Da-iCE 

 今年で結成10年目を迎えた5人組ダンス&ボーカルグループのDa-iCE。'17年には日本武道館、今年は代々木第一体育館などでアリーナ公演も行うまでに成長したが、結成当時は会社からあまり期待されていなかったそう。

電車賃がなくなり、歩いて帰った日も

大野 (工藤)大輝くん以外はもともとエイベックスに所属していたこともあり、社員の方に男性グループを立ち上げることになったからどう? と声をかけていただいたのが、結成のきっかけでした。

花村 今のメンバーではない人がレッスンに参加していた時期もあったし、増えるという話もあって。半年ぐらいはよく理解しないままレッスンをしていた感じでしたね。

和田 大人の事情で僕が抜けるって説もありました(笑)。

花村 結成して知ったのですが、グループを立ち上げた男性が平社員の方で、まったく社内で力がないことがわかって(笑)。だから最初のころは会社内でも知られていなかったと思います。

工藤 結成から約2年後にインディーズデビューしたのですが、それも許可が降りて、同好会から部活に昇格したぐらいの感じでした(笑)。

 時を同じくして、自分たちの置かれている状況を実感したという“お蕎麦事件”が起こる。

花村 会社が力を入れているグループではなかったので、当時は食事なども自腹だったんです。デビューしたらスタッフさんに奢ってもらえると思っていたのですが、そんなに甘くないんだなと。

大野 初めて担当スタッフさんに「食事に行こう」と言われたので、奢っていただけるのかと喜んでついていったんです。そしたら会計のとき「別々で」と言われて……。

花村 普段ならお金もないので、安いかけそばを頼むのですが、奢りかと思ってみんな天ぷらそばとかを頼んでしまって……。電車賃が無くなってしまったので、その日は近くの駅までみんなで歩いて帰りました(笑)。

 しばらくは小さなライブハウスでの活動がメインだったが、金銭面以外では辛いことはなかったと振り返る。

大野 ありがたいことに少しずつではありますけど、お客さんも増えていたので。

和田 僕は結成したとき高校生ということもあって、何より踊れることが楽しかった。

岩岡 最初の1年のような状態が何年も続いていたら、不安になっていたかもしれません。でも、2年目には先輩であるAAAさんのオープニングアクトを務めさせてもらうなど、自分たちの実力以上のお仕事も経験させてもらえたり、右肩上がりで成長しているなと実感はありました

初の武道館公演は「不安の方が大きかった」

 '14年にシングル『SHOUT IT OUT』で念願のメジャーデビューを果たす。

和田 スタッフさんたちはサプライズで発表して驚かせようと思っていたらしいのですが、メンバーみんなが集められた時点で「たぶんメジャーのお知らせだろうな」とうすうす気づいていたから、全然驚かなくて。反応が薄すぎて、スタッフさんたちはガッカリしていました(笑)。

花村 僕は気を遣うタイプなので、気づいていたけど「おぉ!」って喜んだら、誰もリアクションしないから、1人ではしゃいでスベっている人になってしまって……(笑)。

 デビュー曲は1万人が参加した“国民投票”で決定するなど、当初からSNSを積極的に利用している。

工藤 シングルを出すときは、何かしら話題になりそうな仕掛けは意識しています。

花村 僕らはSNSを通じて名前を知ってもらい大きくなっていった……という意識が強いので、メジャーデビュー曲をSNSで決めたのも必然だった気がします。

工藤 3曲の候補の中から選んでもらう形だったのですが、僕らはそこに入っていない曲でデビューを考えていたから「えっ?」って(笑)。

和田 さすがにそのときは、スタッフさんとケンカみたいになりました(笑)。でも、メンバー間で意見が割れることはほとんどないですね。1回だけ2人と3人でメンバー内で意見がわかれたことがあるのですが、そのときは平等にサイコロで決めました。“ダイス”だけに(笑)。

大野 メンバーもほぼ30代なので、喧嘩するほど元気もないよね(笑)。

 '17年には初の武道館公演も大成功させたが、発表したときは満員にできるか不安だったという。

花村 公演が決まったときの僕らは3000人くらいの会場を埋めるのが精いっぱいだったんです。だからサプライズ発表された瞬間はうれしくて泣き崩れたけど、すぐに「1万人以上の武道館を埋められるの?」という不安のほうが大きくなって……。満員にするべくそこからプロモーション活動など、怒涛の1年間でした。

和田 スタッフの人にも「自分たちでも、宣伝活動を頑張ってほしい」と言われました。

工藤 そういう意味では明確な目標に向かってがんばれた1年でもありましたね。

エンタメ第7世代はDa-iCEのみ?

 今年2月には“人気ユーチューバーのラファエルが新メンバーに加入?”という動画が公開されたほか、お笑い第7世代の筆頭株・EXITとCDをリリースするなど、ジャンルを越えたコラボ活動も大きな話題になった。

大野 ラファエルさんが参加予定だったライブが新型コロナで中止になってしまったので、それは心残りですね。

花村 僕らは『エンタメ第7世代』と名乗っているのですが、カテゴライズの詰めが甘くて、ほかに誰がいるの? と聞かれても答えられないのが失敗したなと(笑)。

岩岡 エンタメ第7世代という言葉自体、今知ったよ!

