世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。
瀬戸大也選手

第12回 瀬戸大也

『週刊新潮』が競泳男子の東京五輪代表・瀬戸大也選手の不倫を報じました。

 瀬戸選手と言えば、金メダルにもっとも近いといわれる選手。妻は美人アスリートとして名高い元飛込選手の馬淵優佳さんで、夫妻にはお子さんもいます。「人も羨むいい夫婦」の二人が、仲よく出演していた味の素のCMをご覧になった方も多いことでしょう。

 しかし実際は、瀬戸選手は優佳さんの仕事中に、一般人女性とまあまあお安めのラブホテルにしけこみ、1時間半という短時間で情事を終えると、お子さんの保育園のお迎えに向かったそうです。当日の優佳さんのインスタグラムに《家で2人の子守をしてくれた旦那さんに感謝》という愛され妻の定型文がアップされていたのは、今となっては物悲しいところです。

 これを皮切りに、瀬戸選手はインスタグラムを使って地方在住の女性をナンパをし、不倫関係を結んでいたことを同誌が報じるなど、ヤバいエピソードがたくさん出てきてしまったのでした。

ワンオペ育児の妻にモラハラ発言

 瀬戸選手も自身のSNSに家族写真を投稿するなど“いい夫”アピールをしていたわけですが、イメージダウンはとどまるところを知りません。『女性自身』では、優佳さんの知人女性が、いかに優佳さんが瀬戸選手のわがままに耐えてきたかを証言しています。

 突然、断食をやりたいと言い出して優佳さんを付き合わせて自分は途中でやめてしまったり、妊娠中に二人で行ったホームセンターで突然、瀬戸選手が犬を飼いたいと言い出し、猛反対する優佳さんを押し切ったりと、かなり気分屋なようです。瀬戸選手に競技に集中してもらうために、ワンオペ育児で奮闘していた優佳さんに対し、「女を忘れたらいけないよ」とダメ出しするなど、モラハラっぽい言動もあったそうで、女性人気が低下したことは間違いないでしょう。

 いい夫の仮面をかぶった不倫モラハラ男──。ある独身女性は「こういうニュースを聞くと、結婚するのが怖くなる」と話していましたが、どうして家庭円満をアピールするオトコが不倫をするか、そして不倫がバレるかというと、変な言い方ですが、「家庭が円満だから」だと思うのです。

 優佳さんは結婚後に競技を引退していますが、それは家庭と競技のバランスに悩んだというより、純粋に夫のためのようです。

『女性自身』の「シリーズ人間」に登場した優佳さんは、《私のなかでは、自分がオリンピックに行きたいというより、大也の金メダルの挑戦をサポートしたいという気持ちが占めたんです》と話しています。それは夫への愛情かもしれませんし、同じアスリートだからこそ、夫の才能の大きさに気づいているからかもしれません。

 日本は「女性が、自分を投げ捨てることが愛」と信じる人がいまだに多いので、夫のために競技を引退した優佳さんを「いい妻だ」と好意的な目で見る人もいるでしょう。しかし、これは優佳さんにとっては大きな賭けです。夫が勝てなければ、自分の人生の決断は「失敗した」ことになってしまうからです。そうなると、夫に「勝ってもらう」ことが、優佳さんの至上命令になりますから、パワーバランスは、夫>妻となります。

夫の大出世で「夫>妻」の関係性が固定化

 幸い、瀬戸選手も優佳さんの献身に応えるかのように、2019年の世界選手権では200メートルと400メートルの男子個人メドレーで二冠を達成し、東京五輪代表に内定しました。前途有望なできる夫、献身的で美しい「いい妻」を企業が放っておくわけはなく、味の素のCMが決まります。

 二人の頑張りと苦労が報われてよかったねと言いたいところですが、夫の大出世というのは、実は夫婦の危機になる可能性を秘めています。「自分がここまで来られたのは、キミのおかげだ」と夫が妻に素直に感謝できればいいのですが、売れた芸能人が糟糠の妻を捨てるケースが多くあるように、成功すると心が浮つく男性は多いもの。交友関係も派手になるでしょうし、「家庭を大事にする」といういいイメージの瀬戸選手に近寄ってくる女性もいて、浮気の可能性は高まるでしょう。大金が入ることも良し悪しで、妻が夫に遠慮して意見を言いにくくなることもあるかもしれません。「夫>妻」という関係性はますます固定化されていくのです。

 このように、お金や夫の浮気のリスクなど、家庭内に不穏の種があるとしても、世間というものは物事の上っ面しか評価しませんから、「夫婦円満」とほめそやします。もしかすると、世間に「夫婦円満」と言われている時点で、そのカップルはヤバいのかもしれません。

馬淵優佳さんのインスタグラムより

 スポンサーがつくと、妻も変わらざるを得ません。好むと好まざるとに関わらず、SNSを駆使して、自分のイメージを上げることが「お仕事」になります。はっきり言うと、アップした内容が本当であるかどうかは問題ではありません。いい家族、愛され妻だと人に印象づけることに意味があります。ただし、今回のように夫が不祥事を起こすと、「あんなに仲よしアピールしていたけど、不倫されてたね」と「いい妻」から一気に「ヤバい妻」に転落してしまうので注意が必要です。

不倫相手の女性に湧くヤバい願望

 さて、SNSで愛され妻として幸せをアピールする女性を、不倫相手の女性が見たらどう思うでしょうか。イラっとすることは間違いないでしょう。常識で考えれば、既婚男性と知っていて交際することがヤバいのですが、男女関係というのは理屈では割り切れない部分が多いもの。相手の男性、もしくは妻を傷つけてやりたいというヤバい願望が湧いたとしても不思議はないでしょう。今回のケースがそうだと断じるわけではありませんが、ネットで週刊誌に簡単にタレこめる時代ですから、その気になれば行動に移すことは簡単ではないでしょうか。

瀬戸大也選手の“不倫”相手とされる女性のツイッター

 瀬戸選手は、日本水泳連盟に五輪の競泳日本代表の主将を辞退すると申し入れ、JOCのシンボルアスリートも辞退しています。ANAとの所属契約、味の素との広告出演契約を解除されるなど、かなりの犠牲を払っています。図らずも、夫に何かあると、妻子の生活まで危うくなってしまうという専業主婦のリスクをそのまま体現した形になってしまいました。

 優佳さんが結婚生活を続けるのかどうかはわかりませんが、どちらを選ぶにしても、とりあえず競技に復帰したらいかがでしょう。自分の努力が自分に返ってくるというシンプルな喜びは、優佳さんに自分の力で生きる喜びを思い出させてくれる気がします。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」