『たんぽぽ』川村エミコさん

「私、お付き合いする人とはいつも“この人と結婚する”という気持ちでいます」

前向きな“ブスキャラ”の原点

 お笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当、川村エミコは、自身の恋愛観についてこう語り始めた。自身の半生を綴ったエッセイを、くしくも40歳という節目で執筆した彼女。

「心の中の“記憶の泉”を、温泉の源泉を見つけるようにコツリコツリと叩いて、そこから噴き出した記憶と感情を書いた感じ」

 という作業で再確認した、川村エミコという“自分”を振り返ってもらいました。彼女の恋愛で注目を浴びたのがアダルトグッズ『TENGA』の社長との恋。彼との恋でも、結婚を意識していた?

「もう4年くらい前のことですね。この人をホップ、ステップのホップにして……とか思いながら恋愛していませんよ。お付き合いしたら、ずっと一緒にいたいな、って毎回思っています。とはいえ、これまで3人としかお付き合いしたことがありませんけど(笑)」

 と、目を乙女のようにキラキラとさせる川村。明日どこへ行きたい? と聞かれると「嫁に行きたい!」と返すくらいに結婚願望がある。

「ただ、焦っても男の人は逃げてしまうとうかがったので、そういう願望がわからないよう、水面下に隠しながら婚活しております」

 今までの3回の恋愛ははかなく散ってしまったが、その原因は何だと思う?

「何なんでしょう……。本当に大事なことを言えないというのがあるのかも。暗くて静かでネガティブに見えるかもしれない私ですが、気持ちがそこまで相手に入り込んでいなかったり、恋愛関係ではない男性に対しては意外とポジティブに、ストレートな言葉をぶつけられるんですけど」

思い続けてまっしぐら

 冷静に自己分析ができている彼女。では、これまでの恋愛で学んだことは? 

「“自分から好きになった人とは付き合えない”ということですかね。めちゃくちゃ恋はしていますけど、スタートは相手からじゃないとうまくいかないんです。

 好きになるとまっしぐらですよ。ひとりの人を5年くらい好きだったこともあります。この恋は実りませんでしたけど、5年の間に何回も告白してはふられてを繰り返し……。でも、連絡すると会ってくれるんですよ。いいかげん自分でも、このループは何なんだろう、って思っていましたけど、気持ちが入り込んじゃって(笑)。

 あと、嫌われたくない願望がすごく強いです。これはいじめられていた後遺症かもしれません」

 川村は小学校、中学校とかなりひどいいじめにあっていた。学校に行くと毎日、上履きと下履きが自分の下駄箱に入っていない。あるときは上履きの中に、木工用ボンドがたっぷりと流し込まれていたり……。

「それは小学校1年生のときでしたね。中学校のときは、机の横にかけていた巾着袋に“バカ”“死ね”と書かれた紙がいっぱいに入れられていたり。これは誰がやったかわかったので、その子のところへ“あなたですよね、謝ってください”って言いにいきました」

 普通、いじめられっ子だとそこまでの行動力はなく、不登校になったりするのだが、

「先生に告げ口に行くとか思ったことはなかったし、学校に行きたくないと思ったこともありませんでした。ある意味、鈍感でもあったし、強い部分もあったのかなと思います。

 それにほかの人に迷惑をかけるのもイヤだったんです。例えば学校を休んだら、私をいじめていない人にノートを借りなくてはいけないじゃないですか。そうすると、なんであいつに貸したんだ、ってその子がいじめられるかもしれない。

 いじめることなんて何の意味もない、死ぬときにムダな時間を使ったなって後悔するのはいじめたほうだと思ってましたから」

私は変わってない、周りが変わっただけ

 中学生とは思えない、達観しているようにも見える。

「達観というより、ただ人に頼りたくないというのが大きいですね。誰にも頼らず生きていく、みたいな(笑)。でも“今に見ていろ”という気持ちは少しあったかな。2割くらい。

かわむら・えみこ1979年12月17日生まれ。白鳥久美子とのお笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。趣味はこけし集め

 だから今、私を当時いじめていた子からフェイスブックで友達申請とかきますけど、大らかな気持ちで承認します。“バカ”“死ね”と書いた紙を入れてきた子からも申請がきました。

 名前を思い出すだけでもイライラしますけど、私も大人ですし、別に承認するだけですから(笑)」

 相手は「タレントと友達なんだ」と周りに自慢しているかもしれないけど?

「いいと思いますよ。それこそ私は昔から何も変わっていないけど、相手が変わったということだから。“してやったり”という気持ちでいっぱい。私は信念貫きました、以上! って(笑)」

 ひとりで世間を生き抜き、心が強くみえる川村だが、

「ひとりで悲しいな、いやだな、って思う自分もいますし、弱い部分だってありますよ。ちょっとしたことですごく気にしちゃうこともありますし。強いけど弱い、弱いけど強いということをわかってくれる男性を探している川村です、って感じ(笑)」

 幼稚園のとき、将来の夢を友達の前で発表するとき、緊張してしまい周りの1番人気だった夢の「花屋さん」と、つい口にしてしまったという彼女。心の中では「舞台に立つ人になりたい」と叫んでいた。その口に出せなかった夢をつかみ、実現させたいま思うことは?

「周りからみたらネガティブに見えるかもしれないけど、私は私なりに前向きに生きてきたと思っています。高校生のとき、本当は演劇部に入りたかったけど大きい声を出すことができないから、まずは剣道部に入って声を出せるようにしようとか。はたから見たら理解できないかもしれないけど(笑)、自分の中では本当に少しずつだけど前に進んでいるんです。

 大学生で演劇研究会に入り、1年生で初めて出させていただいた長編の作品で、お客さんからいただいたアンケートに“川村さんの演技を見て、すごく泣けました”というのがあって。それが支えでここまでこれたかなって。

 あと自分はドMなんでしょうね(笑)。演劇やお笑いといった、ひたすら答えのないことに対して自分を追い込んでいくことに快感を感じますから。だから今まで続けられたのかなと思います」

 子どものころに見ていた夢を叶えた今、次に向かう先は─。

「ネタを書いたり、これまで同様アウトプットできる場所でのお仕事は変わらず続けていき、声のお仕事、ナレーションのような違うジャンルのことをやってみたいです。私、自分がやりたいと思ったことを形にするまで15年くらいかかりました。それって自分自身のことをよくわかっていなかったからだと思うんです。

 なので、思ったことを言葉にすることの大切さ、自分自身を知ることの大切さを子どもたちに伝えたい。自分が何が好きか、どんなことに楽しみを感じるのか。そのためには勉強も必要だし、その手助けができたらな、と思います。でも、いちばんは……結婚です!」

『わたしもかわいく生まれたかったな』(集英社)著=川村エミコ 父親に「あまりきれいなほうじゃないです」と言われた幼稚園のころ。小学生のときのあだ名は粘土ー。自身の過去を振り返った初めてのエッセイ(集英社刊 税込み1320円)※記事中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

川村エミコ(かわむら・えみこ)……1979年12月17日生まれ。白鳥久美子とのお笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。趣味はこけし集め。

《取材・文/蒔田稔》