 和田は、話題のドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)にも出演した。

和田 出演シーンは少しだったのですが、反響は大きかったですね。三浦翔平さんには「好きに演じてね」と言ってもらえて心強かったです。白濱亜嵐さんは音楽イベントなどでの共演はあったのですが、お互い「まさかドラマの現場で会うとは思わなかったね」と盛り上がりました。

 またバーチャルライブ会場『ABEMAアリーナ』の第1弾アーティストに選ばれ、7月26日に公演を行うことも決定!  

花村 大事なこけら落とし公演に起用してもらえるのは責任重大ですよね。僕たちのパフォーマンスで『ABEMAアリーナ』が素敵なプラットフォームだと思ってもらえるよう頑張りたいです。  

大野 まだ打ち合わせの段階なので詳しいことはお伝えできないのですが、生のライブとは違うCGならではの技術を駆使した面白いものにできれば。  

工藤 直接ファンの皆さんとコミュニケーションも取れるそうなので、新しい試みに挑戦できるのは楽しみですね。  

岩岡 僕らのことをよく知っている演出スタッフも入っているので、スタッフと一丸となって最高のパフォーマンスをお見せしたいですね。  

和田 初めての試みなので不安もありますが、みなさんと一緒に楽しい時間に出来たらなと思います。  

花村 新型コロナが感染拡大してライブ活動ができないアーティストを応援するため、サイバーエージェントさんが立ち上げてくれたんです。僕らの公演次第ではさらなる展開も可能だと思うので、成功させたいですね。  

“アフターコロナ”、アイドル業界はどうなる?

 リーダーを務める工藤はアイドル好きとしても知られるが、アフターコロナ後のアイドル業界は大きく変わらざる得ないと分析する。  

工藤 感染防止の観点から、しばらくは握手会など“接触”と呼ばれる特典会を開催するのは難しいですよね。これまでのようにリリースイベントをたくさん開催して、予算を作って……というビジネスモデルから変えざる得ないでしょう。すでにコロナの影響で窮地に立たされているグループは多いので、今後は一芸に秀でている人たちだけが残るのかなと。

工藤 また今の時代、SHOWROOMなど生配信が可能なライブアプリなどが普及したことで、ステージに立たなくてもアイドル活動は可能。だからダンスや音楽が好きという熱い想いを持った子でないと続かないかもしれませんね。  

 小学生のころにハロプロでアイドルにハマり、現在はほかのファンに交じって握手会にも参加する筋金入りのアイドルファンの工藤に、コロナ後も残ると思うアイドルグループを聞くとこんな答えが。  

工藤 何だかんだ坂道系(乃木坂46、欅坂46、日向坂46)とAKBなど48グループは面白い施策を打ってくるので、コロナ禍でもどんなことをやってくれるのかな? と期待しちゃうし、コロナの影響を受けることなく今後も活躍していくと思います。  

大野 僕らも“接触”というのを少なからずやってきたグループなので、今後はそこにフォーカスしないでどう広めていくか……というのは話し合いました。  

花村 特典会なしでいかに多くの人に手に取ってもらうか、は今後の課題になっていくでしょうね。

 6月27日に、ユニバーサルシグマからavex Traxにレーベルを移籍することを発表。8月から6か月連続で作品をリリースすることも決定した。

花村 “みなさんの五感をくすぐる”がテーマで、第1弾シングルの『DREAMIN’ON』は『視覚』がテーマになっています。

工藤 新曲は僕ららしい楽曲になっていますし、ミュージックビデオも力を入れたので、ぜひ見てほしいですね。いろんな方々とコラボをさせていただいていますが、どんな形でもいいので、まずはDa-iCEというグループを知ってもらえたらうれしいです!


大野雄大…ボーカル兼パフォーマー。'89年4月1日生まれ。愛知県出身。趣味を生かし、「avex釣り部」を結成。WEBで動画を公開中。 

和田颯…パフォーマー。'94年2月3日生まれ。群馬県出身。ドラマ『M 愛すべき人』(テレビ朝日系)に出演するなど俳優活動も。

岩岡徹…パフォーマー。'87年6月6日生まれ。千葉県出身。主演映画『居る場所』が7月11日まで東京・池袋HUMAXで公開中。

工藤大輝…リーダー兼パフォーマー。'87年6月28日生まれ。北海道出身。Da-iCEのほか、Nissyなどへも楽曲提供も。

花村想太…ボーカル兼パフォーマー。’90年8月15日生まれ。兵庫県出身。4オクターブ高音ボイスを生かし、バンド・Natural Lagでも活動中。

6か月連続リリース第1弾シングル『DREAMIN’ON』が8月26日にリリースされる。通常盤1300円+税。初回生産限定盤A・B盤(CD+DVD)は各2300円+税。※記事内の画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします