新宿駅でAさんに体当たりしてきた「タックル男」

 本屋さんにでも寄って帰ろうか。仕事を終えたAさん(30代・女性)が甲州街道の横断歩道を渡り、東京・新宿駅のルミネの入り口にさしかかったそのときだった。

 ふいに角から現れた男が、勢いよくAさんに向かってくる。危ない! 瞬間に身をよじり、その場にしゃがみ込んで男をかわした。そのまま歩いていれば、間違いなく突き倒されていただろう。

「タックル男」だ――。

 Aさんは以前、JR新宿駅で女性ばかりを狙い、力いっぱい身体をぶつけて歩く「ぶつかり男」「タックル男」と言われる若い男のYouTube動画を見たことがあった。偶然のように見せかけながら、男性や、男性連れの女性はきっちりと避け、女性だけに体当たりする、あの気味の悪い男に違いない。

 気付いた瞬間、Aさんは立ち上がり、男を追いかけて写真を撮った。男は甲州街道を西へ向かい、最初の横断歩道を渡って右折。そしてすぐ左折し、国際通りに入っていった。Aさんが写真を撮る音に気づいていたようで、彼女が見ている間、男は女性への体当たりを行わなかったという。

同一人物?
2年前の“迷惑男”と酷似

「以前『週刊女性』の記事で取り上げられた男と同一人物ではないですか?」というメッセージとともに、その男の写真がAさんから編集部宛に送られてきたのは、つい先日のこと。

『週刊女性』では以前も、この「タックル男」のことを報じている(2018年掲載の記事『JR新宿駅に出没する “ぶつかる男”、2発食らった記者が明かす「悪質っぷり」』参照)。

 当時、編集部の女性記者が同じような悪質行為をする男に遭遇していたのだ。記事には「身長170センチ前後で白いTシャツ、短めの黒いパンツをはき、リュックを背負った20~30歳ぐらいの男」とあるが、今回Aさんの写真に写っていた男もほぼ同じ特徴。違うのはパンツの丈と、リュックサックがボディバッグに変わった点くらいである。

 まだ犯行を続けていたのかーー。

 実はこの「タックル男」は一人ではなく、あちこちでの出没が報告されている。7月10日には、京急線蒲田駅ですれ違いざまに女性に体当たりをしていた男が逮捕された。その男は「女性の胸に腕をぶつけるのが快感だった」と供述しているという。

 さらに昨年9月、地下鉄・二重橋前駅では別の男が捕まっていた。この男は「歩きスマホが許せなかった」と犯行動機を語ったそうだが、ぶつかった相手はなぜか女性のみ。歩きスマホをしていた男性に対しては、ちゃんと避けて歩いていたらしい。

「タックル男」は増えているのか? 警視庁に問い合わせたが、あいにく「女性だけを狙い身体をぶつけて歩く行為」に名称はなく、検挙数は不明だという。おそらく「暴行」としてカウントされているのだろう。

警察、JR東日本の対応は

 なんとか、犯人を捕まえる方法はないものか。

 考えた末、Aさんは被害届を出そうと、新宿警察署に相談。だが、「おそらく届けは受理されない」と言われてしまったという。なぜなら彼女は身をかわしており、被害を受けたとはいい難いからだ。そう、彼女は恐怖を味わったが、直接の被害は受けなかった。何もできないことを、Aさんは悔しがる。

 だが、駅の周辺には防犯カメラがある。Aさんが男に遭遇したのは、改札に近い商業施設(ルミネ2)の入り口。ということは、おそらく複数のカメラに男の映像が残っているはずだ。そこから、犯人の行動を特定できるのではないか。

 JR東日本に問い合わせると、「警察からの要請があった際には、防犯カメラの映像を含め、必要な資料を提供するなど協力をしている」との回答を得た。ということは、もしAさんが実際に男の体当たりを受け、被害届が受理されていれば、防犯カメラの映像を見てもらえた可能性があるわけだ。

 Aさんは「今後『ぶつかり男』に体当たりされた人は泣き寝入りせず、警察に被害届を出すことを考えてほしい」と話す。過去に被害を受けた人も、相談してみる価値はあるかもしれない。このまま放置すれば、被害者は増えるだけだ。もし転倒させられて打ちどころが悪ければ、大けがをする人や命を落とす人も出かねない。

 もちろん相談先は警察だけではない。被害を受けた際に駅員が近くにいる場合は、すぐ駅員に相談すればよい。JR東日本広報部からは、下記のようなアナウンスがあった。

「このような行為は弊社としても許しがたいものと考えており、お客さまに安心してご利用いただくため、社員や警備員などによる巡回のほか、鉄道警察隊と連携し、駅構内や車内の秩序維持に努めております。何かあれば駅社員等に申告いただければと思います。こういった行為を認めた場合には、毅然と対応いたします

 最後に、今回Aさんは怒りの感情のままに男を追いかけ写真を撮ったが、こうした行為は男を逆上させる可能性もありとても危険といえる。ひとりで解決しようとせず、まずは声を上げることから、そして被害に遭った際は警察や駅員に相談することから始めてほしい。