(左から)中川大志、福士蒼汰、田中みな実、宇垣美里

 ルックスがいい、頭の回転が速い、類いまれなる才能がある……。そんな個性のエキスパートたちが選ばれる芸能界。とはいえ、これまでいろんな“カブった”芸能人が存在しました。中には、さーっぱり区別がつかない人たちも……。そんなアチャ~な存在を総ざらいします!

“キャラカブり”は死活問題

【主戦場が同じで仲が悪そうな芸能人】

 小林麻耶×田中みな実×宇垣美里

 浅野温子×浅野ゆう子

 芸能人にとって、キャラがカブった相手は仕事を奪い合う敵同士。熾烈な争いが繰り広げられていても不思議はない。テレビ画面を通しても、それがなんだか伝わってくる人たちがいる……。

 TBSの女子アナからフリーに転身した、田中みな実と宇垣美里のふたりは、可愛らしい容姿や出自、その魔性っぷりに“カブり”を感じている人も多いはず。フリーアナウンサーの徳光和夫を父に持ち、田中とも交流がある徳光正行さんはこう語る。

「田中さんは本当に努力の人。アナウンサーとしての基礎がしっかりできていて、実力があります。彼女は先を見据えてステップアップしていますが、一方の宇垣さんは勢いでTBSを飛び出した印象です。努力ぶりに関しては、ふたりはあまりカブっていないように感じます。現在の宇垣さんに対して田中さんは『あれじゃあダメだよ』と注意しているとか」。とはいえ、視聴者としてみたらなんともバチバチ感を感じてしまうんですけど……。

 実際にライバル視をしていた過去を暴露したのは、W浅野のひとり、浅野ゆう子だ。トレンディードラマ『抱きしめたい!』で共演し、一世を風靡したW浅野だが同ドラマのオープニングで、浅野温子の名前と顔が自分よりも先に映ることにイラッとしていたと、トーク番組で明かしたのだ。当時の現場はピリピリムードだったに違いない……。

【その他の“キャラカブり”芸能人】

 広瀬すず×橋本環奈

 SHELLY×ベッキー

 宮崎あおい×二階堂ふみ×蒼井優

 壇蜜×橋本マナミ

 益若つばさ×きゃりーぱみゅぱみゅ

プライベートも仲よしな芸能人たち

【“キャラカブり”が好印象な芸能人】

 高畑充希×有村架純

 JOY×ユージ

 長嶋一茂×石原良純

(左から)高畑充希、有村架純

 CMやドラマに引っ張りだこの有村架純と高畑充希。彼女たちは、ネットで「双子みたい」と評されるほどキャラがカブっているが、険悪さはなく、プライベートでも大の仲よしだとか。

「有村と高畑は、黒目がちな目や丸顔というビジュアル面や、朝ドラヒロインを務めていた時期も近く、共通点が多いふたり。SNSでも仲睦まじい姿を見ることができます」(芸能レポーター)

 これからも手を取り合って前に進んでほしい。

 なかには、キャラカブりを利用して仕事につなげているツワモノもいる。ハーフタレントのJOYとユージだ。ふたりが登壇したイベントでは、わざと司会者がユージに「JOYさん」と話しかけるなど、キャラのカブりを完全に持ちネタへと昇華している。

「このふたりは、見分けがつかないままで大丈夫だと思います(笑)。顔だけじゃなくて芸風も似ているから、一方が体調不良のときは代役してもらえますよね」(徳光さん)

「有名な親の朗らかな息子」キャラとして共演が多い長嶋一茂と石原良純も、プライベートでも親しいという。キャラカブり同士で共闘すれば、厳しい芸能界も怖くない?

【その他のキャラカブりが好印象な芸能人】

『バイプレイヤーズ』の出演者たち

 シシド・カフカ×秋元梢

代役として駆り出される、選定基準とは?

