謝罪会見をした渡部建

 アンジャッシュ・渡部建(47)の謝罪会見から1週間が過ぎても、まだまだメディアの関心は消えない。

 ことの発端は、ダウンタウンの年末特番『ガキの使いやあらへんで!笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ系)に出演すると報じられたこと。

「渡部建」会見の2つの問題点

「その後、世間の反応を見て、局側はお蔵入りを決めたと報じられました、けどね」

 と意味深に語るのは放送作家だ。ニヤリとしながら

「お蔵入りはするけど、お蔵入りはしないんじゃないかな」

 そんな禅問答のようなことを言いはじめる。その真意を尋ねる前に、改めてなぜ会見が失敗したのかを見てみる。

 多くのメディアやコメンテーターは、芸能リポーターによるいじめの構図、「ガキの使いじゃないんだから」というディレクターの質問に対する嫌悪などを指摘した。

「会見内容もさることながら、会見のやり方が問題視されています。ネットテレビで、全編が放送されましたから、質問もリポーターの表情も全部視聴者に見られてしまう。その結果の世間のハレーションです」

 そう指摘する情報番組デスクは、問題点として「渡部の立ち位置戦略の見誤り」「バージョンアップできていない取材陣のおごり」の二点を指摘する。

 まずは一点目。

渡部は、やせ細った様子で、ダークスーツで登場し、芸人というより哀れな男を全面的に押し出す戦略を取った。これじゃ、ガス抜きはできない。開き直って、『自分は色を好むんです』とか言ってしまえば、戦国武将のようでよかった。本来、性的な嗜好には、メディアだって踏み込めないんです。それ自体は何ひとつ悪いことじゃないですからね。渡部は反省している姿を強調するあまりしょんぼりすることによって、メディアに突っ込ませてしまった」

 もう一点目。

「通常、スキャンダル系の会見だと、各局の芸能デスクが勢ぞろいする。幹事社を決め、所属事務所と事前交渉し、会見を仕切る。そういう地ならしができなかったことが大いなる失敗。グリップの効かない空間で、大勢のリポーターが厳しい顔で迫り、厳しい質問を浴びせかければ見栄えはよくない。メディアも悪者になりますよ

 その点が今では、結果的に渡部に有利に働いているのではないか。そう指摘するのはスポーツ紙の記者だ。

「会見そのものの報道は翌日にバーッと出て、その後のワイドショーは、メディアバッシングがほとんど。渡部に対する同情論が高まった。多目的トイレでセックスをしたというイメージは拭えませんが、薬物や交通事故などの犯罪とは違う。これ以上、渡部を責めるのは違う、という空気ができ上がりつつあると思いますよ」

松本人志がGOサインを出せば

 ここで、冒頭の放送作家の意味深な発言に戻る。

 大みそかに放送される『ガキの使い~』で、渡部の収録分がオンエアされることはないと見通し、次のように明かす。

「本当なら12月にも、渡部の追加収録がありましたが、それも飛びました。12月9日には、毎年恒例になっているダウンタウンやココリコ、月亭方正が出席する会見が日テレ局内で設定されていましたが、中止になりました。

 大みそかに放送された分やされなかった分も含め、例年新年の『ガキ使』で、名場面や未公開映像を再編集してオンエアするんです。そこで渡部の映像がオンエアすることは、これからの世間の渡部への嫌悪感の消滅ぐらいによりますが、大いにあり得ます」

 と断言しながらも、「ただし」と続ける。

「ただし、松本の意向次第です。松本がゴーサインを出せばいける。最悪、オンエアはダメでも、動画配信サイト『Hulu』で配信することもできるし、DVDには収録できる。それだったらスポンサーを考慮する必要はありませんからね。お蔵入りしてもお蔵入りしない、というのはそういう意味です」

 会見では復帰のきっかけをつかめなかった渡部だが、今後も折れずに、復帰の道を探る自由はある。テレビやラジオから出演オファーが来るかは本人の意向だけではどうにもならないが、会見の失敗を紙媒体で取り戻す方法はある。

「『週刊アサヒ芸能』でテリー伊藤が対談をやっていますが、あの企画は汚名返上にうってつけですよ。ほかの週刊誌だって、インタビューを受ける、会見で語れなかったことをすべて語ると売り込めば、食いついてきますよ。栄光と転落の物語を人は好みます。書籍を書いてもいい。

 それから、彼はコントができるので、相方の児嶋一哉とまた、所属する人力舎ライブに出演して、コントを見せてほしいですね。ライブに出演する分には、誰も文句は言わないし、相方の理解と事務所の決断だけでできますからね」(フリー編集者)

 もはや渡部には、グルメやうんちくといったモテ要素はなくなった。だが、コントというベースはある。

 ダウンタウンの松本は「相方と向き合え」と指南した。相方と向か合えば、そこにあるのはお笑いだけだ、ということがわかるからだ。

 落ちるところまで落ちた。  

 あとは、妻の佐々木希(31)の「何十年後に振り返って、この騒動がよかったんじゃないのと思えるように」という言葉を励みに上がるしかない。

〈取材・文/薮入うらら〉