イラスト/やのひろこ

 日本の食品ロスは年間612万トン。自炊の増加で食材の買い物頻度が増え、廃棄することも……。これでは食費がかかるし、食品ロスも減らないまま! でも、ご安心を。先人の知恵で食材の寿命は延ばせる。食材の特徴を知り鮮度を保って買った食材をとことん使い切ろう。

野菜の鮮度を保つ裏ワザ(1)

【玉ねぎ】ストッキングに詰めて日陰に吊るしておく
 湿気を嫌う玉ねぎは、夏場は冷蔵保存が適切ですが、それ以外の季節は常温保存が長持ちのポイント。風通しのよい冷暗所で保存するのがベストです。おすすめはみかんが入っているネットや古いストッキングに1個入れたらねじって保存する方法。場所も取らずに保存できて便利。もしくは、1個ずつ新聞紙で包み、かごに入れて保存する方法も。

【玉ねぎ】ストッキングに詰めて日陰に吊るしておく(イラスト/やのひろこ)

【じゃがいも】りんご1個と一緒に冷暗所でキープ
 買ったままビニール袋に入れておくのはNG。取り出して、泥つきはそのままかごに入れ、風通しのよい冷暗所で保存。りんご1個を入れておくと、りんごのエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑えてくれます。

 さつまいもはじゃがいもと同様にして保存できます。里いもは泥を洗って乾燥させ、かごに入れて冷暗所に置けば長期保存可能。

【じゃがいも】りんご1個と一緒に冷暗所でキープ イラスト/やのひろこ

【ほうれん草・小松菜】新聞紙&ビニールで包み息をひと吹き
 全体に霧吹きで水分補給してから、新聞紙で包みビニール袋へ。息をひと吹きして輪ゴムで口を閉めてから野菜室に根を下にして立てて保存します。二酸化炭素が葉のシャキシャキ感を保ってくれます。

【ほうれん草・小松菜】新聞紙&ビニールで包み息をひと吹き イラスト/やのひろこ

【キャベツ・レタス】芯をくりぬき濡らしたコットンを詰める
 丸ごと買ったキャベツやレタスは、芯をくりぬいて水を含ませたキッチンペーパーやコットンを詰め、ポリ袋に入れて野菜室へ。ペーパーが乾いたら水を補給して。芯から葉に水分が送られるので、シャキシャキの状態が保てます。

 レタスは芯の切り口に小麦粉をすり込み、キッチンペーパーで包んでポリ袋に入れて保存しても。小麦粉が切り口をふさいで乾燥を防ぎます。

【キャベツ・レタス】芯をくりぬき濡らしたコットンを詰める イラスト/やのひろこ

【葉つきの大根・かぶ】本体の水分を奪う、買ったらすぐ葉を切り落とす
 葉つきで売っている大根やかぶは葉に養分が奪われ、本体にスが入ってしまうため、買ってきたらすぐ葉を切り落としておきます。切り口をふさぐようにしながら全体を新聞紙でくるみ、冷暗所に立てておくと長持ちします。カットしてあるものはラップで全体を包み、野菜室に立てて保存しましょう。

 切り落とした大根の葉を水栽培。葉を3cmほど残し、高さ2cmくらいの水につけ水が減ったら足します。2~3日で葉が伸びてくる!

【葉つきの大根・かぶ】本体の水分を奪う、買ったらすぐ葉を切り落とす イラスト/やのひろこ

野菜の鮮度を保つ裏ワザ(2)

【アスパラ・貝割れ菜】貝割れ菜は生花のように水に挿して
 牛乳パックをアスパラガスの長さに合わせて切り、アスパラガスを入れて2cmほど水を注ぎ野菜室で保存。貝割れ菜などの根つきの野菜は根が浸る程度の水を入れて野菜室に。いずれもラップやポリ袋をかぶせておくとみずみずしさを保てます。

【もやし】密閉容器に水を張り、漬けておくとシャキシャキ
 もやしは水分が多いので、パッケージに入れたまま保存すると、すぐ茶色くなって日持ちしません。買ったらすぐに密閉容器に移して、ひたひたになるまで水を張って冷蔵保存。毎日水を替えれば2~3日は鮮度が保たれ、シャキシャキとした食感を楽しめます。

