矢上大助容疑者(左・本人フェイスブックより)と北條隆弘容疑者(右・知人提供)

「北條先生は道徳の授業を担当していました。まさか、あんな事件を起こす人に道徳を教わっていたなんて……」

 絶句しつつ語るのは、中学校教師をしていた容疑者の学校の生徒だ。

 大阪府警住吉署は9月3日までに、準強制性交などの疑いで大阪市内の元中学校教師、北條隆弘容疑者と埼玉県の元会社員、矢上大助容疑者を逮捕したと発表。捜査関係者によると、

「7年ほど前からSNSを通じて、中学校の教師である北條容疑者は『学校の授業で使うスーツ姿の写真撮影に協力してくれる人』を募集。謝礼は1万円で飲食つき。応募してきた男性を大阪市内の自宅に呼び、酒を飲ませて泥酔させた隙に睡眠薬を飲ませた」

 眠ったところでレイプし、動画を撮影していたという。

ゲイビデオの設定に影響されて

「東京のホテルに遠征したこともあります。犯行時は意識を失っていたため、被害者の多くは被害を認識していませんでした」(以下、捜査関係者)

 わずかに意識のあった被害者からの通報で事件は発覚。容疑者2人の自宅からは過去に強姦してきた男性との大量の動画が押収された。

「2人は11年ほど前、同性愛者向けの出会い系サイトで知り合ったようです。肉体関係はなく、あくまで犯罪を行う“パートナー”。いわゆるノンケと呼ばれる、同性愛者ではない男性を凌辱することに性的な興奮を感じて、物色していたようです」

 2人とも昔からわいせつ癖があったとのことで、

「出会う以前から単独で、路上で泥酔する男性に介抱するフリをして陰部を触ったり、ホテルに連れ込んだりしていました」

 睡眠薬を使った手口は、もともと矢上容疑者が行っていた。

「8年ほど前、矢上容疑者は不眠症で睡眠薬を処方された。睡眠薬を使って強姦を行う設定のゲイビデオを見た容疑者は影響を受け、まねしてわいせつ行為をするように」

 矢上容疑者から犯行を自慢された北條容疑者は「自分にも睡眠薬を譲ってくれ」と頼み込み10錠5千円で“凶器”を購入するようになる。

 被害に気づいていない、もしくは泣き寝入りも含めると200人~300人を超えるとされる被害者の数。

 2月の逮捕以降、主犯の北條容疑者は今回の一連の事件で警視庁でも逮捕、大阪府警を合わせると計8回、逮捕され、類を見ないわいせつ犯罪となった。

父親は目に涙を浮かべながら…

 北條容疑者は学校内でも危険人物だった。逮捕前の今年2月まで勤務していたが、中学校の生徒によると、

「特別支援学級で担任をしていましたが、昨年、泣き叫ぶ女子生徒を張り倒して地面を引きずり回し、教室の外に追い出していました」

「道徳の授業中、自分の腕毛を抜いて手のひらにのせ、男子生徒の背中にフーっと吹きかけていました」

 逮捕の事実を受け、北條容疑者は今年7月に中学を懲戒免職となっている。

 大阪で看板店の息子として生まれ育った北條容疑者は、3人兄弟の長男として奈良県にある教育系大学を卒業して教師になった。

「20年ほど前にお父さんが亡くなり、三男が家業を継ぎました。隆弘さん以外の兄弟はみんな結婚して家庭もあるようです」(近所の住民)

 実家でひとり暮らしをする母親を訪ねると、

「息子は20年前に家を出たきりで何もわかりません。本当に申し訳ございません」

 そんな北條容疑者に睡眠薬を売り、共謀してきたのが矢上容疑者だ。

 兵庫県で3人兄弟の三男として生まれ育ち、京都で芸術系の大学を卒業した。卒業後は開園間もないUSJで販売のアルバイトをしたり、携帯会社のコールセンターで働いたりなど職を転々としてきた。

 昨年の3月に埼玉へ引っ越したが、それまで一緒に暮らしていた実家の両親は犯行について知っていたのだろうか。

 実家マンションを訪ねると父親が目に涙を浮かべながら悲痛な思いを語ってくれた。

「犯行については何も知りませんでした。昔からおとなしい子どもで、しっかりしつけもしたつもりだったのですが……。高校生のときには当時の彼女を自宅に連れてきたこともありました」

 父親は認知症を患う妻と2人で暮らしているという。

「逮捕以降、何度も面会や手紙のやりとりをしていますが、被害に遭われた方に対して本当に申し訳ないと懺悔しています。世間や法律に対する認識があまりに甘かったと感じているようです」(父親)

スーツ姿の男性が好み

 さらに取材を進めると、7年前、大阪市内の北條容疑者の自宅マンションで隣に住んでいたという女性に話を聞くことができた。

「ほとんど毎晩のように、違う顔ぶれの男性集団が部屋に出入りしていましたね。ずっと騒いでいて、夜中の1時、2時まで続いていたので、すごく迷惑でした」

 恐ろしくて注意もできなかったというが、本当の恐怖はここからで……。

「あるとき突然、ピタリと音がやむんです。不思議に思って耳を澄ますと、女性のように甲高い男性のあえぎ声が壁を伝って漏れてきて……」

 まさか男性同士のレイプ現場だったとは。7年越しの真相に女性は青ざめる。

 築20年(当時)、1Kの密室空間では、地獄のような光景が繰り広げられていた。

 冒頭の捜査関係者が、さらに詳しい現場の状況を明かす。

「ほとんどが北條容疑者の単独犯で、矢上容疑者と共謀することも。性行為をするのは主に北條容疑者、矢上容疑者は撮影担当でした」

 北條容疑者がひとりのときは、自撮り棒を使ってハメ撮り(行為者自ら性行為を撮影すること)していたという。

 押収されたSDカードには、おぞましいレイプ現場の映像が克明に記録されていた。

「2人ともスーツ姿の男性が好みだったようです。北條容疑者は被害男性の顔の近くに顔つきの身分証(免許証など)を置いて撮影。後で名前ごとのフォルダを作成して、コレクションしていました」(以下、捜査関係者)

 撮影担当だったという矢上容疑者も行為に及ぶことがあったようで、

「毎回、被害者がはいていた靴を顔に押しつけたうえで、射精をしていました」

 矢上容疑者の父親に確認したところ、特段、靴に思い入れのある人物ではなかったようだが……。

「被害者が男性だからか、あまり報じられていませんが人数を考えれば重大事件です」

 捜査関係者は天を仰ぐばかりだが、望まぬ性交を強いるのは言語道断だ。