事件現場の自宅はガレージの上に建ち、周辺宅と距離がある。約1か月前に引っ越したという

 ベビーカーに双子の男の子と女の子を乗せて散歩する母親は、いかにも幸せそうに見えたという。

「少なくともそんな動画を撮るタイプには見えませんでしたね。事件発生時も驚きましたが、まさか幼いわが子に殺意は抱かないだろうと思っていたので動画撮影のニュースはショックです。よっぽど思い詰めていたのでしょうか」

 と、近所の主婦は明るみに出た新事実を受け止められない様子だった。

高級住宅街に自宅を新築したばかり

 グズる長男を泣きやませようとして、敷布団で巻いたまま自宅2階に約40分間放置し、窒息死させたとして母親が逮捕されてから約2か月──。警視庁町田署が殺人の疑いで逮捕した東京・町田市の専業主婦・武田華佳(はるか)容疑者(31)がさきごろ、亡くなった長男・崇太郎(そうたろう)くん(享年2)に対する暴行容疑で書類送検された。

「容疑者のスマホを調べたところ、崇太郎くんを椅子に縛りつけた画像や、ヘアバンドを顔に打ちつける動画が見つかったらしい。

 華佳容疑者は殺人容疑については、すでに処分保留で釈放されており、別件が発覚したかたち。偶発的ではなく、日常的に虐待をしていた可能性が出てきた」(全国紙社会部記者)

 当初の殺人容疑は在宅で捜査が進められているとみられるが、華佳容疑者は逮捕のとき、

「これまでにも泣きやまないときに敷布団で巻いたことがあり、自力で脱出すると思った。泣き声が近所迷惑になると思った」

 などと話しており、あやすかわりに乱暴な手段をとっていたことを認めていた。

 一家は華佳容疑者と会社員の夫、崇太郎くんと双子の姉の4人家族。

 閑静な高級住宅街に自宅を新築し、昨年末ごろ徒歩約20分のアパートから引っ越してきたばかりだった。

「家族そろって引っ越し挨拶に回り、タオルを配って幸せそうでした。このあたりは穏やかな人が多く、子どもの泣き声にクレームをつける人は見当たりません。そもそも、周辺宅までそんなに泣き声は聞こえないと思いますよ」(近所の男性住民)

 容疑者宅は、地上1階部分にガレージがあり、その上に2階建て住宅を建てている。 

 仮に1階のリビングでグズったとしても周辺宅とは距離があり、「子どもの泣き声が気になったことは1度もない」(近隣宅)と話す。

 なぜ、華佳容疑者はそれほど神経質になってしまったのか。

病弱な長男の子育てに悩んでいた?

 前出の主婦が打ち明ける。

「崇太郎くんはいわゆる低体重児で、アトピー性皮膚炎もひどかったみたい。生まれたときは500グラムだったそう。

 双子のお姉ちゃんはそんなことはなく、崇太郎くんの育て方に悩んでいたのかもしれない。周囲には、子育て経験豊富でヒマにしている人がたくさん住んでいるんだから、誰かに相談してくれればよかったのに。みんな気の毒がっていますよ」

 しかし、医師の家庭に生まれ育った華佳容疑者はご近所を頼ろうとはせず、思考は内向きになっていった。

町内会に入らないかと誘ったときも、“息子が病弱で子育てがたいへんなので、とても町内会まで手が回らない”と入会を固辞したそうです。義務感はあったのか、息子さんの体調がよくなったら入会すると約束したらしい」(町内会関係者)

 そんな状況で唯一、頼りにしていたのは身内だった。

容疑者は子どもを連れて実家に入り浸っていた

 地域の事情通の話。

「徒歩で行ける距離に華佳容疑者の実母が住む実家があり、ほぼ毎日のようにふたりの子どもを連れて、朝から晩まで入り浸っていたんです。

 崇太郎くんは持病があったのかもしれませんが、双子のお姉ちゃんと元気に走り回り、ボール遊びをしていたそうで、そこまでひどい体調だったとは思えません。

 華佳容疑者は新築の自宅ではほとんど家事をせず、食事も実家。仕事を終えた旦那さんが夜に車で迎えに行っていた。実家頼みの生活だったんですよ」

 とすると、容疑者は4人での暮らしにうまく適応できず、実家に“依存”しすぎていたのかもしれない。

 住宅ローンはまだ3000万円近く残っているが、事件から1か月後には華佳容疑者の夫側の親族が来て黙々と引っ越し作業をしたという。

「表札も剥(は)がしてしまったし、もうここに戻るつもりはないのでしょう。華佳容疑者の夫は婿(むこ)養子なので、自分の実家での同居は言い出しにくかったのかもしれません。いまは夫婦と娘さんは容疑者の実家で暮らしているみたいですけれど」

 と前出の主婦。

事件発生前に救急車が駆けつける騒ぎが

 別の近所の女性は、事件発生前に起きた出来事が気にかかっている。

「事件の約1か月前、華佳容疑者宅近くに救急車が駆けつける騒ぎがあったんです。どのお宅が呼んだのかわかりませんでした。

 でも事件後、ご近所の人たちに確認したら、どうやら容疑者宅ではないかって。救急車を呼んだ事情はわかりませんが、このとき自宅内の異変に気づけていれば最悪の事態は防げたんじゃないかと話しています」

 事件があった6月23日の夜、華佳容疑者の実母は現場に駆けつけ、集まってきた近所の人たちに「孫が息をしなくなっちゃったみたいなんです」などと説明していたという。

 それにしても、なぜ、崇太郎くんを椅子に縛りつけた画像や動画を撮影したのか。実母の目の届かないところで何をしていたのか──。

 華佳容疑者の実家を訪ねると、インターホン越しに「はい」と若い女性の声。華佳容疑者に話を聞かせてほしいとお願いしたが、それきり応答はなかった。

 警察に「話すことはない」と供述しているという容疑者だが、もし本人だったら言い分を聞かせてほしかった。