【“代役”芸能人】

 沢尻エリカ→川口春奈

 志村けんさん→沢田研二

(左から)川口春奈、沢尻エリカ

 人生は、いつ何が起きるかわからない。それは芸能人も同じこと。ドラマや映画の撮影中に演者にハプニングが起きたら、代役を立てて続行するケースもある。素人考えでは、顔が似ている人が代役に選ばれそうだが、某キー局でプロデューサーを務めるKさんは「顔はほとんど関係ない」と語る。

「代役を立てるときは人物の原点に立ち返って初めから選び直します。登場人物の性格や雰囲気を見直したり、歴史上の人物なら本人の人物像を考慮したりして、再び選考するので、前任の演者に似ていない人が抜擢されることも珍しくないです」

 NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』の撮影中に麻薬取締法違反で逮捕された沢尻エリカ。同作で彼女の代役に川口春奈が選ばれたときは、沢尻とのギャップに驚いた人もいるはず。真相は不明だが、イチから帰蝶役を選考した結果のキャスティングだったのかもしれない。

 また、「経歴や、芸能界での立ち位置が似ている人を探す傾向もあります」(芸能事務所社員)とも。

 亡くなった志村けんさんが出演する予定だった映画『キネマの神様』の代役に、沢田研二が選ばれて話題になった。志村さんと沢田はドリフでは一緒に鏡コントを披露した盟友。志村さんの役をジュリーがどう演じるのか、2021年の公開が待ち遠しい。

【その他の“代役”芸能人】

小出恵介→賀来賢人

清原翔→成田凌

天海祐希→宮沢りえ

新井浩文→やべきょうすけ

ピエール瀧→武内駿輔(声優)

ショーンK→モーリー・ロバートソン

時代を超えたキャラカブり

【“系譜”が同じ芸能人】

 YOSHIKI→Gackt→ROLAND

 ハイヒール・モモコ→鈴木紗理奈→ファーストサマーウイカ

(左から)YOSHIKI、Gackt、ROLAND

 ときおり「この芸能人、既視感があるな」と感じることはないだろうか。それこそが“系譜カブり芸能人”だ。例えば、YOSHIKIから始まる、ビジュアル系なミステリアス男子の系譜。2000年以降はGackt、近年はROLANDが、その役目を担っている。

「彼らは謎のベールに包まれていますよね。YOSHIKIは音楽活動を中心に生計を立てているのはわかりますが、GacktとROLANDはイマイチわからない。ただ、ずっと同じクオリティーを保ちながら生活しているのは、単純にすごい(笑)」(徳光さん)

 そして、徳光さんが最近気になっているのが、ハイヒール・モモコから続く、関西の“元気なお姉さん”キャラの系譜だという。

「モモコさんのあとは鈴木紗理奈がその枠にいましたが、今は完全にファーストサマーウイカの独壇場。彼女はアイドル出身で苦労もしているし、親近感があります。結婚している事実をSNSで公表したのも、プラスに働きましたね」

 前任(?)の鈴木紗理奈がウイカとのツーショット写真をインスタグラムにアップしたときは《テレビに出てるのはウイカの方で、ごくごくたまに紗理奈の方やで。笑》とコメント。お姉さんキャラの引き継ぎは、すでにすんでいるようだ。

【その他の“系譜”が同じ芸能人】

 えなりかずき→鈴木福→寺田心

 ジャニーズのメンバーたち

視聴者を混乱させる顔カブり芸能人

【ルックス・雰囲気が似すぎ! な芸能人】

 福士蒼汰×中川大志

 千葉雄大×瀬戸康史

 蒼井優×黒木華

 鈴木奈々×丸山桂里奈×浜口京子

 上川隆也×内野聖陽

 壇蜜×松本まりか

(左から)鈴木奈々、丸山桂里奈、浜口京子(YouTube『日テレ公式チャンネル』動画より)

 顔やまとった空気が似ているため視聴者が混乱してしまうのが“顔・雰囲気カブり芸能人”だ。その代表格が若手俳優の福士蒼汰と中川大志。ふたりの激似ぶりはたびたびSNSをにぎわせ「首が細いほうが福士蒼汰」などの判別方法も確立されているとか。

