木下隆行

 2020年を駆け抜けた全裸俳優・原田龍二は、新たな年も全身全霊をかけて自身が犯した罪と向き合い、走り続ける! 今回のゲストは、TKO・木下隆行。お笑い芸人や俳優として活躍していたが、後輩芸人へのパワハラ行為が問題になり、事務所を退所してしまった渦中の人。人生の岐路に立つ木下は、旧知の原田に何を語るのか─。

◆  ◆  ◆

原田 今日は来てくれてありがとう! 木下くんに会いたかったんだよ!

木下 こちらこそですよ! 本当に呼んでいただいてありがとうございます。

原田 木下くんとは、あるバラエティー番組で一緒に激流を下った仲だからね。

木下 まさか、原田さんと近いタイミングで人生の激流を経験するとは思わなかったです……。

原田 本当にね。実は、僕のスキャンダルが発覚したとき、いちばん最初にLINEを送ってくれたのが木下くんなんですよ。謝罪会見の5時間前に「原田さん、ふんばってください」という文章を送ってくれて、本当にうれしかったな〜。

木下 こちらこそ、いちばん最初にLINEが来たのは原田さん……と、言いたいところですが、すみません! 狩野英孝でした(笑)。

原田 アハハ! 狩野くんも早かったんだ! 彼も相手のしんどさがわかるからね。それもあるけど、木下くんが好きだから、ひと言でも送りたかった。

木下 びっくりしたけど「味方です」と送ってもらえたのが、本当にうれしかったです。文章の内容はもちろん、僕のためにLINEを送ってくれたことだけでもありがたい。やっぱり、今回の一件で離れていく人もいたなかで、反対に原田さんが僕と距離を縮めてくれたのは、すごく励みになりました。

原田 あのときは、とにかく木下くんを励ましたくてね。僕とはスキャンダルの種類が全然違うけど、人前に出る仕事をしている共通点があるので、精神的なツラさはわかるんですよね……。

木下 しかも原田さんは、報道の直後もテレビやラジオの生放送に出続けたんですよね。本当にすごいですよ!

原田 そもそも、降板させられてもおかしくない状況で続けさせてもらえたのは、本当にありがたかったですよ。とはいえ、ラジオの生放送中は、素直に笑えなかった。ずっと自分の不祥事をテーマに話しているわけじゃないけど、誰かがおもしろい発言をしても(笑ってる場合じゃないだろ)ってセルフでツッコミを入れちゃう、みたいな……。

木下 わかります! 何をやっても、そのことが頭にあって楽しくないんですよね。僕も気分転換するためにスノーボードに行ったんですけど、リフトに乗ってもボードで滑っても何も楽しくないし、コケても痛くない。すぐに帰りました(笑)。でも、あの精神状態で3時間の生放送はキツいな〜!

「俺ってこんなに嫌われてたんや」

原田 直後は精神的に大変だけど、時間がたつにつれて“ずっと同じところにいるわけにはいかない”と思えてくるよね。

木下 はい。今はどんな状況でも、いろいろな経験や人との出会いを積み重ねて、ネガティブな考えを徐々に塗り替えている最中ですね。今日の対談はまさにそれです。自分でも動かなアカンと思って、3月からYouTubeも始めたんです。

原田 そうなんだ!

原田龍二と木下隆行

木下 自分としては、打席に立たずに消えてしまうのが怖かったし、次のステップへのアイドリングのつもりで始めました。そしたら、初投稿の動画に38万人が低評価をつけたんですよ。動画のコメント欄も批判的なものばかりで、めちゃくちゃ叩かれました。

 今までは目にしてこなかった声が可視化されて、「俺ってこんなに嫌われてたんや」ってショックを受けちゃって、さらに沈みました……。

原田 そっか……。でも、最近よく“叩く”という言葉を耳にするけど、そんなに周りの声って気にしなきゃいけないのかな? 僕は、神様や仏様にいわれたら「仰るとおりです!」と頭を下げるけど、どこの誰かわからないやつに叩かれてもびくともしないんですよね。

木下 びくともですか!?

原田 しない。この前もネットで殺害予告のようなコメントを見かけたけど「上等だよ」と思った。だって、家の中でポチポチ悪口書いてるやつの言葉に、一喜一憂するのも悔しいじゃない?

