docomoのahamo(アハモ)20G(月額2980円)の発表を皮切りに、au、ソフトバンクも値下げを発表。まさに群雄割拠のスマホ市場。今までが高すぎた!と思う人も、今回は期待以上のお値段になるとあって乗り換えない手はない。その不安や疑問にもお答えしちゃいます!

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今、スマホ代が安くなったワケ

 2020年末から今年頭にかけて、携帯キャリア大手3社が一気に新プランを発表。その安さで世間を騒がせた。値下げの背景を「インフラとしての普及がある程度、整備されたから」と教えてくれたのは、ファイナンシャル・プランナーでスマホ評論家の新田ヒカルさん。

 携帯電話は、国民の生活水準を引き上げるインフラの一種。そこで、国は携帯会社を援助してアンテナの整備を後押し。しかし、整備が終わり、3大携帯キャリアの独占状態になると、1人あたり8000円弱といわれるスマホ代が、家計を圧迫するように。そこで政府は、携帯料金引き下げを各社に打診したのだ。

勢力図に加わった新プラン

 携帯市場は、大きく4層に分けられる。3大キャリア、4つ目のキャリアである楽天モバイル、3大キャリアが作ったサブブランド、そして格安SIM。

 大きく違うのは回線速度で、「蛇口にたとえるなら、3大キャリアは全開、サブブランドは絞りぎみ、格安SIMはだいぶ絞った状態」(新田さん、以下同)

 その4層に、今回発表された新プランが新たに加わった。「新プラン」と呼んでいるものの、番号をそのままで乗り換えるにはMNPが必要な可能性があるなど、サブブランドに近い存在だ。

「未決定のことが多いですが、回線速度は3大キャリアと見劣りしないものになるのでは。そのうえで価格が大きく下がる。チェックしない手はありません」と新田さん。携帯の群雄割拠時代を消費者として賢くお得に乗りこなそう。

【携帯会社勢力図】

●3大キャリア(docomo/au/ソフトバンク)
通信速度が速く、有人の対応窓口があり、通信以外のオプションサービスが幅広い。料金は高め。

●新キャリア(楽天モバイル)
自社の通信回線を持つ“第4のキャリア”として2020年4月から運用が開始された。ネット申し込み。有人対応窓口あり。

●サブブランド(UQモバイル/Y!mobile)
通信速度は3大キャリアよりやや劣る。通信以外のオプションサービスは少ない。3大キャリアより数は少ないが、有人対応窓口あり。料金はやや安い。

●格安SIM(LINEモバイル/y.u mobile/HISモバイル/日本通信SIM/イオンモバイル/BIGLOBE/J:COM MOBILE/OCN モバイル ONE/IIJmio ほか=順不同)
通信速度は大手キャリア、サブブランドと比べて遅く、有人対応窓口がない。手続きはネット経由。そのかわり料金がいちばん安い。音声通話とデータ通信ができる「音声通話SIM」、データ通信だけができる「データSIM」などがあり、現在約20社以上がサービスを展開。

世界でもトップクラスの安さに

「新プラン、実際、どうなの?」という疑問に、新田さんは「従来の日本の携帯料金は高いと言われていましたが、一気に下がりました。国際的に見てもかなり安い」と太鼓判を押します。

 プラン内容と価格は、3大キャリアはほぼ横並び。利用料金が3000円未満、しかも5分以内の国内通話がかけ放題で(au povoはオプション)、利用可能データ量は20GB。大手キャリアの従来のプランを1例あげると、利用可能データ量は30GB、通話は30秒あたり22円で、7865円(定期契約ありの場合)。新プランの破格ぶりがわかる。

【3大キャリアの値下げプラン】

プランはいずれも発表されたばかり。未確定なことが多く、これから変更される可能性も。情報はいずれも2/2現在のもの。サービスは3社とも3月から提供予定。

docomo ahamo【月額/2980円】
3社のなかでは、もっとも早くプランを発表。データ通信容量20GB、5分以内の通話無料。手続きは専用サイト、相談はチャット、故障は専用サイトで申し込み。家族割の対象回線にできるのも特徴。

au povo【月額/2480円】
データ通信容量20GBで、料金は500円安い2480円。使い方に合わせてサービスの「トッピング」が自由なのが特徴。他社ではプランに含まれる5分以内のかけ放題は月額500円のオプションに。ほかにも200円で24時間データ使い放題なども。