 そのほか、甘いマスクの千葉雄大と瀬戸康史や、演技派女優の蒼井優と黒木華など、顔カブり俳優たちは枚挙にいとまがない。上川隆也と内野聖陽が主役の2時間ドラマって、タイトルが混乱しません? 壇蜜と松本まりかも、声がなんだか似ているし……。

 そして、雰囲気カブりが仕事量にも大きく影響してしまうのが、バラエティーの世界だろう。以前、タレントの鈴木奈々が女子サッカー界の新星・丸山桂里奈を脅威に感じ、仕事を奪われる恐怖を暴露して注目を集めた。

「たしかに制作サイドとしても、鈴木さんと丸山さんは近い枠に入ります。ただ、丸山さんの場合は“元アスリート”という決定打を持っているので、その点がオファーにつながる可能性がありますね。さらに丸山さんは、同じ元アスリート枠の浜口京子さんより発言がすっとんきょうなので、女版“具志堅”枠としても起用されている印象です」(前出のKさん)

 一方で、キャストに代えがきくカブリ芸能人もいるとか。

「バラエティー番組は“今っぽさ”が重要です。なので、人気のお笑い第7世代の『誰か』というキャスティングをすることもあります」(放送作家)

 第7世代の芸人たちは複雑な気持ちかもしれないが、まだまだ伸びしろがあるということか?

【その他のルックス・雰囲気が似すぎ! な芸能人】

 のん×松本穂香

 アキラ100%×とにかく明るい安村

 小松菜奈×中条あやみ

 滝川クリステル×ホラン千秋

 坂道系、K−POPなどのアイドルのメンバー

二匹目のドジョウが招いた歌姫たちの悲劇

【二匹目のドジョウ? 芸能人】

 宇多田ヒカル×倉木麻衣

(左から)宇多田ヒカル、倉木麻衣

 歌手やタレントがブレイクすると、芸能事務所は血眼になって二匹目のドジョウを探し出す。一方の視聴者は「○○のパクリじゃん」と冷めた目で見てしまうもの。かつて一般視聴者のパクリ疑念を口に出して大事にしてしまったのが、ダウンタウンの浜田雅功だ。

「2000年に、宇多田ヒカルさんがダウンタウンが司会をしていた音楽番組に出演したときのことです。浜田さんが当時売り出し中だった倉木さんを暗に指して『最近、お前のパクリが出てきてるやん。あれ、どう思う?』とツッコんだんです。

 さらに宇多田さんも『最初に見たとき、あたしかと思った』と同調していたので、思うところがあったんでしょうね」(テレビウォッチャー)

 当時の倉木はテレビ出演が少なく、PVの演出など、宇多田を思わせる戦略をとっており、浜田と同じ気持ちだった視聴者も多い。しかし、この放送が倉木の所属事務所の逆鱗に触れ、浜田、宇多田、テレビ局が謝罪文を公開するはめに。SNSがある現代だったら、確実に炎上している案件だろう。

 なかには、芸能事務所やメディアが「第二の○○」を担いで“カブり”を推奨するケースもある。1990年に「第二の山口百恵」のキャッチコピーでデビューした揚田亜紀もそのひとりだ。彼女は、後のインタビューで「釣り広告みたいなものだった」と語っている。そんな揚田は現在、実業家として活躍中。第二の○○でデビューしても、本家を超えるのは難しいようだ。

【二匹目のドジョウ? 芸能人】

 ローラ×水沢アリー

 浜崎あゆみ×愛内里菜(垣内りかに改名)

 モーニング娘。×AKB48

 K−POP×最近のジャニーズ

芸名がカブってしまった、名前カブり芸能人

【名前カブり芸能人】

水野真紀×水野美紀×坂井真紀×酒井美紀

(左から)水野真紀、水野美紀、坂井真紀、酒井美紀

 視聴者を錯乱させる芸能人の名前カブり。その筆頭格が「ミキマキ問題」だ。これは、女優の水野美紀、水野真紀、酒井美紀、坂井真紀の4人は名字と名前がごちゃまぜになってしまい名前が覚えられない……という深刻な問題。

