「ESSENCEbyTriumph」イメージキャラクター発表会での菜々緒('16年)

 1月12日より放送されているTBS新火曜ドラマ『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』(通称『ボス恋』)。本作のメインキャストである菜々緒(32の魅力が再認識されている。

人気集める菜々緒の“悪女役”

『ボス恋』は、上白石萌音演じる「人並みで普通の幸せを手にしたい」という安定志向を持った主人公・鈴木奈未が、ひょんなことから大手出版社のファッション雑誌編集部に配属。そこで菜々緒扮する超敏腕編集長・宝来麗子の雑用係に任命され、無茶な要求に振り回されながらも社会人として成長していくさまを描いている。

 現在、第2話まで放送されているが、毎話注目されているのは麗子の奈未に対する厳しい“お言葉”。毒舌で一見ワンマンな上司にも思える麗子だが、仕事への情熱がなく言い訳しがちな奈未に対する言葉が「的を得ている」と話題になっているのだ。

 そんな厳しい上司を演じる菜々緒は、23歳のときにファッション雑誌『GINGER』(幻冬社)の専属モデルに抜擢された後、ドラマ『ウレロ未確認少女』(テレビ東京系)で女優デビュー。身長172cm・股下85cmの9頭身という完璧すぎるプロポーションと美しい顔立ちを持ちながら、飾らない人柄がウケてバラエティー番組でも活躍するようになった。

 なかでも彼女を一躍有名にしたのは、2014年に放送されたドラマ『ファースト・クラス』(フジテレビ系)。主演の沢尻エリカがふとしたことから憧れの出版社で働きはじめ、数々の嫌がらせを乗り越えた末に編集長まで上り詰めていくというサクセスストーリーだ。

 菜々緒は縁故採用で入社した、いわゆる“腰掛け”編集部員「レミ絵」を演じており、沢尻への嫌がらせも際立っていた。ファッション雑誌編集部で繰り広げられる「心の中での悪口合戦」と「女同士のマウンティング」を字幕表示する演出が斬新で、彼女を一躍“悪女キャラ”に押し上げたの作品のひとつだ。

 以降、菜々緒は『まっしろ』(TBS系/2015年)や『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系/2015年)、『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系/2018年)でも悪女を演じ、そのイメージを定着していく。

 その悪女イメージはバラエティー番組にまで伝わり、『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系)では、菜々緒が女性の同僚や部下をいびる意地悪なキャラクター「エリカ」がシリーズ化するほどであった。

 当初はエリカが最終的に屈辱を味わう勧善懲悪的なストーリーだったが、徐々に主人公を救うという「実はいい人だった」パターンが『ボス恋』での麗子と似通っている部分もある。

 このころから菜々緒は悪女でも、“なぜか嫌われない悪女”として人気を獲得し始めたのではないだろうか。2019年にインスタグラムでファンから寄せられた「お風呂で簡単に痩せられる方法教えてください」という質問に対し、

そんな考えだから痩せられないのでは?

本気になるまでそのままでいれば良い、本気になるまでは変われない。そんな自分が嫌いじゃないんでしょうね。今のままでも良いと思ってるから、そんな自分が嫌いで許せなかったら、もう変われてるはず

 と回答し物議を醸したことがあった。だが、「ド正論吐いててかっこいい」「辛口だけど間違えたことは何一つ言ってない」と賛辞する声が多かったのも事実。

 というのも、菜々緒は自身のスタイルを保つために、厳しい食事制限は行わず、日々筋トレに励む努力家。トレーニング模様をSNSでも発信しているため、厳しいことを言われたとて反論のしようがない。

 彼女は自身のTwitterで「容姿などは恵まれなかったけど、人脈や環境には恵まれてるので。家族にも感謝してます」と発言した際には多少なりとも批判はあったが、これは決して謙遜や嫌味などではない。

 実際に菜々緒は映画『白ゆき姫殺人事件』への出演が決まった際の取材で、

自分がコンプレックスを感じているところを好きになれるような職業に就きたいと思って、モデルの道に進みました。当時は、華奢(きゃしゃ)な体型が私にとっては貧相に思え、背が高いこともマイナスに考えていたんです

 とモデルになったきっかけを語っている。

 多くの女性が羨ましいと思うであろう“背が高く、華奢”な体型、だが、菜々緒自身にとってはコンプレックスだったという。だからこそ、彼女は自分の体型を活かせるモデルの仕事に就き、なおかつ貧相というイメージを与えないように綺麗な筋肉をつけるトレーニングに励んでいる姿を見せているわけだ。

 また、昨年3月に出演した『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系)では共演者から結婚願望について問われ、「多分、結婚はしないだろうと思ってます。というか、結婚したくないです」と回答。「人と一緒に住みたくない」と理由を語り、視聴者からは共感の声が多数挙がっていた。他人だけではなく自分にも厳しく、批判を受けようとも意志を曲げない。竹を割ったような性格だからこそ、視聴者から愛されているのかもしれない。

『ボス恋』での麗子は、そんな菜々緒自身の魅力が最も際立つキャラクターとも言える。ドラマ終盤では主人公に対し、

人並みでいいなんていうのは、平均以上の能力やステイタスがある人間が使える言葉。あなたは普通や人並みがどれだけのものかわかってない」(第1話)

あなたは人並みでいいとか言って、努力することから逃げてるだけ。人並み、人並みって言うなら、まず人並みの責任をとったら?」(第2話)

 と厳しい言葉を投げかけいる。そんなセリフに対し、SNSでは「菜々緒かっこよくて好き」「菜々緒様の美で殴られる時間」などのツイートが多く見受けられた。

 これまでTBSの火曜10時枠は『逃げるは恥だが役に立つ』や『恋はつづくよどこまでも』など主人公の恋愛模様が注目を集めてきたが、本作は溜まった鬱憤をスカッとさせる菜々緒の“愛あるお言葉”に注目してみるのもいいかもしれない。