【もやし】密閉容器に水を張り、漬けておくとシャキシャキ イラスト/やのひろこ

【長ねぎ】ラップで包み立てて保存、根つきなら土に埋めてみて
 野菜室に寝かして保存しがちですが、寝かした状態だと立ち上がろうとして傷みやすく。適当な長さに切ってラップで包み、野菜室に立てて保存しましょう。根つきの長ねぎをたくさんもらったときは、庭やプランターの土に埋めると、冷蔵庫や冷暗所で保存するよりも長持ちします。

【長ねぎ】ラップで包み立てて保存、根つきなら土に埋めてみて イラスト/やのひろこ

【にんじん・きゅうり】水分がニガテな野菜は水けをしっかりふいてから
 野菜の鮮度を保つには、ある程度は水分が必要ですが、中には水分が苦手な野菜も。それがにんじんときゅうり。水けがついたままだと傷みやすくなるので、水けをよくふき取ってからラップで包んで野菜室へ。

【青じそ】濡らしたコットンと一緒にびんに入れて
 すぐにしなびたり、黒く変色しやすい青じそ。びんの中に濡らしたコットンを敷き、青じその軸を下にして立てて置き、ふたを閉めて保存すると1~2週間は鮮度が保たれます。

【青じそ】濡らしたコットンと一緒にびんに入れて イラスト/やのひろこ

【トマト・なす】夏以外は冷蔵庫に入れないほうが鮮度が長持ち
 青い部分のあるトマトは常温保存に。完熟トマトや夏場は、へたを下にしてキッチンペーパーで包み野菜用保存袋に入れて野菜室へ。なすは低温に置くと皮が硬くなったり、身がしぼむので冷暗所に保存。

皮、芯、へた…野菜くずも保存して料理に活用!

 野菜の皮、芯、へたなどの野菜くずは、捨てずにためて活用しましょう。へたや薄皮はだしをとるために、厚くむいた皮や芯は刻んで炒めればおいしく食べられます。無駄なく使い切りましょう。

●へた・薄い皮
 玉ねぎの皮やピーマンのへたは、キッチンペーパーで水けを除き、保存袋に入れて冷蔵保存。たまったら熱湯に入れアクを取りながら煮るだけ。こせば野菜のうまみが出た万能スープだしになります。

●芯・厚めの皮
 にんじん、大根、れんこんなどの根菜は厚めの皮もとっておく。みじん切りにしてひき肉と合わせて餃子の具に。細切りにして炒めてきんぴらにしても。160度くらいの油でじっくり素揚げした野菜チップスも美味。塩、青のり、粉チーズなど、お好みの調味料をふっていただきます。

干すだけで美味しさもアップ!
野菜を長く保存する裏ワザ

 野菜を干すと水分がなくなるので、長期保存が可能になります。野菜を洗って切って、ざるに並べて干すだけと簡単。干すときは、天気のよい日を選び、夕方には取り込みましょう。天日に干された野菜は、栄養が凝縮され、歯ごたえがよく、甘みも美味しさもアップ。煮物などで使うときは、サッと洗って通常の乾物のように水で戻します。

【大根】
 洗って水けをきってから、皮ごとせん切りにして、平らなざるに広げて、日なたに干すだけ。せん切りの太さを変えたり、ピーラーで薄切りにしても。

洗って水けをきってから、皮ごとせん切りにして、平らなざるに広げて、日なたに干すだけ。せん切りの太さを変えたり、ピーラーで薄切りにしても。 イラスト/やのひろこ

【きのこ類】
 しいたけは軸ごと、しめじやまいたけは石づきを取り、エリンギは縦4分の1に切って干す。風が強いときは竹ぐしで刺して物干しに吊るす方法も。

しいたけは軸ごと、しめじやまいたけは石づきを取り、エリンギは縦4分の1に切って干す。 イラスト/やのひろこ

【果物】
 薄めにカットして、水けをよくふきとるのがコツ。無農薬なら皮ごと干しても。熟す前の少しかたいくらいが美味しく仕上がります。

薄めにカットして、水けをよくふきとるのがコツ。 イラスト/やのひろこ

【根菜類】
 にんじん、れんこん、かぼちゃなどの根菜類を干すと、香りも甘みもアップ。そのまま素揚げにしただけでも驚くほどウマウマに!