木下 すげー! 原田さんくらい腹がくくれる人は少数派ですよね。

原田 でも、こう思えるのは守るべき家族がいるからなんだよね。もしも僕がひとりだったら道をはずれてしまう可能性もあったと思うけど、今は叩かれてグラッときたら、家族を守れなくなっちゃう。

木下 原田さんが僕と圧倒的に違うのは、過去に離婚していないことですよね。ちなみに、スキャンダル発覚後のご家族の反応はどうでしたか?

原田 みんな普通に接してくれたんだよね。

木下 それも優しい! それはきっと、今まで原田さんがしっかりご家族と向き合ってきた結果があらわれたんやと思います。

 僕は、初めのころは動画の批判コメントにいちいち傷ついてたんですよ。でも、徐々に「こんなん気にせんでもええわ」と思えるようになってくると、離れて暮らしている20歳の娘がこの書き込みを見たらツラいんじゃないか、という心配がふくらんできたんです。なので「パパは今の状況を“芸人的においしい”と思ってるんやけど……」と、娘に伝えたら、娘も僕の動画に低評価のボタンを押してたそうです(笑)。

原田 アハハ! そもそも、高評価と低評価の2つしかボタンがないのがおかしいよね。5段階くらい分かれてたら参考になるのに。

木下 そこですか!? でもたしかに、まあまあ悪い、そこそこ、とかのボタンもほしいなあ。

「渡部が会見のとき丸刈りにしていれば」

木下 今回の騒動後、「また戻れるといいね」と声をかけてくれる人もいるんですけど“完全に戻ること”は不可能やと思います。なので、今の目標は、スペックを変えたTKO木下の第2章を見せることですね。そのために、9月から格闘技も始めて鍛えてるんですよ。格闘技は今までやっていなかったことなので。

原田 おお! 前に進んでますね!

木下 はい。身体を動かしているだけでも、自分の中で変化が生まれてますね。正解かどうかはわからないけど、アンジャッシュの渡部(建)も、先日の会見で丸刈りにしてスペックを変えたほうがよかったのに、とは感じましたね。

 渡部はお笑い芸人なんだから、いくらでもやりようがあるはずなのに、何も変わってなかった。たしかに、反省を表すのは難しいけど“騒動前の渡部”に戻ろうとしている印象がありましたよね。元に戻るのは絶対に無理やから、会見の場では“第2章の渡部”を見せたら、何かが変わったかもしれない。

木下隆行

原田 前に出ても出なくても叩かれるんだから何でもやったほうがいいとは思うなあ。

 僕も大きな傷を負ったけど、ただの傷にはしたくない。10年後には「原田はあんなスキャンダルを起こしたけど、今も頑張ってるな」と思われるのがひとつの目標です。

木下 僕自身も“もう2度とパワハラはしない”という反省を抱えているので、不祥事を起こす前の自分よりは成長していると思います。後になって「あのときがあったから今があるんだ」と言えるようにしたいですね。

原田 お互い、10年後が楽しみですね。僕は一生、木下くんの味方です!

木下 ほんまにうれしい! これからも仲よくしてください。

【本日の、反省】自分のコーナーに友人の木下くんが来てくれるのは、すごくうれしい出来事でした。僕自身は、スネに傷がある人間からエールをもらうと励みになるので、木下くんにも気持ちが届いていて本当によかったです。これからも落ち込むことはあるかもしれないけど、上を向いていてほしいですね。僕には心から励ますことしかできないけど、僕の小さなひと押しが、木下くんが頑張るきっかけになるなら、いくらでも背中を押します!

木下隆行(きのした・たかゆき)……1972年、大阪府生まれ。1990年に相方の木本武宏とお笑いコンビ・TKOを結成。1994年に『ABCお笑い新人グランプリ』新人賞を受賞。特技は笑福亭鶴瓶やせんとくんなどのモノマネ。バラエティーやドラマで俳優として活躍する傍ら、アパレルブランド「BUCCA 44」のブランドディレクターとしても活躍。所属事務所を退所後、YouTubeチャンネル「木下プロダクション」を配信中!
原田龍二(はらだ・りゅうじ)……1970年、東京都生まれ。第3回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞後、トレンディードラマから時代劇などさまざまな作品に出演。芸能界きっての温泉通、座敷わらしなどのUMA探索好きとしても知られている。現在、YouTubeチャンネル「原田龍二の湯〜チューブ!」を配信中!