婚活をしたからといって、必ず結婚できるわけではありません。婚活に疲れて、辞めていく人たちもいます。ライターをしながら、仲人としても婚活現場に関わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えてゆく連載。今回は、「婚活に疲れて、婚活市場を去った人々のそれぞれの理由」について記します。

婚活に疲れて、婚活市場を去った人々のそれぞれの理由とは?(写真はイメージです)

結婚にそれほど執着していない

 婚活を始めても、結婚せずに婚活市場から去っていく人たちは、いくつかのタイプに分かれます。

 まずは、結婚にそれほどの執着がないタイプ。

 こういう人たちは、ある程度、仕事もうまくいっていて、年収もそこそこにある。ひとりで暮らしていくことに何の不自由も感じないし、趣味もあって、遊ぶ仲間もいる。まあ、結婚してもいいけれど、しなくてもいいかなと思っているのです。

 泰之さん(45歳、仮名)は、年収が970万円あり、バイクが趣味で、月に1回か2回はツーリングに行く仲間がいました。仲間の中には既婚者もいましたが、ツーリングなので既婚・独身は関係なく、バイクにまたがって遠出し、男同士の世界を楽しんでいました。

 ところがあるとき、独身だった義雄さん(45歳、仮名)から、「再婚をすることになった」という報告と、結婚式への招待状をいただきました。義雄さんはバツイチで、日ごろから、「ひとりは気楽でいい」と言っていました。それなのに突然の再婚報告。聞けば「結婚相談所に入って婚活をしていた」というのです。

 独身を満喫していたはずの義雄さんの再婚に触発されて、泰之さんも結婚相談所に入会し、婚活をしてみることにしました。

 入会面談に来た泰之さんが言いました。

「友人の再婚で、私も急に結婚を身近に感じるようになりました。ひとりは気楽だけれど、これからの人生、パートナーがいたほうがいいかなとも思うし、できたら子どもを欲しい」

 見た目も悪くないし、清潔感があって、年収もよかったので、お見合いはたくさん組むことができました。

 ところが、泰之さんが断ったり、お相手から断られたり、交際に入ったとしても、1、2度食事をすると交際が終了になってしまい、なかなか意中のお相手に巡り会えませんでした。

 そして半年が過ぎ「ここで婚活に一区切りをつけようと思います」と退会を申し出てきました。理由は、こうでした。

「アラフォーで稼ぎがある自立した女性は、気が強いし自分ルールがあって、それを押し付けてくる。それにこちらが反論しようものなら、目を釣り上げて言葉をかぶせてくる。パートや派遣で働いている女性は、男性への依存心が強い。この半年間婚活をしてみて、結婚できる相手を見つけるのは思いのほか大変だということがわかりました」

 そして、続けました。

「仕事で疲れているのに、毎日LINEを入れたり、デートの場所を考えたりしないといけない。連絡を入れることを少しでもサボると、相手から“交際終了”が来る。そこまでして結婚相手を探さないといけないのなら、ひとりのほうが気楽かなって。今の生活に何の不自由もないですしね」

 40も半ばになると自分のライフスタイルができあがっているし、それを変えてまで他人と生活したいとは思わなくなるのでしょう。

自分は結婚に向いてない人間と判断

 また、婚活市場を去っていくタイプに多いのは、ネガティブ思考の人です。

 こういう方は、うまくいかないお見合いが続いていくと、幸せな結婚をするイメージが持てなくなります。お見合いに行くときの気持ちが、すでにネガティブなところからスタートしているのです。

 亜由子さん(33歳、仮名)は、仮交際から真剣交際に入った聡太さん(37歳、仮名)と、このまま結婚できるものだと思っていました。ところが、真剣交際に入るや、聡太さんにフラれてしまいました。

 真剣交際とは、結婚を前提にした交際です。結婚が現実味を帯びてくると、亜由子さんは、聡太さんの貯金がいくらあるのか、住む場所はどこになるのか、彼の親が介護状態になったときに自分が世話をするのではないかなど、いろいろなことが心配になってきました。

 会えば質問攻め。結婚後の不安ばかりを口にする亜由子さんに、聡太さんは疲れてしまったのでしょう。交際終了がきたことを亜由子さんに伝えると、彼女は私に言いました。

「最初から、私には本気でなかったということですよね。私をフルのはさぞ簡単だったでしょうね」

 この交際が終わってからというもの、彼女の思考はますますネガティブになっていきました。新しいお見合いを組んでも、お会いする前からお相手にダメ出しをするのです。

 あるとき、私が亜由子さんのお見合いの立ち会いに行くと、お相手の男性、正光さん(36歳、仮名)がチェックのシャツにジャケットをはおり、ノーネクタイにチノパンというカジュアルなスタイルで現れました。彼がこちらにやってくるのを見て、亜由子さんは私に言いました。

