相葉雅紀

「撮影現場では怒号が飛ぶこともあり、マズい状態になっていますね……」(日本テレビ関係者)

 相葉雅紀がMCを務める『I LOVE みんなのどうぶつ園』(日本テレビ系)。'04年から続いた『天才! 志村どうぶつ園』を、今年3月に亡くなった志村けんさんから引き継ぐ形で、10月にスタートした番組だ。

スタジオ収録もあった志村さんの時代とは違い、この番組はオールロケで行われています。キャストやスタッフも一新され、スタジオでの出演者同士のほのぼのとしたやりとりがなくなってしまったことに戸惑う視聴者も多いですね」(スポーツ紙記者)

 視聴者の反応を気にすることなく、相葉は精力的にロケに取り組んでいるようだ。

橋本環奈さんなどレギュラーメンバーに、動物と触れ合う上での注意点などをよくアドバイスしています。ロケが終わると足りない部分や改善点などをメモに書いて、次に生かすほどの熱心さですよ。新型コロナの影響もあり、撮影が制限される中でもおもしろい番組を作ろうと頑張っています」(制作会社関係者)

放送内容が決まらずに……

『志村どうぶつ園』時代からレギュラー出演していた相葉。遠方のロケに自ら参加するほど番組に力を注いでいた志村さんの“遺志”を継ぐ思いが強すぎるためか、少々空回りをしているようで……。

「相葉さんはロケの際、“後から編集できると思わず、生放送のつもりで、ひとつひとつ丁寧にやってほしい”と呼びかけているそうです。強い熱意を持っているのはわかるのですが、一部のスタッフが彼の思いについていけないんですよ」(同・制作会社関係者)

 天然キャラのイメージが強い相葉だが、仕事に対しては自分が納得いくまで譲らない頑固な面があるようだ。

相葉さんは満足できなければ時間が押してでも撮影を続けるんです。志村さんの後継番組ということでいつも以上に完璧なものにしようという気持ちはわかるのですが、裏目に出てしまっていますね」(芸能プロ関係者)

 相葉の情熱と反比例するかのように、現場の雰囲気は悪くなっているという。

若いスタッフの中にはまだ相葉さんのやり方に対応できていない人もおり、ベテランのスタッフから“何やっているんだ!”とよく叱責されています。相葉さんについていこうという思いは強いのですが、スタッフ同士があまり連携を取れず、ピリピリした雰囲気になっていて……」(前出・日本テレビ関係者)

 スタッフの連携がうまくいっていないのは、バタバタな舞台裏も関係している。

志村さんが急逝したことで、慌てて番組を立ち上げたこともあり、動物を扱うコンセプトだけは決まっていたものの、具体的な内容がなかなか決まらなかったんです。番組のスタート1か月前にようやく企画が決まったぐらいですからね」(同・日本テレビ関係者)

 混乱は制作サイドの怠慢だと指摘する声も。

「長年、志村さんの番組に出ていて実績も十分の相葉さんであればどうにかなるだろうという、制作側の詰めの甘さが正直ありましたね。またコロナ禍でテレビ局の広告収入が大幅に減ったこともあり、番組の制作費も大幅に削減されてしまいました。ロケがメインになったのも、正直なところ予算が少ないからですよ」(前出・芸能プロ関係者)

プリンちゃん視点に立つと“感動的でない”

 出演者が一新したことも、相葉の肩に力が入りすぎている理由のようだ。

本来、番組の“回し”をするタイプではない相葉さんを支え、フォローしていた共演者を残すか否かの判断がギリギリまで決まらなかったんです。最終的に番組を一新するという意味で、志村さん時代に出演していたDAIGOさんや山瀬まみさんなど、相葉さん以外のメンバーをすべて降板させることになったそうです」(同・芸能プロ関係者)

 新メンバーとして、丸山桂里奈や橋本が番組に加わることになったのだが……。

橋本さんはまだキャリアが浅いし、丸山さんもかなりの天然キャラですからね。相葉さんのフォローができる出演者がいないんですよ。でも番組内容などが決まらないままスタートした手前、タレントたちを責めることはできません」(前出・制作会社関係者)

 そのため、スタッフの負担は増すばかりだという。

「現場は疲弊状態が続いており、“辞めたい”と漏らすスタッフが何人か出ている状態だといいます。現場のスタッフからは“早く番組の方向性を決めてほしい”との声が上がっていますが、いつ改善されるか、今のところ不明ですね」(同・制作会社関係者)

『志村どうぶつ園』は16年間続き、チンパンジーをはじめとする動物たちと仲のいい関係を築いた。『みんなのどうぶつ園』が長く続くためには、動物と人間ではなく、まずは人間と人間が円滑にコミュニケーションを取れるようになることが先なのかもしれない。

