高畑淳子

 高畑裕太(27)が復帰へ向けて動きだしている。若手俳優として活躍していた2016年8月に一般女性への強姦致傷容疑で逮捕され、活動を休止したが、2019年8月、舞台に出演。2020年8月には公式サイトを開設し、11月には撮影現場に行くことをツイートした

 とはいえ、それほど驚きはない。裕太の母は、女優の高畑淳子(66

親の力で復帰はあるある

 不祥事からの復帰のパターンとして、二世タレントにはありがちなことだからだ。例えば、少年時代から何度も逮捕された三田佳子の次男も成人後、芸能活動をしたことがあるし、クスリによる逮捕で引退した清水アキラの三男も最初の違法カジノ問題で謹慎後、いったん復帰して、父と共演したりした。

 不肖の子に親が手を差しのべることは珍しくない。自分がよく知る世界で見守りたいのだろう。

 ただし、淳子は4年前の会見でこんなことを言っていた。

ここまで愚かだとは思いませんでした。女性に対して危ういなと思う危惧は常にありました

 このあたりについては、事件前から不安視されてもいた。例えば、NHKの朝ドラ『まれ』で共演した清水富美加(現・千眼美子)は「人との距離を測るメーターが壊れてますよね」と指摘。人との距離だけでなく、サファリパークでのロケでライオンを見ようと車の窓を開けかけ、案内員に注意されたこともある。淳子もそんな息子が気になっていたようで、会見ではこんなことまで口にした。

やってはいけないことをやってしまったら本当に刺し違えて死のうね、というのを合言葉のように言っていました

 にもかかわらず、裕太は女性絡みの不祥事を起こすことに。その後、遺品整理のバイトをするなどしていたが、現在は芸能界に本格復帰しそうな流れだ。「刺し違えて死のうね」という覚悟(?)を思えば、潔くない印象も受ける。

難しい親離れと子離れ

 しかし、その理由が最近わかった気がした。『週刊女性』の直撃に、淳子がこう答えていたのだ。

本当に息子が、あんなことをしたと思われているのですか? 相手は被害届を出してすぐに“いくら出すんだ”と示談金を要求してくるなど、非常識なところがありました。それで警察は彼らの言い分がおかしいと判断して、不起訴処分にしたんです」

 どうやらあの事件について、納得できないものがあるようだ。そもそも、彼女はかなり気が強く、劇団での暴君ぶりが報じられたこともある。そんな母親に関して、裕太も「相談すると全部、あの人の主観で答えちゃう(略)母親と今後のことを話すのは、イヤなんです」と、自立志向をにおわせたりした。

 とはいえ、裕太が親離れするのは難しいだろう。淳子はバツ2で、2度目の結婚で長女が生まれ、次の事実婚で裕太を授かった。シングルマザーとして育てたやんちゃだった息子が自分と同じ道で成功しつつあったわけで、可愛くてしかたないのだ。

 こういう母親はわが子を「一心同体」と考えがちである。「刺し違え」発言はまさにその象徴で、生きるも死ぬも一緒という思いが伝わってくる。

 だとしたら、万が一、裕太がもっと本格的なやらかしをしてしまったときのことが心配になるが──。さすがに、刺し違えることはないだろう。

 一心同体というのは、わが子も自分の一部だということだからだ。自分のことはそんなに悪く思いたくないから、自然と甘くもなる。究極の親バカとは、そういうものなのである。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。