「お見合いにスーツを着てこないというのは、私をバカにしているんですかね。この見合いを軽く見ているんですね」

 これはお見合いに対する考え方の違いで、婚活アプリ等での活動歴が長い男性は、お見合いにカジュアルな服装で来てもいいと思っています。仲人型の結婚相談所の場合、お見合い場所はホテルのラウンジが多いので、スーツが一般的。ですが、婚活アプリの場合、飲み物を買ってから着席するようなカフェでもお見合いをしているので、服装もカジュアルでいいと思っている男性がいるのです。

 正光さんの服装は、確かにホテルのラウンジにはラフすぎました。しかし、まだ挨拶もする前から、彼にダメ出しをし、「そんな格好で来て、私をバカにしているのか」と思っていたら、それがお見合いしているときに、会話や態度に出てしまうでしょう。

 もちろん、このお見合いは正光さんからお断りがきました。その後、4件ほどお見合いをしましたが、すべて男性側から断られてしまいました。

 すると、亜由子さんが私に言いました。

「婚活を1年やってみて、自分が結婚できない人間だというのがよくわかりました。これ以上婚活しても時間とお金のムダだと思うので、退会しようと思います」

 結婚は、“できない”と自分で思ったときに、できなくなるのです。もうお相手に会うことを放棄するのですから。また、口を開けば、マイナスなことばかり口にする相手と一緒に暮らしたいと思う人はいませんよね。

もうこれ以上、傷つきたくありません

 もうひとつの結婚できないタイプは、被害者意識が強い人です。

 婚活は、フッたりフラれたりの連続。お見合いをして自分から断ることもあれば、相手から断られることもあります。

 自分からフッたときはいいのですが、相手にフラれると急に自己否定に入り、自分がいかに傷ついたかを強調する人がいます。

 真純さん(41歳、仮名)は、婚活歴3年。お相手男性の年齢を年下かもしくは43歳までと決めています。年齢を狭めれば、当然お見合いは組みづらくなります。

 あまりにもお見合いが組めない状況に、こんなことを言いました。

「私の年齢は、婚活市場の中では不利だというのはわかっています。ただ、まだ最後のチャンスに子どもを産みたいですし、相手の男性の年齢には妥協はしたくないんです」

 真純さんは、バリキャリタイプで年収も700万円ありました。ならば、「男性の収入には固執せず、年齢だけは譲れない条件にしたらどうでしょうか?」とアドバイスしたのですが、彼女は、こう言いました。

「お金を稼ぐというのは、その人の能力だと思っています。なので、年収は私と同じか、それ以上の方でないと尊敬できません」

 お相手に望む条件が厳しいので、お見合いはなかなか成立しませんでした。

 そんなとき、同い年の男性、竜夫さん(仮名)とお見合いができて、仮交際に入りました。結婚相談所では、仮交際の時期はほかの方とお見合いをしてもいいですし、何人とお付き合いをしてもいいことになっています。

 41歳で1000万円近く年収があった竜夫さんは、おそらく真純さんだけでなく、ほかの女性ともお見合いし、お付き合いをしていたのでしょう。

 週末に「この日が空いているので、お会いしませんか?」と真純さんが打診しても、「もしかしたら、仕事になるかもしれないので、それが決まってからお返事しますね」という回答が来ることが多かったのです。

 勘のいい真純さんは、それが仕事ではなく、ほかの女性とのお見合いやデートだと考えたのです。

「前回のデートは、私が竜夫さんに合わせてスケジュールを調整しましたよね。今回は、私に合わせてくれませんか? その日が仕事なら、仕事終わりにどこかでお食事するのはいかがでしょうか?」

 そんなメールをいただいた竜夫さんは、真純さんに気の強さを感じ、今後お付き合いしてもうまくいかないだろうと判断して、“交際終了”を出してきました。

 竜夫さんから、“交際終了”がくると、真澄さんは言いました。

「付き合っているときから、平気で人を傷つけるような発言が目立ちました。断られてよかったです。それと、私は婚活を始めてから、もう十分に傷つきましたので、これを最後に婚活は卒業したいと思います」

 お相手からお断りされると、自分を否定されたような気持ちになります。ただ、断ったり、断られたりの連続が婚活なのです。そこでいちいち傷ついていたら、前に進めません。

 終わった交際には執着しない。ネガティブな発想にならない。傷ついた、傷つけられたという被害者意識を持たない。

 お見合いに向かうときは、ニュートラルな気持ちで、何があっても前向きな方向に転換していくことが大事です。

 結婚をできる人というのは、どういう人か? それは、婚活を諦めることなく、結婚できるまで候補者に会い続けた人なのですよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/