流血騒動を引き起こしたA先生。精悍な顔つきだ(学園関係者提供)

「生徒の着ていたカッターシャツは真っ赤な鮮血に染まっていました。校内では教師による暴力が絶えません……」

 2月15日、東京・千代田区にある名門私立・暁星(ぎょうせい)中学校でまたも不祥事が発生した。学校関係者が一部始終を打ち明ける――。

 中高一貫教育で知られる男子校、暁星学園。東大卒の俳優、香川照之(55)のほか北大路欣也(78)、賀来賢人(31)など多くの芸能人が学んだことで知られる進学校だ。

 スポーツも強豪で、特にサッカー部は元日本代表のフォワード前田遼一(39)を輩出しており、中高ともに何度も全国大会に出場している。

 2020年には大ヒットドラマ『半沢直樹』出演俳優たちの母校として注目を浴びていた。しかし裏では数々の不祥事が表ざたになっており、『週刊女性PRIME』でも報じていた。

 同校を取材した記者によると、

2016年には同・高校1年生が、校内で刃渡り10センチの折りたたみナイフを使い、生徒や教師を切りつけて逮捕されました。その後、2019年には教師が中等部の生徒の顔面を殴ったり、指導に従わない生徒を”お前はクズだ!”と罵(ののし)っていた事実も発覚。

 さらに教師間での陰湿なイジメも明るみに。B型肺炎から復帰した教師に対し、一部の同僚が“うつる! 来るな!”と発言し嫌がらせをしていた」

自主退学する生徒が増えている

 『半沢直樹』が放送された昨年は、再び警察が動くほどの騒動が起こる。

「1月にサッカー部内で集団暴行事件が発生しました。1対1から始まったケンカがエスカレートして、1対複数の集団暴行に。被害生徒は気を失い、生死の境をさまよいましたが、あろうことか気絶したときの写真が校内で拡散されたんです」(前出・記者)

 学校側の対応もひどいものだったという。同校の保護者によると、

学校からは詳しい説明もなく、再発防止策も示さない。それどころか被害生徒の担任が、“彼(被害生徒)がいる限り、この問題は終わらない“と被害生徒に非があるような話をしているところを聞いた生徒もいます。

 被害生徒は残った後遺症を周りの生徒から面白おかしく言われることもあり、追い詰められてサッカー部を辞めたそう。ところが加害生徒は1人を除いて全員、非を認めずにお咎(とが)めなしとなっています」

 イジメや暴力が野放しにされ、暁星では自主退学する生徒が後を絶たないという。

 建学の精神には、『キリスト教の理念に基づく教育により、人格の完成をめざすと共に社会の福祉に努める人物を育成する』と、謳(うた)う暁星学園だが、実態は危うい。

 そんな中で発生したのが冒頭の流血事件だった。詳細を知る関係者によると、

「現在、学内ではコロナ感染予防のため校内での食事が禁止されています。それに反して、2月15日に中学3年の生徒数名が、お菓子を食べていたんです」(以下、関係者)

 ルール違反が発覚し、サッカー部の顧問で英語教師のA先生が生徒らを呼び出して叱責した。

「そこで、感情が高ぶったのかAは手に持ってった教室のカギで1人の生徒の後頭部を殴りつけた。出血したため慌てて保健室に連れて行ったようですが、頭のケガにもかかわらず、病院には連れて行かなかったそうです」

 生徒は頭を包帯でグルグル巻きにされ、その後も授業を受けたという。

 生徒が戻ってきたときの一部始終を見ていた同級生が当時の様子を振り返る。

着ていた白のカッターシャツは鮮血で真っ赤に染まり、生徒の間では動揺が広がりました。ただ、うちの学校では似たような暴力ざたが普段から発生しているので、それほど大騒ぎにもなりませんでした。学校側も、特に問題視している様子はありません」

 幸い大事には至らず、被害生徒は翌日には包帯をはずして登校していたが、傷は残っている。

 ルールを破った生徒たちも悪いが、出血するほどの暴力は指導の範囲を超えていると言わざるをえない。

A先生は“暴力教師”と呼ばれている

 普段からA先生はトラブルを起こしていたのだろうか。前出の保護者によると、

「A先生は熱血なところもありますが、普段から指導中に生徒を殴る、蹴るなどするので、一部では“暴力教師”と言われています。保護者会では“自分は廊下をバイクで走るような中学校の出身”と腕っぷしを自慢していました。自宅でお酒を飲みながらZOOM面談をしていたことも」

 ケガをした生徒は、過去にもA先生から蹴り飛ばされたことがあり、「サッカー部の顧問が人を蹴るのはいかがなものか」と、保護者間で問題になったという。

 傷害事件にも発展しかねない不祥事に、学園側はどう考えているのか、教頭に尋ねてみた。

(流血事件は)事実です。ただ、A先生からは(殴ったのではなく)当たってしまっただけと聞いています。謝罪もしていますし、騒動を公表することも考えていません

 普段からA先生が、校内で暴力をふるっていたことについても聞いたことがないという。

「A先生については学内で適正に処分をしました。今後はこのようなことがないよう、努力してまいります。繰り返し教員に対して注意し、適正に指導していけば改善されると考えています」

 しかし後日、学内では「暴力はやめましょう」と取ってつけたように再確認が行われただけで、何の抑止策も話し合うことはなかった。A先生も普段どおり、教壇に立っているという。

 教頭の言い分について前出の関係者は、

「たまたまというのはカギがたまたま手元にあっただけで、Aが生徒をつかんで腕を振り上げた場面は多くの生徒が見ています。そもそも、当たっただけでシャツが真っ赤に染まるほど流血するはずがない」

 謝罪についても、

多くの有名人が学んだ暁星学園

生徒に対しAは“殴ったのは悪かったが、(ルールを破った)お前も悪い”と生徒の非を責め、ちゃんとした謝罪もしていません。保護者には“カギはたまたま当たっただけ”と言い訳しています

生徒や保護者は学校に強く言えない

 学内ではほかの教師による暴力や暴言もあるようで、「お前ごときが何様だ、クズ」「何のために生きている」といった尊厳を傷つけるような言葉が平気で生徒に浴びせかけられているという。

うちは中高一貫の私立で、学校側に強く言えない。高校進学や内申書、学生生活での不利益、部活動では試合への出場にも関わるので、生徒や保護者は何も言えないんです」(前出・保護者)

 不祥事が続き、自浄作用を失った名門は立ち直ることができるのだろうか。

『教師崩壊』などの著書もある教育研究家の妹尾昌俊さんは、

「今回の事例のように傷害にあたると考えられる場合は、保護者は学校を怖がらず、毅然(きぜん)と警察を通して対処するべきでしょう。何より、子どもの安全を守ることが第一です。学校側も、このような不祥事があった際にはしっかりと検証を行い、処分の内容などの説明責任があるべきだと思います」

 学校側が責任を果たさない場合は、

「東京都の場合は、『東京都生活文化局』という行政組織に私立学校の指導等を行う部局があるので、相談してみるのもひとつの手でしょう」

 と助言する。

「これだけ不祥事が続いて、改善も期待できない。学校に子どもを預ける身としては不安ですよね……」

 前出の保護者はため息をつくが、学校側にその声は届いているのだろうか。有名卒業生たちも心配しているに違いない。