キャイ〜ン 撮影/北村史成

 テレビや舞台のみならず、今年6月にはYouTubeチャンネルを開設するなど、50歳になってもますます活躍の場を広げるキャイ〜ン。来年コンビ結成30周年。なのに話を聞くと、まるで新婚のような親密ぶりだった……!

衝撃の出会いからコンビ結成へ

 来年、芸能生活30周年を迎えるウド鈴木、天野ひろゆきによるお笑いコンビ・キャイ~ン。“芸能界きっての仲よしコンビ”として有名だが、その仲よしっぷりがハンパない。

 世の中、“表では仲よし、でも実は裏では……”なんて話もあるが、ふたりの絆にはうそ偽りがない。その秘訣を聞くと、天野ひろゆきは、「なにも期待しないことですかね」と話し、それを受けてウド鈴木が「僕はめちゃくちゃ期待しています」と返して笑い合う。なんて微笑ましい!
 

1991年の結成当初のアーティスト写真。

 結成は1991年。当時、20歳の2人だが、ウドが1年早く事務所の浅井企画に所属していた。

天野 出会った瞬間のことをずっと覚えている人ってなかなかいないと思うんですけど、この人はものすごくインパクトがあったんですよ。

ウド 僕が遅刻したからですね。

天野 遅刻ったって、フツーじゃないんですよ。8時間くらい遅れてきたんですから。あの日は浅井企画の若手芸人の決起集会だったんですけど、さんざんみんなで話し合って、さぁお開きって瞬間に部屋に入ってきて。

ウド 連日のバイトで睡魔に負け、すこやかに寝ちゃってました、どうもすみませんでした!

天野 睡魔に勝ったことなんてないでしょ?

ウド はい、すいません。僕も天野くんのことをよく覚えてます。“ずん”の飯尾さんとか浅井企画のみんなは、“何時間遅れてんだよ!”ってツッコんでくれたんですけど、そんな中で、僕の目の前を無言ですーっと通り過ぎていく影が……。はい、それが天野くんでした!

天野 だって、あんまり関わりたくなかったんだも〜ん、8時間も遅れてくるような人。しかも、ペイズリー柄のジャンパーに白いスラックスをはいて、まるでチンピラみたいだったし(笑)

ウド 関わりたくないから、それがまさかの30年。

天野 だから1回目の印象は危ない人だったね。で、2回目は、危ないけどおトボけのおもしろい人と興味が湧き、3回目に会ったときに、この人を利用してやろうと。こう話すと僕が悪い人みたいだけど、そうさせるウドがいけない(笑)。2回目なんて、僕が話しかけたら、“鼻クソほじってるときに話しかけないでよ〜”って言いながら、両手で鼻クソほじってましたから。

ウド 時短です。

天野 そんな時短するほど、忙しくなかったでしょうに。

ド緊張の紅白歌合戦初出場

 時短するほど忙しくない、と言いつつ、キャイ〜ンは結成後すぐに売れっ子の多忙なコンビになった。ココリコ、よゐこ、ナインティナインたちとは同じ世代、お笑い第4世代と呼ばれて一時代を築く。『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』では、企画から派生したユニット、ブラックビスケッツで天野が、ポケットビスケッツでウドがNHK紅白歌合戦にも出場した。

天野 紅白は緊張しましたよ〜。南原(清隆)兄貴が、“緊張すんなよ、大丈夫だから”って声をかけてくれたけど、そんな兄貴の顔を見たら、ガッチガチで(笑)

ウド これは夢か現実か? とNHKホールの天井から自分を俯瞰で眺めている感覚でしたね。千秋ちゃんとビビアン(・スー)さんがめちゃんこ、かわいかったです〜。

天野 こんなところがキャイ〜ンの歴史の序盤ですが、とにかくいろんなことがありましたよ。来年はいよいよ30周年という節目を迎えるにあたり、YouTubeで『キャイ〜ンのティアチャンネル』という番組を始めたので、そこでこれまでの集大成的な企画とともに、新しいこともできたらいいなと。配信系のチャレンジは初ですから。

キャイ〜ン 撮影/北村史成

 配信系のチャレンジといえば、ABEMATVの『7・2新しい別の窓』(ななにー)にもふたりは出演、絶妙な司会進行とトークが絶賛されている。

天野(香取)慎吾くんとは『天声慎吾』からのお付き合い。SMAPというグループが転機を迎えたときに、僕らも何かできたらいいなと考えていたので、“ななにー”の立ち上げで依頼をいただきました。

ウド もううれしくて即答でしたよね。

天野 僕の子どもが生まれたときも慎吾くんはお見舞いにきてくださって。つよぽん(草なぎ剛)は『「ぷっ」すま』で一緒だったんですけど、“ななにー”からは(稲垣)吾郎ちゃんとの付き合いも始まり、あの3人には感謝です。彼らの発信するエネルギーをもらってます。

いつでも脱ぐ覚悟はある!?

ウド 僕らもがんばらないとね。『キャイ〜ンのティアチャンネル』はいつも収録が楽しみで。

天野 ウドちゃんは僕とふたりっきりになりたいみたい(笑)。今のお笑い第7世代とは違った妙なお笑いの空間みたいなものを、ちょっと楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。

ウド そう、“キャイ7世代”をね! 僕はね、天野くんに女性水着を着てもらったりとか、いろいろやりたいんですけど。

天野 台本がよければ、いつでも脱ぐ覚悟はあります(笑)

ウド きっと、かわいいですから。

天野 ウドちゃんは僕のこと、“かわいい、かわいい”って言ってくれるんだけど、そこが世間とのズレを感じるんですよ。でも、ティアチャンネルで将棋をやったときは、僕の手がかわいいってコメントがありました。すごくコアな人に受けるチャンネルになってます。

ウド 50のおじさんがイチャイチャしてますから、ぜひ見てください!。
 
 インタビュー後の写真撮影でも、笑い合いながら息ぴったりに2人でポーズ。このコンビ愛、やはり本物だった!

キャイ〜ン 撮影/北村史成

のろけトークはまだ続く!

 キャイ〜ンの最初の転機となったのは、芸人集団である大川興業の『すっとこどっこい』というライブだそう。

天野 江頭2:50さんとかも出ていたんですけど、大川総裁から“2人のコントはおもしろいんだから、もっと出たほうがいいよ”と誘ってくれて、ステージに立つようになってから自分たちに自信がついてきたよね。

ウド あのころから、いろんな人が天野くんの才能を見抜いてくれたんです。さまぁ〜ずさんも、“天野ブータロー”ってかわいがってくれました。

天野 アハハハ

ウド ウッチャンナンチャンの内村(光良)さんと南原さん、(笑福亭)鶴瓶さんも、“天野くんって周りをよく見ていて、痒いところにも手が届くやつだ”って。

天野 いやいや。やっぱりウドちゃんのその愛されるキャラがあってこそだから。

……と、ここからも終始のろけトーク。やっぱり愛し合うふたりでした(笑)。

取材・文/いくしままき