうがいいと思う」(46歳女性)

テレビでよく聞いた。感染拡大が続く原因だと思うし、みんなが意識しなくてはいけない」(57歳男性)

家でおとなしくできない人に限って、マスクもせず、スーパーなどの出入り口でアルコール消毒をしていないように思った」(59歳男性)

【第4位】 ステイホーム
他人に強要する意味で使うと反感を買ってしまうことも

 政府だけでなく、多くの芸能人たちも呼びかけたステイホームが4位に

 “お家時間”を有効に使うコンテンツを各企業が発表したり、自宅での過ごし方を見直した人も多いはず。

ネガティブな言葉の中でも、この言葉にはポジティブ感がある」(44歳男性)

日本人がこれほど忠実にステイホームすることに驚いたちょうどゴールデンウイークと重なり、外出したい時期だったにもかかわらず、自分のため、家族のため、周りの人のために我慢すること。少しでも早く収束することを願います」(44歳女性)

守った人が多かったように思う」(57歳女性)

“自粛できるのは一部の人たちだけ”

 SNSでは『#ステイホーム』というハッシュタグがよく見られるようになった。なかでも、人気アーティスト・星野源が自身のインスタグラムでリリースした『うちで踊ろう』(今回のランキングでは15位)は、たくさんの著名人がコラボ動画をアップするなど大きな話題に。しかし、安倍首相が同曲を、自宅で犬と戯れながらくつろぐ様子をアップすると批判が相次ぎ、炎上する騒ぎに

星野源は「この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」とメッセージを添えたが……

ステイホームは、自分に使うぶんにはいいですが、他人に強要する意味で使うと、途端に反感を買ってしまう映画監督の村西とおるさんが、“自粛できるのは一部の人たちだけ”だと怒っていたことが印象的ですね。ステイホームできる人はいいけど、働きに出なくてはいけない人もいるんだ、って」(辛酸さん)

 ステイホームへの意見は二極化したが、外出自粛を呼びかけるには便利な言葉だったのではないだろうか。

【第5位】 緊急事態宣言
私たちの生活を一変させた宣言「もう出会いたくない言葉です」

 第5位は緊急事態宣言』。4月7日に発令されたときは、関東4県と大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に1か月間実施というものだったが、その後、4月16日に全国へと拡大。その解除が決まったのは5月25日だった。

人生初めてのことだった」(70歳男性)

今まで経験したことがない未知の事態」(66歳男性)

これにより、コロナウイルスの脅威を本格的に感じた」(76歳男性)

 欧米では市民の外出を禁止し、違反者には罰則を伴うなど厳しい制限が設けられていた。なかでもフランスは、違反者には罰金、違反を4回繰り返すと半年の禁固刑が求められるなど、日本では考えられない状況だった。

海外の状況と比べたら、日本は法的に裁かれることもないので、かなり緩かったのだと思います緊急事態宣言を出すタイミングについても、オリンピックのことがあったから、いろいろ言われていましたよね」(辛酸さん)

 この宣言が出る前と後で、対応がまったく変化した会社も多かったようだ。

職場が休業になり、自粛生活で給料が減ったうえに、自宅にいるので食費がかさんだ」(25歳女性)

 また、子育てをする母親世代から多かった声は、「子どもの学校が休校になったので毎日、食事作りに追われて大変だった」(42歳女性)と言う声も。

 生活を一変させた宣言だったことには間違いない。

私も宣言が出たあとに用事があり、電車に乗る機会があったのですが、本当に命がけでしたね。もう出会いたくない言葉です」(辛酸さん)


アマビエ様、ソーシャルディスタンスは「これからも使われる言葉」の声多数。ほかにもPCR検査、ロックダウンなどさまざまな言葉が登場

 5位以下にも、日常で多く目にしたり耳にする機会の多かった言葉がズラリ。6位の『医療崩壊』には、

医療関係者の方のご苦労は計り知れない。本当にありがとうございました」(79歳男性)

自身も感染の危険があるなかでも、全力で患者を救う姿に敬意を表する」(51歳女性)

 など、感謝の気持ちが込められたコメントが多かった。

 また、新たな働き方となった『テレワーク/リモートワーク』についても、「IT後進国だと言われる現代日本にとって推進すべき事柄だと思う」(34歳男性)といった意見が。

「9位の『不要不急』も、今、活動ができなくなった舞台や芸能の人たちが“自分たちは不要不急の存在だったのか”と感じてしまっているようで、それはちょっと寂しくなります。

 先日、中島健人くんSexy Zoneと平野紫耀くんKing & Princeが司会を務めた日テレの音楽番組を見たのですが、やっぱり音楽の力とイケメンの力ってすごいなと感じたんです。徳島えりかアナウンサーが羨ましかったですね」(辛酸さん)

 物々しい言葉が多く並んだが、厚生労働省が感染拡大防止を呼びかけるキャラクターに採用した『アマビエ様』には、

暗くてやりきれないニュースが続いているが、可愛いアマビエが流行(はや)ったのはよかった」(47歳女性)

これをお守りにして、コロナになんか負けるもんか!」(64歳男性)

 12月の『新語・流行語大賞』の結果ははたして──。

辛酸なめ子が選ぶ流行語大賞TOP3

【1位】 アベノマスク
【2位】 アマビエ様
【3位】 イケメン知事

辛酸なめ子 撮影/週刊女性

 今回のランキングを見て感じたのは、言語化することの大切さ今はとても不安な世の中ですが、言葉にして、みんなでそれぞれ盛り上がることは大切だなって思いました。これで今年オリンピックが開催されていたら、コロナ関連ではなくオリンピック関連の言葉がたくさん話題になっていたのかなと思います。

 私自身でランキングをつけるなら、1位はやっぱり『アベノマスク』を選びます。これは国民全員に関係するって部分が強いですよね。日本の政府の迷走ぶりを、すごく表している6文字だなともし、『アベノマスク』が『新語・流行語大賞』にノミネートされたら、誰が授賞式に呼ばれるんでしょう? 安倍さんは来ないと思うので、疑惑のマスク会社の人たちでしょうか。

 2位は『アマビエ様』です。キャラクター自体も可愛いですし、やっぱり和みますよね。『ゆるキャラ』ブームのような『アマビエ』ブームが起こっていた気もしますし、これもノミネート目指して頑張ってほしいです。

 3位は『イケメン知事』。大阪府の吉村知事は、なんとグッズが売り出されたとか。通販でマグカップや缶バッジ、キーホルダーなどが買えるようです。奥さんもすごく美人な方らしいですよね。イケメン知事が盛り上がっているので、各県の副知事まで調べたらもっとイケメンがいるんじゃないかなって思っています

 また、天皇・皇后両陛下が、新型コロナウイルスについて、あまり発言されていないことも気になっています。タイミングが難しいのかもしれないですが、天皇陛下のお言葉で、何かポジティブな言葉をおっしゃっていただけたらいいなと思いますね。

(取材・文/高橋もも子)

〈プロフィール〉
辛酸なめ子 ◎漫画家、コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『おしゃ修行』(双葉社)、『魂活道場』(学研)など。「新語・流行語大賞」選考委員を務める