昨年の第7回料理レシピ本大賞で準大賞を受賞した『藤井弁当』(学研プラス)。「毎朝作り続けること」に重きをおき、「とにかく簡単」を目指したお弁当ノウハウは多くの人に支持され18万部を突破。この良書ができあがるまでの道のりを聞いた。

藤井恵さん 撮影/廣瀬靖士

『藤井弁当』は「めんどくさい」と思われがちなお弁当作りの工程を極限まで削ぎ落としてパターン化。読者からは「ストレスなく続けられる!」「こんなに簡単でいいの!?」など感動の声が続出している、いま注目の料理本だ。

 著者の藤井先生によれば、本の誕生はご自身のブログがきっかけだった。

「料理初心者の娘が作ったお弁当にアドバイスしたりなど、毎日、お弁当について投稿をしていたら、担当編集者さんが興味を持ってくださって。とにかく作り続けられることにこだわった、初心者向けのお弁当本を作ることになりました」(藤井先生)

卵焼き器だけで3品 簡単だから続けられる

『藤井弁当』には、藤井先生が仕事や子育てに忙しく動きながら3度の食事も作る日々の中で、「いかに楽に、短い時間で作れるか」を重視してお弁当を作り、編み出したアイデアが凝縮されている。

「卵焼き器ひとつで1~2人分のおかずを3品作れます。調味料も最低限、コンロも1口ですみ、洗い物も減らせて楽。私ももうこのやり方以外では作れません(笑)」(藤井先生)

 担当編集者の学研プラス・小林弘美さんは、料理本制作歴20年。藤井先生とのコンビでこれまでも多くの料理本を出版、2016年には『藤井恵さんの体にいいごはん献立』(同社)でレシピ本大賞入賞もしている。

『藤井弁当』の制作では、従来より打ち合わせを多く行い、藤井先生のアイデアを聞き取りながら「卵焼き器ひとつで」「食材を3つに絞る」「工程をワンパターン化」などコンセプトを決定。基本工程を繰り返し紹介し、誰でもお弁当作りを習慣化できる構成にした。

「卵焼きが上手に作れ、少人数分の調理も簡単。熱が伝わりやすく時短にも」(藤井先生)。ウルシヤマ金属工業のものを愛用

ひとり暮らしの自炊にも役立ててほしい

 印象的な『藤井弁当』というタイトルは、打ち合わせの会話から生まれた。

「藤井先生ならではの、とことん作り方を簡単にすることに特化したお弁当本なので、ぼんやりしたタイトルは合わないと感じてつけました。反対意見もありましたが、藤井先生も強く賛同してくださって説得でき、結果的に多くの方に愛される本になりよかったです」(小林さん)

 受賞について、藤井先生は「毎日、普通にやってきたことをうまく本にまとめていただき、多くの方に喜んでいただけてうれしいです。人気の本になったのは、小林さんとライターの佐々木さんをはじめ、多くの関係者の方のお力があってこそ」と言う。『藤井弁当』はお弁当初心者だけでなく、ひとり暮らしの食事作りにも役立ててほしいとコメント。

「コロナ禍では自炊を始める方も増えましたね。忙しいと食事はおろそかになりがちですが、簡単でも『作って食べる』ことは、自分や家族を大切にすることにつながります。自炊を楽しく習慣にするためにも、この本を役立てていただけたら幸いです」(藤井先生)

(取材・文/野中真規子)

料理レシピ本大賞2020準大賞を受賞! 『藤井弁当』(学研プラス)。卵焼き器で驚くほど簡単に美味しく作れるお弁当を紹介。初心者でもお弁当作りを着実に習慣化できる。※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

《PROFILE》
藤井恵 ◎料理研究家、管理栄養士。雑誌、書籍、テレビなどで活躍。著書に『藤井恵さんの体にいいごはん献立』『藤井恵さんの体にいい和食ごはん』『もやし100レシピ』(すべて学研プラス刊)など。ブログhttps://ameblo.jp/fujii-megumi/

料理レシピ本大賞2020受賞作品

【料理部門・大賞】『ひと口で人間をダメにするウマさ! リュウジ式 悪魔のレシピ』(リュウジ=著/ライツ社)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【料理部門・大賞】『ひと口で人間をダメにするウマさ! リュウジ式 悪魔のレシピ』(リュウジ=著/ライツ社)

【料理部門・入賞】『syunkonカフェごはん レンジでもっと!絶品レシピ』(山本ゆり=著/宝島社)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【料理部門・入賞】『syunkonカフェごはん レンジでもっと!絶品レシピ』(山本ゆり=著/宝島社)

【料理部門・入賞】『朝10分でできる スープ弁当』(有賀薫=著/マガジンハウス)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【料理部門・入賞】『朝10分でできる スープ弁当』(有賀薫=著/マガジンハウス)

【料理部門・入賞】『力尽きレシピ』(犬飼つな=著/光文社)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【料理部門・入賞】『力尽きレシピ』(犬飼つな=著/光文社)

【こどもの本賞】『おにぎり』(平山英三=ぶん・平山和子=え/福音館書店)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【こどもの本賞】『おにぎり』(平山英三=ぶん・平山和子=え/福音館書店)

【エッセイ賞】『頑張らない台所〜60歳からはラクしておいしい』(村上祥子=著/大和書房)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【エッセイ賞】『頑張らない台所〜60歳からはラクしておいしい』(村上祥子=著/大和書房)

【コミック賞】『私でもスパイスカレー作れました!』(こいしゆうか・印度カリー子=著/サンクチュアリ出版)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【コミック賞】『私でもスパイスカレー作れました!』(こいしゆうか・印度カリー子=著/サンクチュアリ出版)

【お菓子部門・大賞】『材料2つから作れる! 魔法のてぬきおやつ』(てぬキッチン=著/ワニブックス)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【お菓子部門・大賞】『材料2つから作れる! 魔法のてぬきおやつ』(てぬキッチン=著/ワニブックス)

【お菓子部門・準大賞】『志麻さんの気軽に作れる極上おやつ』(志麻=著/マガジンハウス)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【お菓子部門・準大賞】『志麻さんの気軽に作れる極上おやつ』(志麻=著/マガジンハウス)

【特別選考委員賞】『フライパン煮込み』(若山曜子=著/主婦と生活社)※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

【特別選考委員賞】『フライパン煮込み』(若山曜子=著/主婦と生活社)