「小柄できれいな人」という評判もあった容疑者(フェイスブックより)

「引っ越してくるつもりで、せっかくリフォームしていたお宅だったのに、なぜ放火したのか……」(近所の住人)

「ガソリンをまいて火をつけました」と供述

 そんな事件を起こしたのは、栃木県下野市の産業医・鈴木瑞穂容疑者(40)だった。

 1月3日の午前5時過ぎ、同県小山市の容疑者が所有する庭つき築10年ほどの木造2階建て住宅で火災が発生。

 119番通報のあと、2時間半で火は消し止められたが、屋根は崩れ、窓は割れ、外壁は剥がれ、生々しい焼け跡が残る住宅となってしまった。

「事件当日の3日、警察は家の所有者の容疑者とは連絡がとれず、翌4日に事情を聴くと“自分がガソリンをまいて火をつけました”と供述。

 非現住建造物等放火の疑いで逮捕されました。鈴木容疑者は手足にヤケドを負い、送検のときは車イス姿でしたね」(地元メディア記者)

 捜査関係者の話。

「取り調べには淡々と話していますが、反省や謝罪の言葉は語っていないようです。

 燃えたのが自分の家だけで、ケガ人も自分だけということもあるでしょうが。

 犯行の動機については、まだなんら供述しておらず、これからです」

自ら起業して医大の学費を捻出

 逮捕後に40歳を迎えた鈴木容疑者の経歴は異色だ。東京出身で、高校を卒業後、東京農業大学の短大栄養学科から4年制のバイオサイエンス学科に編入。そのころから医師の道を志すが、

「医大で学ぶためには多額の費用がかかるため、みずから不動産会社を起業し、資金を捻出したそうです」(友人)

 その後、米国の大学に短期留学。ボランティア活動もして、2007年に滋賀医科大学へ学士入学して、’11年からは自治医科大学付属病院などに勤務。現在も同大学社会人大学院生として在学中のようだ。

「血液内科を専攻し、常勤の医師として働こうとしましたが、家族を介護することになり、非常勤の産業医を志したそうです」(同・知人)

 ’16年には自分の名前からとった「みずほ産業医事務所」を設立して、有名企業などの産業医として活動していた。

 事務所のホームページには、白衣で微笑んでいる容疑者が、

《人と人とのつながりを大切に》《事業主と労働者、双方の真の健康をお守りする》

 とコンセプトを語り、保有資格には「メンタルヘルス法務主任者」、所属学会には「日本産業ストレス学会」などが挙げられている。

 女性医師を紹介するネット記事でも取り上げられ、

《現場で汗も流しますし、粉じんや有毒ガス濃度の測定だってします! 養鶏場も担当しているので、どんなに臭くても頑張ります(笑)》

プライベートも充実していた

 そう生き生きと語るように、プライベートも充実していたようだ。

AKB48風のコスプレで飲み会に参加したことも(フェイスブックより)

「ピアノが得意で、銀座のクラシック音楽専門のバーで常連客とセッションすることもありました」(別の友人)

 フェイスブックではスイスのマッターホルンでスキーを楽しむ姿も投稿されている。

 下野市の自宅マンションでも、ホンダの黄色いスポーツカーに夫と乗る姿や、愛犬のチワワ4匹を抱えて散歩するところが目撃されている。

「実家は資産家のようで、容疑者は新宿駅近くの高級マンションを相続していて、滋賀医科大学時代にも、大津市内にマンションを所有していました」(前出・記者)

ストレスを抱え、精神的に不安定だった

 公私にわたり充実して努力家に見える医師だが、4つの“問題”を抱えていた。

 下野市の自宅マンションの住人が語る。

「このマンションはペット禁止なので、鈴木さんが飼っているチワワは問題になっていました。それがストレスになり、引っ越す原因になったのかも」(1)

 夫との不仲を指摘する関係者もいる。

「数年前は、パートナーとは別居していたはずです。最近、目撃されている男性は、夫とは別人かもしれません」

 その後、ヨリを戻したとしても、不安定な関係が続いていた可能性はある。(2)

 さらに、メンタルヘルスに関わっている本人はひた隠しにしていたようだが、精神的に不安定だったそう。

「感情の起伏が激しい傾向がありました。調子が悪いときには多くの迷惑電話やメールが送られてくることもあれば、仕事を何か月も休むこともありました」(別の関係者)(3)

 容疑者のフェイスブックでも’18年10月に、《諸事情により、ここ5か月間ほぼ冬眠状態でした》との投稿が。 

 ほかにも、容疑者は産業医としての職務から従業員の愚痴を聞くことも多く、企業との板挟みになり、過大なストレスを抱えていたという。(4)

焼け跡が生々しい容疑者の一軒家。庭が広くペットを飼うにはいい環境

「そんなトラブルなどが引き金となり、衝動的な行動をとったのかもしれません」

 と解説するのは、新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(犯罪心理学)。

「今回は、殺人やその隠蔽、保険金詐欺や愉快犯のような一般的な放火とは異なります。 

 お金儲けや勉強が大胆にできる反面、落ち込むときは人生が終わったような感情に苛まれるパーソナリティーにそもそも原因があったと思われます」(碓井教授)

 容疑者の友人は「彼女には手に入れたいものがたくさんありました」と嘆息したが、今回の放火でそのほとんどを失うことになりそうだ。