2020年4月、直撃取材に対応する小雪

《渡り鳥って季節によって過ごしやすい土地に移動していくじゃないですか。人だって同じことができるんじゃないか。そういう思いはわいの中にあったんです。》

 2月10日発売の『週刊新潮』にて、5ページにわたって現状を語ったのは、自分を“わい”と呼ぶ松山ケンイチだった。この“わい”とは、青森県の方言である「下北弁」で一人称である“私”を指す言葉。むつ市出身の松山にとって、長らく慣れ親しんだ言葉だ。

「16歳で故郷から5時間かけて上京してオーディションに合格し、17歳で俳優デビューを果たした松ケン。仕事の時は一人称を“僕”として標準語を使いますが、打ち解けると“素”が出ることが多くイントネーションが変わって方言になるんですよ。こういったインタビューで“わい”になるということは、俳優ではなく“松山研一”個人として取材を受けたのでしょう」(スポーツ紙芸能デスク)

 彼が明かしたのは、2019年の春ごろに雪深い地域の村に一軒家を建て、そこで“田舎暮らし”を始めたというもの。別宅での生活は畑を耕して野菜を育てたり、必要な家具を自ら作ったり、はたまた知り合いの猟師に同行して鹿や熊を獲り、食用にする他に獣皮を加工して革製品を作るなど、自給自足以上の生活を送っているという。

 現在、政府が唱えている「地方創生」の下、東京を離れての田舎暮らしが注目され、松山のように地方にセカンドハウスを購入する世帯が増えているという。そして、昨年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、リモートワークが定着したことも“移住”に拍車をかける要因になっている。

 松山もまた、昨年11月にはNHKドラマ『こもりびと』に出演し、今年も10月放送予定の『日本沈没-希望の人-』(TBS系)のほか、映画も3本公開を控えているように、決して俳優業をやめたわけではなく、家族と共に東京とを行き来する二重生活を選んだというわけだ。

都会派イメージが強い小雪

 2011年に結婚した8つ年上の妻、小雪との間には2男1女を設けている。

「長男はもう9歳で、区域外就学制度を利用して現地の小学校にも通っているそうです。昆虫採取や川で釣りをしたりと都会ではなかなか自然と触れ合うことはできないだけに、子どもの教育の場としても田舎を選んだのでしょう。

 実は、松ケンは山や森をフィールドにしてモデルガンで撃ち合うサバイバルゲームにどハマりした時期があって、野外生活にも惹かれていたのかもしれませんね。小雪さんは夫の趣味に呆れていたそうですが(苦笑)。

 それにしても、モデルで女優の小雪さんは勝手ながら都会派イメージが強く、服が汚れるのも嫌がりそう。よく田舎暮らしを了承したな、とは思ってしまいます」(前出・スポーツ紙芸能デスク)

 確かにモデルとして美容に関して、特にお肌のケアにはストイックに気を使うという小雪。そんな彼女が青空の下で紫外線を浴びて農作業とは想像つかないような……。

 しかし、彼女を知る芸能関係者は「田舎暮らしを選んだのは小雪さんでもあるそうですよ」と内情を明かす。

「かねてより美容意識の高い小雪さんですが、それは表面的な美だけでなく 健康的な身体や心に裏付けされた内面的な美しさも大切にしているんです。都会にいると、どうしても時間に追われて窮屈になりストレスを抱え込んでしまいます。

 食事に関しても、小雪さん自身も玄米食で育ってきたこともあり、健康食への意識が高く、普段から夫や子どものために無農薬野菜を取り寄せて料理を作っていたそう。自給自足の生活は自ら野菜を育てて、ゴミもなるべく出さないように肥料にしたり、鳥のエサにしたりとするように、子どもの“食育”になっているわけです」

 また、二重生活を体験することで子どもたちの視野を広げる教育的観点もあるようだ。

2018年4月、松山ケンイチは長男の入学式にラフな服装で長女とともに参加した

「以前、“長男を公立保育園に通わせようとしている”との報道から、“お金あるのに”などとの声が上がったともされましたね。芸能人とはいえ、彼女も働くママである以上は応募資格はあったのですが、待機児童が多い地域ということもあり入園をあきらめた経緯があります。

 彼女は、子どもたちに“一般的な感覚”を養ってほしかったんですよ。実際、その後に生まれた長女は認定保育園に無事に入園し、長男は公立の小学校に通っているようです。学校の勉強も大事ですが、それだけでなくさまざまな環境で育った学友とも分け隔てなく接することができる子どもに育ってほしかったわけです」(前出・芸能関係者)

「生きていく力」を育てる

 小雪はかつて、マタニティーフォトを表紙にして話題になった自署『生きていく力。』(小学館、2012年)において、《子どもが15〜16歳になったら、どこかの国に出そう、と考えている》と意識高めな教育観を語っていた。

《世界は広く、富める国も貧しい国もあり、文化も宗教も風習も違う……。そんな現実を自分の足で歩き回って見てほしいと思うのだ。人として生きていく力はそんなところから育つのではないだろうか》

 一部報道では、自身も狩猟免許を取得して、猟銃や罠を仕掛ける“ハンター”になっているとも報じられた小雪。それこそ今後、家族で完全移住して自給自足生活を送る決意の表れなのだろうか。昨年4月に『週刊女性』の取材にこう答えていた小雪。

《(移住は)現実的ではないですね。生活体験自体は今後もやっていこうと考えていますが、私も仕事は東京でしていますから。実際に今も映画の撮影をしています

 女優の仕事も、東京の生活もそう簡単には離れられないようで。