森七菜

《「#恋あた」トレンド世界一!森七菜&中村倫也の“相合傘シーン”に「キュンキュンした!!」》
《<この恋あたためますか>森七菜“樹木”が「可愛い」と話題に 「#恋あた」が世界トレンド1位》
《森七菜の表情と演技を堪能できる! 『恋あた』は“本物”であることを証明する主演ドラマに》

 10月20日にスタートしたTBS系の新ドラマ『この恋あたためますか』放送後、ネットニュースメディアでは上記のようなタイトルのポジティブな記事が配信された。若干19歳の新鋭女優・森七菜と遅咲き俳優・中村倫也が織りなすラブコメディーは、初回視聴率は惜しくも二桁に届かず9.4%。第2話は9.1%、第3話で8.4%と推移している。

 2019年1月の菅田将暉主演ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)に生徒役で出演し、7月公開の映画『天気の子』でヒロイン役の声優に大抜擢されて一躍、世間から注目される存在になった森。

 そして11月に『日経トレンディ』の「2020年 来年の顔」に選出されると、堀北真希や新垣結衣、広瀬すず、清原果耶らを輩出した若手女優の“登竜門”というべき、『全国高校サッカー選手権大会』の「15代応援マネージャー」にも選ばれたのだった。

「そんな“2020年の顔”らしく、NHK朝ドラ『エール』ほかドラマは4本、映画は3本、CMも4本と今年に入ってさらに露出アップ。しかも出演映画『ラストレター』の主題歌で歌手デビューし、日テレ系『24時間テレビ』エンディンングで『サライ』を歌うなど、女優以外の分野でも才能を開花させています。まさにこの2年間は“シンデレラ”級の勢いです」(スポーツ紙記者)

森に対して“ゴリ押し”の声が

 ところが、そんな活躍ぶりにネット上ではやむなしというか、こんな疑いの声も聞こえてくる。

「いわゆる“ゴリ押し”ではないか、と。しかし、森が所属する芸能プロダクションはメディアに顔が利きやすい大手事務所の系列でもなく、彼女を含めて所属タレントは3人しかいない事務所。それに以前とは違って、仮に特定の人物をあからさまに起用しようものなら、すぐに“ゴリ押しだ! ”とネットの“エジキ”になってしまう時代です。今やリスキーでもあるのです」(ワイドショーディレクター)

 ではナゼ、彼女ばかりがことごとく起用され続けるのだろうか。日経BP総研上席研究員の品田英雄氏に聞くと、

「今、世の中は各分野で世代交代が進み若年化しつつあります。少し前までは“自立した強い女性”像が目立っていましたが、かわいらしくて小柄な女性が求められている時代に移り変わってきていると思います。その中でも『天気の子』から始まり、若くて透明感がある、そして演技ができて声もいい森さんは、クリエイターからは“おもしろい子”として映り、起用したくなるのではないでしょうか。

 それに田中みな実さんがウケているように、これまではネガティブとされてきた“したたかさ”“あざとさ”が女性の魅力の一つとして受け入れられる時代になりました。そのいい意味での“あざとさ”を、戦略なしに表現できる“素の凄さ”を持ち合わせています。それが時代にマッチしたことも合わせた森さんの強さだと思います」

『天気の子』では、2000人以上のオーディション参加者からヒロインの座を勝ち取った森。大ヒット映画『君の名は。』(2016年公開)のヒロインから大ブレイクした上白石萌音を倣(なら)うように、“あの新海誠監督が見出した才能”を業界全体が追って起用する流れもあるようだ。

 今年1月公開の映画『ラストレター』で、同じくオーディションによって彼女を選んだ岩井俊二監督も映画雑誌のインタビューで、

参考資料となる映像を見た時点で決まりというか、即“この子がいい!”という感じでしたね。森七菜ちゃんはいろんなものを持たされているなというのが第一印象でした。歴代のいろんな女優さんの顔がオーバーラップしてくるような、そういう意味で恵まれている子だなと思います》

 “即決”だったことを明かしていた。やはりクリエイターを惹きつける魅力があるのだろう。

恩師が見出した最後の才能

 一方で、広告会社関係者によれば、この2年間で彼女を取り巻く環境が大きく変化しているとも。

「たしかに七菜ちゃんは、ある意味で“いろんなものを持たされている”とも言えます。所属事務所の『アーブル』さんは、もとは2.5次元舞台の制作・プロデュースや音楽事業などを展開していた『アルテメイト』のマネジメント事業として立ち上げられました。

 社長を務めていた映像プロデューサーのKさんは、他にも広告やイベント、映像関連のキャスティング事業を主とした『ギャンビット』を経営していました。彼女の初写真集を出版したのも、このギャンビットです。

 そしてギャンビットと、音楽エンタテイメント事業を展開する『スペースシャワーネットワーク』、映画やドラマの企画制作を手がける『ダブル・フィールド』、そして大手アニメーション総合プロデュース会社である『トムス・エンタテイメント』が中心になって2013年に共同設立したのがアルテメイトだったのです」

 つまりアーブルは、アニメ、広告、音楽、映像の各プロフェッショナル企業による一大プロジェクト。その中心となってプロデュース業を手掛けていたのがKさんだったようだ。

「七菜ちゃんは映画『地獄少女』(2019年11月公開)に出演しているのですが、同作の制作総指揮を務めたのもKさん。“ちょいワル”でいかにもな業界人風でしたが、そうした豪快な性格の一方で、困った人があれば黙って助けるような人情があり、人望の厚い人でした。

 ですが、Kさんは昨年1月に病気で亡くなり、アーブルは独立する形で同年7月に改めて新会社として立ち上げられ、アルテメイトは2020年3月をもって解散しました。七菜ちゃんはいわば、Kさんが見出した最後のプロデュースタレント。彼にお世話になった業界人は多いと聞きますから、もしかしたら彼の“慧(けい)眼”を信じての起用、ということもあるのかもしれませんね」(前出・広告会社関係者)

 新海監督や恩師に見出された才能は、大きく花開くことになるのだろうか。