大麻所持で逮捕された伊勢谷友介

 大麻取締法違反の疑いで9月9日に現行犯逮捕された、俳優の伊勢谷友介容疑者。伊勢谷容疑者は大麻所持について「自分が吸うため」と容疑を認め、さらなる捜査が続いている。

違法薬物と芸能界の距離

 薬物の使用や所持による有名芸能人の逮捕は、この数年だけでも数多いが、なかでも衝撃的だったのが、昨年逮捕されたピエール瀧(3月、コカイン使用による麻薬取締法違反)と、沢尻エリカ(11月、合成麻薬MDMAを含む粉末所持による麻薬取締法違反)ではないだろうか。両者とも大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(ピエール)、『麒麟がくる』(沢尻)に出演しており、それぞれ代役を立てての収録となったことでも大きな話題を集めた。

「伊勢谷容疑者も複数の待機作を抱えており、それぞれ対応を協議中の段階ですが、ピエールや沢尻のように、大きな仕事で活躍中の芸能人が、常習的に薬物を使用していたところに問題がありますね。

 伊勢谷容疑者も捜査の状況から常習していた可能性が高そうです。かつて薬物は、ちょっと仕事がうまくいかなくなった芸能人の心の隙間につけこむようなパターンが多かった。それなのに最近では、常習性が高く、しかも違法薬物が出回る世界が芸能人にとって身近になっているように思います

 と、ある芸能ジャーナリストは言う。

 過去数年、薬物により逮捕された有名人は数多くいる。ざっと振り返ってみると、2000年代以降、以下のような顔ぶれが逮捕されている。

<2001年>
いしだ壱成……大麻取締法違反
田代まさし……覚せい剤取締法違反('04年、'10年、'19年にも逮捕)

<2002年>
西川隆宏(元DREAMS COME TRUE)……覚せい剤取締法違反('06年にも同容疑で逮捕)

<2003年>
岡村靖幸……覚せい剤取締法違反('05年、'08年にも同容疑で逮捕)

<2006年>
大森隆志(元サザンオールスターズ)……覚せい剤取締法違反・大麻取締法違反

<2007年>
赤坂晃(元光GENJI)……覚せい剤取締法違反('09年にも同容疑で逮捕)

<2008年>
加勢大周……覚せい剤取締法違反・大麻取締法違反

<2009年>
小向美奈子……覚せい剤取締法違反('11年、'15年にも同容疑で逮捕)
押尾学……麻薬取締法違反
酒井法子……覚せい剤取締法違反

<2010年>
中村耕一(元JAYWALK)……覚せい剤取締法違反('77年にも大麻取締法違反で逮捕)

<2014年>
ASKA……覚せい剤取締法違反・麻薬取締法違反

<2016年>
清原和博……覚せい剤取締法違反
杉田あきひろ(元歌のおにいさん)……覚せい剤取締法違反
高知東生……覚せい剤取締法違反・大麻取締法違反
高樹沙耶……大麻取締法違反

<2017年>
田中聖(元KAT-TUN)……大麻取締法違反

<2019年>
ピエール瀧……麻薬取締法違反
田口淳之介(元KAT-TUN)……大麻取締法違反
小嶺麗奈……大麻取締法違反
沢尻エリカ……麻薬取締法違反

<2020年>
槇原敬之……覚せい剤取締法違反('99年も同容疑で逮捕)

「作品に罪はない」論争

 前記の顔ぶれを見るに、薬物で逮捕された後、逮捕以前のような華やかな活躍がみられる芸能人は、ほぼいないとみていいのではないだろうか。この中に“仲間入り”となってしなった伊勢谷友介。公開前の作品は、今度どうなるのかを前出の芸能ジャーナリストに聞いてみる。

「伊勢谷容疑者も初犯であり、おそらく執行猶予付きの判決が下されると思います。最近の傾向としては、観客が自分の意思で入場料を払う映画などに関しては、少し期間をおいてそのまま公開、地上波でのテレビドラマはカットし、代役を立てて再撮影というケースが多いです。ミュージシャンの場合も、店頭から作品の撤去や配信停止などの措置がとられますが、最近は『作品に罪はない』というファンの主張も多く、裁判などの経緯にともなって、徐々に再発売となるケースが多いです」

 実際、来年公開の伊勢谷容疑者が出演する映画『いのちの停車場』は、出演シーンをカットせず、そのまま公開することが決まった。とはいえ、今後の活動として、今までのような俳優としての仕事の減少は免れない。

 薬物での逮捕はイメージの回復は難しい。芸能活動に大きな影響を及ぼすと、テレビ関係者は言う。

「昭和の時代では、研ナオコさん、美川憲一さん、錦野旦さん、井上陽水さんなども逮捕歴があります。相当、どん底も味わってきたはずですが、みなさんその後も華々しく活躍されています。禊次第で復帰することも可能ですが、現在はコンプライアンスも厳しく、『なんであいつを出してるんだ』と指摘され、簡単に炎上したりする時代です。そのため、あえてリクスを犯してまで出す必要はない、という判断で、逮捕歴のある人の復帰はなかなか難しいものとなりました」

 独自の存在感を放ち、俳優としても評価の高かった伊勢谷友介。今後、彼の演技が見られる日は来るのだろうか。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