SoftBank on LINE【月額/2980円】
ソフトバンクがLINEモバイルを吸収してスタートする新ブランド。データ通信容量20GB、5分以内の国内通話無料。LINEで使用するデータはノーカウント。手続きはWEBのほか、LINEでもOK。LINEヘビーユーザーなら見逃せない。

 ただし、注意したいのが、新プランは有人窓口では申し込みや問い合わせはできないこと。申し込みはネットのみ、回線を使うために必要なSIMカードは郵送で送られてくるなど、ハードルが高いと感じる人も多いかもしれない。

「とはいえ、多くの人は新プランかサブブランドに乗り換えることで、半額近くになるはず」と新田さん。今こそ乗り換えどきなのだ。

 週女世代に向けてのアドバイスとして“携帯の乗り換え方法に詳しくならなくてもいい”とのこと。身近に携帯に詳しい人がいたらその人に聞いてみる、家電量販店の有料設定サービスを頼るなど、自分なりの方法を見つけてみよう。また、いま使っているスマホを「SIMフリー」にしておけば、新プランにしてもそのまま使える。その手続きが難しい場合も家電量販店の有料サービスがおすすめだ。

「昔は、NTTの固定電話の受付窓口が街中にありましたが、今はありません。インフラが普及し、みんなが慣れれば、有人窓口は消えていくもの。頼れる先を見つけ、ネットでの手続きに慣れておくよい機会かもしれません」

タイプ別おすすめプラン BEST12

 今はYouTube、Netflixなどの動画サービスが増え、利用者が急増中。これらのサービスを使うか、使わないかで必要とするデジタルデータの量が変わり、プラン選びが大きく変わってくる。動画をたくさん見るかどうか、電話をよく使うかどうかの組み合わせで4タイプ×各3プランを新田さんにピックアップしてもらった。

※動画を見ない人なら、OSなどのアップデートを見込み、データ容量は5GB程度を目安に。また、電話については、LINE以外での電話をよく使い、さらに5分以上話すことが多いかで判断するとよい。

《A》動画をたくさん見る+電話もよく使う

●楽天モバイル
Rakuten UN-LIMIT【月額/2980円】

新規契約で1年間プラン料金が無料。エリア内であれば、データは使い放題(動画も通話も見放題・かけ放題)とお得。Rakuten Linkというアプリを使えば、国内通話も無料。ただし、エリアの狭さがネック(現在拡大中)。20GBまでなら1980円のプランも登場。

●docomo
ahamo【月額/2980円】

データ容量20GB。5分以内の国内通話は無料。別途月額1000円払えば、国内通話かけ放題に。家族割は適用されないが、契約対象回線にはなるので、家族がdocomoの通常プランを使っている人にやや利点が。

●SoftBank on LINE
LINEがギガノーカウント【月額/2980円】

20GB、5分以内の国内通話は無料。月額1000円で国内通話かけ放題のオプションあり。特徴はLINEで使用するデータはカウントされないこと。LINEでのやりとりや通話が多い人におすすめ。

《B》動画をたくさん見る+電話はあまり使わない

●au
povo【月額/2480円】

データ容量20GBはdocomoやソフトバンクの新プランと同じだが、5分以内の国内通話無料がない分、基本料金が500円安く設定されている。200円で24時間ギガ使い放題など、ほかにはないオプションが魅力。

●UQ mobile
くりこしプランM【月額/2480円】

データ容量は15GB。余ったデータ容量を翌月まで繰り越せる。実店舗があり、対面で相談しやすいのもメリット。国内通話は税込み22円/30秒だが、最大60分以内の国内通話無料550円などのオプションも。

●IIJmio
ライトスタートプラン+追加SIM1枚【月額/2920円】
(通話20円/30秒)

6GBをふたりで分け合い、合計2920円。つまり、ひとりあたり1460円! 妻は動画を短時間見るが、夫は最低限LINEができればOKなどのケースに。6GBはドラマなどを見るには心もとないが、安さが魅力。

