杉咲花

 “大阪のお母さん”で親しまれてきた昭和の名優・浪花千栄子をモデルとしたNHK連続テレビ小説『おちょやん』が11月30日からスタートした。2週間にわたる幼少時代を終えて、先週からはついに主演の杉咲花が本格的に登場している。

「杉咲さんは、若手女優の中でも実力派と言われるひとり。志田未来さんに憧れて、同じ芸能事務所のオーディションを受けて、芸能界入りしました。中学生のときから子役として活動してきたのです」(テレビ誌ライター)

きっかけは「幼稚園の発表会」

 注目を集め始めたのは味の素『Cook Do』のCM。山口智充らと一緒に豪快に中華料理を食べる姿が話題となった。

「'13年のTBS系ドラマ『夜行観覧車』では、学校ではいじめられっ子だけど家では母親に暴力をふるう娘という、複雑な役を演じました。'16年にはNHK朝ドラ『とと姉ちゃん』に出演したほか、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では余命2か月の母親のもとで成長していく娘役を好演しています」(同・テレビ誌ライター)

『湯を沸かすほどの~』では、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。女優として着実にステップアップを重ねている彼女の素顔とは?

「あまり知られていませんが、杉咲さんのご両親も芸能人です。お父さんは『RED WARRIORS』というバンドでギターを担当している木暮武彦さん。お母さんはチエ・カジウラさんという歌手。お母さんは歌手だけでなく、キャンドルアーティストとしても活動しています。

 両親は、杉咲さんが幼いころに離婚して、ずっとお母さんとふたり暮らし。お父さんとの交流は、ほとんどないみたいですよ」(芸能プロ関係者)

 そんな杉咲を演技の道へと導いたのは、母親だった。

「初めて演技を経験したのは、幼稚園の発表会で披露した『ジャックと豆の木』でした。それを見たお母さんが“この子には演技をさせるべき”と思ったんだとか。母子家庭でも娘に寂しい思いをさせないよう“お母さんは花のお父さんでもあり、お兄ちゃんでも、お姉ちゃんでもある。なんにでもなるから”と話したこともあったそうですよ。

 いろいろな習い事をさせたようで、その中でも書道はそうとうな腕前のよう」(同・芸能プロ関係者)

木村拓哉とはきょうだい”のような仲

 学生時代は生徒会に参加する優等生でもあったようだが、普段は自ら公言するほどの『かき氷好き』という一面も。

「都内の有名店は軒並み食べ回っているようです。お気に入りは新宿伊勢丹にある『虎屋菓寮』の宇治金時かき氷。“100回は食べた”と話すほど。夏季限定のメニューなので、冬場はほかの店を回っているそうですが」(前出・テレビ誌ライター)

 実際に店舗で話を聞くと、

昔からよく来てくださっていましたけど、2年ほど前に初めてテレビでお話しされたんです。そうしたらファンの方も来るようになって、行列ができるように。みなさん、杉咲さんと同じく宇治金時に白玉をトッピングするんですよ。行列ができてからも、杉咲さんは変わらずに来てくださって同じように並んで食べていました」(従業員)

 行列のきっかけを作りながら、自分もちゃ~んと並ぶというのは、なんとも微笑ましいエピソード。その人柄からか、芸能界の大物たちからも愛されている。

共演した木村拓哉とは、その後も交流を続ける

'17年に公開された映画『無限の住人』で木村拓哉さんと共演したのですが、インタビュー取材ではまるで“きょうだい”のような雰囲気でした。彼女の誕生日には木村さんから立派な『かき氷機』をプレゼントされたり、高級なお寿司屋さんに連れて行ってもらったこともあるようです」(スポーツ紙記者)

 映画『湯を沸かすほどの~』では親子役で共演した宮沢りえのことは、今でも「お母ちゃん」と呼んでいる。

「撮影前に監督と、りえさんと花ちゃんと妹役の子の4人で食事に行ったそうなんです。そこで、りえさんから“敬語はやめよう”と言われ、妹役の子はすぐに敬語をやめられたのに、花ちゃんは大先輩を相手に敬語がやめられなかった。

そこで家に帰ってから、りえさんに“敬語やめてもいいですか?”と、わざわざメールをしたぐらい不器用な子なんです。

 クランクアップ後には『とと姉ちゃん』の撮影が決まっていた花ちゃんを、りえさんは“不器用だから大丈夫かな”と心配していたそうで、本当に親子みたいでした」(同・スポーツ紙記者)

「母に誇りに思ってもらいたい」

 ただ、深く役にのめりこむあまり、感情のコントロールができなくなったことも。

「'15年公開の映画『トイレのピエタ』では、野田洋次郎さん演じる余命数か月の青年が女子高校生役の杉咲さんに会い、恋に落ちるラブストーリー。

 家に帰ると野田さん演じる男性に会えないことでイライラして、家では毎日のようにお母さんとケンカしていたことも」(前出・テレビ誌ライター)

 親子ゲンカなんて、どの家庭にもつきものだけど、家族仲よく過ごす姿も目撃されている。

「本当に素朴で、ごくごく普通の子ですよ。花ちゃんがまだ小学生ぐらいのときから飼っていたチワワがいるんだけど、お母さんと一緒に散歩させている姿をよく見かけましたよ」

 と話すのは、杉咲が住む都内の高級住宅街の住民だ。

近くにペット連れで入店できるカフェがあるんだけど、花ちゃんは、よくお母さんと一緒にワンちゃんを連れて食事に来ていました。本当に可愛がっていて、ワンちゃんの誕生日祝いもしてたみたい。ただ、今年の初めにワンちゃんが亡くなったみたいでね」(近隣住民)

 母親のインスタグラムには《16年一緒に生きてくれて有難う》とのコメントと、母子ふたりと1匹で撮影した“家族写真”が投稿されている。

杉咲と母親(右)と手前が16年ともに暮らした愛犬「あずき」ちゃん(インスタグラムより)

 幼いころから一緒だった“家族”との別れ。悲しみに打ちひしがれたであろうが、今の杉咲は歩みを止めていられない。

「朝ドラだけでなく、雑誌やCMの撮影と売れっ子の杉咲さんは今や多忙を極めています」(前出・スポーツ紙記者)

 大阪での『おちょやん』の撮影は今年7月から続いている。実家を離れることになり、さぞ寂しい思いをしているんじゃ……と思いきや、杉咲は母親について、本誌のインタビューでこうも語っていた。

わが家はいろんなことが上手じゃないんです。それは私も同じで、何でも言い合える母娘もいると思うんですけど、私はまだ何でも言うことに恥ずかしい気持ちがあって。今は友達のほうがやっぱり何でも言えちゃう(笑)。本当は言いたい思いもたくさんあります。でも、いざ母が目の前にいると言えなくなったり。

 これもまだ直接言えてないし、言葉にするのも恥ずかしいんですが、母には私の母親でいることを誇らしく思ってもらえたらうれしいってひそかに思ってます

 ドラマでは、杉咲が演じる千代が晴れ渡った空を見上げてこんなセリフを言う。

「今日もええ天気やなぁ~」

 きっとお母さんも毎朝、活躍する娘の姿を誇りに思って過ごしているはずだ。