 しかし、その“動物”との関係も良好なものではないという指摘がある。

「僕なりに精いっぱい全力で教えてあげたいな」

 11月14日に放送された『みんなのどうぶつ園』で相葉は、今年3月に亡くなった志村けんさんが愛したチンパンジーのプリンちゃんと感動の再会を果たし、このように決意を表現していた。「教えてあげる」というのは、プリンちゃんに自転車を教えるというものだ。

 “プリンちゃんと自転車”は、'20年2月末に行った志村さん最後のロケで、彼が溺愛していたプリンちゃんに自転車の乗り方を教えた。ずっと放送できずにいたが、9月26日に『志村どうぶつ園』の最終回として放送された。志半ばで園長が急逝してしまったため、番組を受け継いだ相葉にとってプリンちゃんに自転車を教えることは、もっとも大切な仕事の1つといえるのだが……。

まず、“自転車に乗る”というのが、チンパンジー本来の行動レパートリーにはないものだという点に問題があります

 そう警鐘を鳴らすのは、ヒトとチンパンジーの発達の比較研究を専門とする大阪成蹊大学教育学部准教授の松阪崇久さん。

自転車に乗ることは、本来チンパンジーにとって意味のない行動です。チンパンジーは好奇心旺盛なので自転車に関心は持つでしょうが、プリンちゃんは自転車に乗れるようになることを望んではいなかったでしょう。自転車に乗れるようになったとしても、プリンちゃんはそれで好きな所に行けるわけでもありません。動物ショーで行う芸のレパートリーが増えるだけかもしれません。

 番組の中では、志村さんの遺志を実現させるために挑んだチャレンジとして感動的に描かれていたようですが、このようにプリンちゃんの視点で考えてみると、感動的な話にはみえなくなります」(松阪さん)

感染リスク回避よりも視聴率

 人間は幼少期に自転車に乗ることを覚え、その楽しさを感じる人が多いだろう。しかし、プリンちゃんはチンパンジーであって人間ではない。

「服を着せられたプリンちゃんは、人間の子どものようにも見えるので、まるで父親が娘に自転車の乗り方を教えているような、ほほ笑ましいシーンに見えたという視聴者もいたようです。しかし、プリンちゃんは人間のような振る舞いをするように仕向けられたチンパンジーです。人間の子どもが自転車に乗れるようになりたいと思って練習しているのとは異なります。

 “自転車に乗れるようになれば、楽しむことができるようになるはずだ”と考える人もいるかもしれません。でも、プリンちゃんは自転車で自由に好きな所に行くことはできないので、乗れるようになったとしても楽しむことはできないと思います。

 もし仮に自転車を楽しめると考えるのであれば、東京から芸能人が教えに来るのを待たずに、もっと早くに遊び道具として自転車を与えることもできたはずです」(松阪さん)

 東京都では新型コロナウイルスの感染者が依然として増え続けており、『GoTo』の自粛も叫ばれている。コロナに関しては動物も例外ではなく、全国の動物園関係者は最大限の注意を払っているという。

「動物園では人から動物への感染を防ぐために、さまざまな対策を行っています。たとえば、予約制による入園者数の制限、来園者と動物の間の距離の確保、動物との触れ合いコーナーや餌やりコーナーの中止といったものです。飼育員や獣医師の方たちも、直接的な接触はできるだけ避け、接触が必要な場合には手袋の装着や手指の消毒を徹底しているようです。また、来園者と飼育員の間での感染防止のため、飼育員によるガイドツアーなどを中止している園もあります。ほかの地域への出張から戻った際などには、検疫期間として2週間は動物に近付かないようにしているという話も聞きました。

 類人猿に対しては、とくに慎重な対応がおこなわれていると思います。ヒトに近いため、ヒトへの感染の危険性が高い上に、チンパンジーもゴリラもオランウータンも絶滅危惧種だからです。

 プリンちゃんのいる阿蘇カドリー・ドミニオンでおこなわれた撮影ロケは、こういった全国の動物園の対応とはまったく異なっており、疑問を感じざるを得ませんでした。感染多発地域である東京から訪れた芸能人が、チンパンジーを抱いたり、くすぐったり、マスクを触らせたり、マスク越しにキスしたりしていたからです。

 わざわざ感染リスクの高い方法を取ったのは、調教師ではなく“志村さんの遺志を受け継いだ芸能人”が課題に挑むシーンによって視聴者の感動を煽り、視聴率につなげることに番組制作者がこだわったからではないかと思います。絶滅危惧種への感染リスクを回避することよりも視聴率を優先したのだとしたら、重大な問題でしょう。動物園にも撮影スタッフにも、世界的に保護されている希少な動物を預かっているという自覚が欠けているように思います」(松阪さん)

 対人間、対動物、どちらとも円滑で健全なコミュニケーションが取れた番組になることを、志村さんも望んでいるはずだけど……。