柄本明

 角替和枝さんが64歳で亡くなったのは'18年10月27日のこと。もうすぐ三回忌を迎える。

「角替さんは名脇役として知られ、NHK朝ドラには『ハイカラさん』や『ひまわり』など6本も出演しています。所属していた劇団『東京乾電池』は、夫の柄本明さんが座長を務めていて、2人の息子は役者である佑さんと時生さん。それぞれの奥さんは女優の安藤サクラさんと入来茉里さん。芸能界を代表する演劇一家です」(スポーツ紙記者)

 柄本が角替さんにひと目惚れし、'81年に結婚。居を構える東京・下北沢でも有名なおしどり夫婦で、近所の喫茶店『cafe Canaan』には、ふたりで通っていた。

お互いを“えもっちゃん”“和枝ちゃん”と呼んでいました。店内で長い時間、家族のことや演劇について語り合っていましたよ」(店主の佐々木研次さん)

 長年連れ添っていただけに柄本の悲しみは深かった。

「角替さんのお別れ会では、“いつも一緒にいましたから、こうなるとは思いもしなかった、考えもしなかった。今は毎日、毎日、覚めない夢の中にいるようです”と涙ながらにスピーチしていました。本当に愛し合っていたんですね」(お別れ会の参加者)

 ふたりが可愛がっていた愛犬も、今年5月に亡くなってしまったそうだ。

愛犬は自宅の庭に埋めて、お墓を作ってあげたそうです。よく一緒に散歩しているのを見かけたので、残念な気持ちでいっぱいでしょうね」(近所の住民)

「寂しいけど、しかたない」

 悲しみは続くが、まだ妻への気持ちの整理ができていないようだ。

和枝さんと生前交流があった人や近所の方が、今でもお線香をあげに柄本さんのお宅を訪れていますが、まだ遺骨が置いてあるそうです。やっぱりまだそばにいたいのかもしれませんね」(舞台関係者)

 遺骨を自宅で保管することに問題はないという。

「四十九日を過ぎたらお墓に納骨し、位牌だけを持ち帰り仏壇に置くというのが一般的でした。でも、最近では納骨せずに自宅で保管する“自宅供養(手元供養)”も増えていますね」(葬儀会社関係者)

 これからも、遺骨は自宅に置いておくつもりなのだろうか。10月中旬の昼下がり、自宅から出る柄本に話を聞いた。

─奥さまの三回忌を迎えますが、今はどんなお気持ちですか?

うん、寂しいけど、まぁしかたないよね……

 思わずホンネが漏れる。

─まだお骨を自宅に安置されているそうですね。

そうだね。でも、そろそろ納骨を考えているよ

 2年がたち、大好きな妻と離れる決心がようやくついたのかもしれない。役者としても、力強く歩み始めている。

「TBS系のドラマ『半沢直樹』で見せた箕部幹事長の演技は圧巻でしたね。コロナ禍の中でもネット配信でひとり芝居を上演。角替さんがシニア向けに開いていた演劇教室も、柄本さんが引き継いでいます」(芸能プロ関係者)

 演劇一家の長としての役割を果たすことが、亡き妻への何よりの供養になる。