《C》動画はあまり見ない+電話をよく使う

●日本通信SIM
合理的かけほプラン【月額/2480円】

国内通話かけ放題最安値でたくさん話したい人向け! データ容量は3GB。LINEやTwitter、ネット検索、たまに地図アプリを見るぐらいなら十分。不足した場合、1GBあたり250円で追加可能。

●UQモバイル
くりこしプランS【月額/1480円】

ちょっと長めの通話と繰り越し可能な3GBをセットに! 5分の無料通話では短く、かといって完全かけ放題にするほどではない人の最適プラン。データ容量は3GBで、使い残しは翌月へ繰り越しできる。国内通話10分かけ放題を月額770円でつけると、2250円。

●docomo
カケホーダイプラン(ケータイ)【月額/2200円】
(2年契約の場合)

“ガラケー”専用プラン。国内通話は24時間かけ放題、データ容量はなし。携帯電話の使用は通話だけ、かつ通話が多い人にとっては最強のプラン。ただし、新規契約は不可。docomoの特定のプランからのみ変更可能。

《D》動画はあまり見ない+電話もあまり使わない

docomo
ケータイプラン【月額/1200円】(2年契約の場合)

“ガラケー”で使えるプラン。国内通話は30秒あたり20円、データ容量は0.1GB。実質通話専用のプラン。docomoの家族割に入っている回線とは通話が無料。携帯は持っているだけ、通話は家族とだけという人に。

●イオンモバイル
やさしいプランmini.【月額/980円】

ガラケーやイオンオリジナルの「やさしいスマホ」で使える。60代以上でさほど携帯を使わない人なら、月額1000円未満に。国内通話は30秒20円、データ通信は200MB。ネットやメール、LINEを少しだけ使いたい人に。イオンに店舗があるのもうれしい。

●LINEモバイル
ベーシックプラン+データフリーオプション(データ通信専用SIM)【月額/600円】

電話番号が割り振られないデータ通信専用SIMを使うプラン。ただし、LINEでの通話やSMSの送受信は可能。データ容量は0.5GBと最低限。できる限り安くしたい人の本命。

スマホ乗り換えの不安Q&A

Q)初期設定は難しいよね?
A)家電量販店の、料金を払って各種設定や手続きを代行してくれるサービスがおすすめ。子どもなど周囲の人を頼ろう。

Q)ずっと使ってきた家族割は?
A)ahamoの場合、家族割の回線としてはカウントされる。ただし、家族間通話無料の対象外。povoは、家族割は適用外。SoftBank on LINEも、おそらくは適用外に。家族割の恩恵を受けずとも、新プランは十分おトク。

Q)乗り換えがめんどう! 既存のキャリアプランのメリットは?
A)新プランの安さ、利用可能データ量の多さは破格。3大キャリアのプランにとどまるメリットはほぼなし! メリットがあるのは、どうしても有人窓口を利用したい人に限られる。

Q)スマホが壊れたときは?
A)窓口対応はないので、ahamoは専用サイトで問い合わせ申し込み。ほか2プランは未発表だが、同様の対応になると思われる。

Q)スマホ本体を新しくしたい! 結局は高くなる?
A)キャリアに縛られないSIMフリーの端末を用意すれば、最新機種から中古品まで、選択肢は幅広く、値段もさまざま。自分の使い方や予算に合った端末を探すことができる。

Q)すぐに新プランに乗り換えたい! お金はかかるの?
A)現在契約のプランによっては、いったん手数料などが発生し、後日、使用料からその金額が差し引かれるケースも。使っている回線や端末にもよるので確認してみよう。

Q)キャリアメールは使えないの?
A)3キャリアの新プランではいずれもキャリアメールは引き継げない。オプションをつければキャリアメールを残せるサービスも検討されているが、この機会にGmailなどフリーメールのアドレスを取得するのがおすすめ。今のうちにアドレス変更の準備を進めておこう。

(取材・文/仲川僚子)

《PROFILE》
新田ヒカル ◎スマホ評論家、マネー評論家(FP)。もともとパソコンやスマホに詳しく知り合いのサポートをしているうち、記事執筆、取材を受けるように。『ワールドビジネスサテライト』などテレビ番組、各種雑誌でコメント。