夏の“足クサッ!”に注意

 高湿度で、汗をかきやすい夏。はだしでサンダルをはくことが増えると、「男性より実は女性のほうが臭いのかも?」と、心配になるような“足臭”が……。

ストレスが足のニオイを悪化!

日本人女性はニオイを感じやすいため、敏感になるかもしれませんが、足のニオイに、男女差はありません。ニオイの差を生む最大の原因は、汗の量です。

 ニオイは、足の裏にいる常在細菌が垢や汗の中の栄養成分を食べて排泄した代謝物(つまり、細菌のフン!)から発生するので、足の裏に汗をかきやすい人ほど、ニオイが強くなると言えます

 そう教えてくれるのは、医師でニオイ評論家の桐村里紗先生。はだし×サンダルは足の裏が密着し、高温多湿かつ高栄養となるため、細菌の培養装置になりやすいという。

 また、ニオイの原因となる発汗にもさまざまな種類があり、大人の女性が注意すべきは“精神性発汗”だと、体臭の研究を行う理学博士の関根嘉香先生は指摘する。

発汗には、温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗などがありますが、精神性発汗は、手のひらや足の裏など、特定部位での発汗量が増えるため、足のニオイに影響します。仕事や家事などに追われ、ストレスで足の裏が臭くなると感じるのはこのためです」(関根先生)

 さらに、ストレスは、汗自体のニオイも悪化させ、“ストレス臭”や“疲労臭”を引き起こす。

「STチオジメタンというねぎのようなニオイ成分を汗から発生させるだけでなく、ストレスや疲労は、肝機能を低下させ、分解されるはずのアンモニアが汗から分泌されてしまいます」(桐村先生)

 ストレスの原因を取り除いたり、リフレッシュ方法を見つけておくことは、健康面にプラスなだけでなく、足臭の解決になるかも!

悪臭の原因と、とっておきの対策

 一方、加齢による体臭の変化と足のニオイは、ほぼ関係ないようで、

「30代以降、女性は桃の香りがする“ラクトン”と呼ばれるニオイ物質が減少し、40代から男性同様に加齢臭が発生します。しかし、足の裏は、汗臭の影響が強いので、頭部や背中などに比べて、年齢によるニオイの変化の影響は受けにくい。

 ただし、女性は更年期にさしかかると、ホルモンバランスが崩れ、汗腺の調節機能が低下します。身体を動かしていないのに発汗することもあり、発汗の機会が増えることで、少なからずニオイに影響が出るかもしれません」(関根先生)

 では、そもそもニオイのもとは何なのか─。足のニオイは、いくつもの成分が重なった複合臭からなるという。

「酸っぱいニオイの“酢酸”、ギンナンのような“酪酸”、おしっこのような“アンモニア”など複数のニオイ成分がありますが、いちばん強烈なのが、近年、足のニオイの原因物質として新たに発見された“イソ吉草酸アルデヒド”。

 少量でも納豆やウォッシュチーズのような強いニオイを感じ、その強さはイソ吉草酸アルデヒドの量に比例するという研究結果も。足のニオイの代表です」(桐村先生)

試験内容:20〜50代男女の足のニオイの強さ(折れ線グラフ)と、足の指の間から採取した汗中のニオイ物質の量(棒グラフ)の関係を調べた(ロート研究所実施) 出典:ロート製薬HPより

“イソ吉草酸アルデヒド”など、ニオイ物質を発生させないためにはどうすれば? ニオイの賢人たちに、とっておきの対策を聞いた。

まずは、常在細菌を増やさないこと。細菌は乾燥に弱いので、靴は1日はいたら1日陰干しを。その際、お茶パックやキッチンペーパーに重曹を大さじ3杯包んで入れておくと、湿気やニオイ成分を中和します。

 水200mlに重曹小さじ2杯を溶かした重曹水を靴にスプレーしておくのも効果的。イソ吉草酸を中和するセージオイルなどを5滴ほど混ぜるとなおよいです。手軽にするなら、食品の乾燥剤を入れるだけでもいいですよ。ゆっくりと入浴して足指の間までていねいに石けんで洗い、細菌のエサとなる余分な垢や角質を取ることも大切」(桐村先生)

 汗の逃げ場がなくなり、細菌の増加に加え蒸れてニオいやすくなるので、素足やストッキングで靴やサンダルをはくのもご法度。靴下をはくか足用制汗クリームの活用を。

黒い靴をはかないことも、実はニオイ軽減になります。黒い靴は、白や赤色の靴より、約9度も高温になるというデータもあり、靴の中が高温多湿になりやすい。細菌が増えやすくなります」(桐村先生)

足に合っていない靴やサンダルも、足に余計な負担がかかり、汗臭や疲労臭が強くなる原因に。また、汗をかいたときは、乾いたタオルよりも濡れタオルでふくのがおすすめ。水分だけでなく、ニオイの原因物質も取ることができますよ」(関根先生)

 さらに、「体臭・多汗研究所」所長で体臭、多汗治療の専門家である医師の五味常明先生は、10円玉を使って簡単にできるニオイ対策を教えてくれた。

ぷ~んとニオう前に、ゼロ円で今すぐできるケアをしてさわやかに過ごそう!

五味先生おすすめ足臭ケア

■10円玉を靴にイン
足臭ケア 10円玉を靴にイン

 よく洗った10円玉を2枚用意し、左右の靴それぞれに1枚ずつ入れる。その靴を風通しのよい場所に置いて乾燥させる。10円玉の銅イオン酸化還元反応で消臭効果を発揮。違和感はあるが、10円玉を入れたまま靴をはいても効果あり。

■リンパトントンマッサージ
足臭ケア リンパトントンマッサージ

 太もものつけ根あたりにあるリンパを痛くならない程度に、グーの手でトントンたたくだけでOK。老廃物がたまるとアンモニア臭が出やすくなるが、太もものつけ根付近のリンパを刺激することで、老廃物の排出がスムーズに。

《取材・文/河端直子》


教えてくれたのは……

五味常明先生…体臭、多汗治療の専門医。患者の心のケアと外科的手法を組み合わせる「診療外科」を提唱。ニオイ治療の現場で実践。高齢者介護の現場でもニオイケアに取り組む
関根嘉香先生…理学博士。東海大学理学部化学科教授。慶應義塾大学大学院非常勤講師。人の身体から発せられる皮膚ガス(体臭)に着目し、その分析と情報伝達機能に関する研究などを行う
桐村里紗先生…内科医。予防医療を重視し、最新の分子整合栄養医学や常在細菌学などをもとに、新しいヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社刊)ほか