「2016年に某飲料メーカーのCMで水野美紀さん、酒井美紀さん、坂井真紀さんの共演が実現しました。メインの速水もこみちさんが、同じフロアにいるミキとマキの名前を間違え続けて、最後にカルーセル麻紀さんがオチとして登場する、という内容のCMです。

 残念だったのは、水野真紀さんがオファーを断ったこと。衆議院議員の旦那さんに配慮したのか、ミキマキ問題には触れられたくないのか、いろいろと勘ぐってしまいますよね」(芸能レポーター)

 いつの日か、4人が一堂に会した作品を見てみたいものだ。

【名前カブり芸能人】

 みちょぱ×ゆきぽよ

 髭男爵×Official髭男dism

 竜星涼×横浜流星

「顔よりもひとりひとりの性格を見て“推し”を見つけるしかない」

 AKBやハロープロジェクト、K−POPなど、さまざまなアイドルがデビューしている昨今。「全員同じ顔に見える……」と、困惑する週刊女性読者も多いはず。

「女性アイドルを見分ける方法は、スカートの丈。AKB系はひざ上で坂道シリーズはひざ下、K−POPは、かなり短い丈のスカートやショートパンツをはく傾向があります」

 そう話すのは、乃木坂46のファンを公言している徳光正行さんだ。

「ただ、アイドルの見分けがつかない気持ちもわかるんです。今の女性アイドルはビジュアルのレベルが上がっている反面、ひとりひとりの個性が薄まっています。彼女たちが歌っている姿だけを見て推しメン(=応援したいメンバー)を見つけるのは難しいと思いますよ」

 では、徳光さんはどのように“推し”を見つけたのだろうか。

「彼女たちの冠番組を見ているうちに、メンバーの個性が見えるようになったんです。そのおかげで、文才があって頭の回転も速い高山一実さんという推しに出会えたんですよ」

 たったひとりの推しを見つけたときの喜びは格別。「同じ顔だ」と諦めずに向かい合うと、新たな発見があるかも?

徳光正行さん……1971年、神奈川県生まれ。フリーアナウンサー・徳光和夫の次男。日本大学芸術学部音楽学科卒業。キャスターとして活躍する傍ら、今も父からお年玉をもらう“クズ2世タレント”としてもブレイク。近年は「父・和夫からもらったお年玉で乃木坂46のライブに行った」という逸話を披露。現在YouTube「徳光ちゃんねる」で活躍中。

「キャスティングのときは“カブりリスト”を参考にします」

「バラエティー番組でタレントをキャスティングするときの決め手は、“今っぽさ”です」

 そう語るのはキー局プロデューサーのKさん。

「今年から視聴率の基準が世帯所属者から個人視聴率に変わり、10代〜30代の若い世代に向けた番組を作るようになりました。キャスティング時は芸能人をカテゴリーに分けたリストを見ながらオファーします。筋肉、若い女の子に人気、顔が濃いなど、カテゴリーはバラエティーに富んでいますね」

 制作サイドは、芸能人のキャラカブりリストをキャスティングの参考にしているようだ。

「“若い人に人気”という意味で、最近はYouTuberの起用が増えています。テレビとYouTubeはライバルですが、YouTuberは、チャンネル登録者数やフォロワーの数など、数字が明確なので若者の人気が一目でわかり、企画が通りやすいんです。ただ最近は、人気YouTuberでもトーク力が弱いなど、それぞれの実力が見えてきたので、年明けにはテレビで見なくなる人が出てくるかもしれませんね」

 テレビと動画は似て非なるもの。双方の模索は続きそうだ。

Kさん(某キー局テレビプロデューサー)……キー局プロデューサー。勤続20年以上のベテランで、バラエティーを中心に、さまざまな番組制作に携わっている。

《取材・文/大貫未来(清談社)》