 にんじん、れんこん、かぼちゃなどの根菜類を干すと、香りも甘みもアップ。 イラスト/やのひろこ

◆製氷皿、金属トレーを使って冷凍保存長持ち&使いやすさアップ

【大根】すりおろして保存袋へ
 大根おろしは、まとめてすりおろして冷凍しておきましょう。軽く水けをきった大根おろしを冷凍用ポリ袋に平らに入れ、凍る途中に菜箸などで筋をつけるだけ。

【大根】すりおろして保存袋へ イラスト/やのひろこ

【万能ねぎ・パセリ】パラパラに凍らせるのがコツ
 ザクザク切って冷凍用ポリ袋に入れて冷凍。凍ったら袋の上から手でもむだけで、パラパラと細かくなってみじん切りの手間なし。

【しょうが・にんにく】1片ずつ分けて凍らせる
 皮をむき、1片ずつ分けて金属製のバットに並べてラップをせずに冷凍。凍ったら、冷凍用ポリ袋に移して保存しましょう。凍ったまま刻んだりすって使えます。

【しょうが・にんにく】1片ずつ分けて凍らせる イラスト/やのひろこ

【レモン・ゆず】汁と皮に分けて保存
 新鮮なうちに汁をしぼり、少量ずつ製氷皿で凍らせておくと使いやすくなります。皮は包丁で切り取りラップして冷凍しておくと便利。

◆葉っぱや夏野菜も干すと美味しくなる

【大根・かぶの葉】
 大根やかぶに葉がついていたら、よく洗ってから幅2cmくらいに刻み、天日干しに。じっくりカラカラになるまで干すと、味わいが濃くなり、長持ち。

【ゴーヤ・なす】
 薄切りにして干します。ズッキーニとゴーヤは2~3日ほど、なすは3~4日ほどでカラカラに乾きます。調理のとき余計な水けが出ず、炒め物がラクちん!

【トマト】
 トマトは輪切りに、ミニトマトなら半分に切って干しましょう。数日、天日に干すと濃厚なドライトマトになります。1日ほど干すとセミドライトマトに!

味を落とさず新鮮さを保つ
肉・卵・豆腐の保存テク

【牛・豚の薄切り肉】下ゆでしてから冷凍、ベーコンのように使えて便利
 薄切り肉は生より、下ゆでしてから冷凍すると長持ちします。熱湯でサッとゆで、水けをきったらバットなどに広げて塩・こしょうで軽く味をつけます。冷めたら冷凍用ポリ袋に入れて冷凍。約1か月保存可能。自然解凍してベーコンのように使えます。

【牛・豚の薄切り肉】下ゆでしてから冷凍、ベーコンのように使えて便利 イラスト/やのひろこ

【ひき肉】フライパンで塩炒めにすれば1か月食べられる
 生のひき肉を冷凍したら、2週間以内で使い切りたいもの。特売で大量に買ったときは塩炒めしてから冷凍しましょう。これなら1か月ほど冷凍できます。シンプルな味つけなので、炒め物、煮物など、いろんな料理にも使えて便利。

【ひき肉】フライパンで塩炒めにすれば1か月食べられる イラスト/やのひろこ

【鶏むね肉・ささみ】蒸し鶏にして汁と一緒に冷凍すればずっとジューシー
 鶏のむね肉やささみは生のまま冷凍するとパサつきやすいので、蒸し鶏にしてから冷凍保存。耐熱容器に鶏肉を入れて下味をつけ、ラップをかけて電子レンジでチン。粗熱をとって、蒸し汁と一緒に冷凍用ポリ袋に移して冷凍すれば解凍してもジューシー!

【鶏むね肉・ささみ】蒸し鶏にして汁と一緒に冷凍すればずっとジューシー イラスト/やのひろこ

【ウインナー】楊枝でプスッと穴をあけてばくはつ防止に
 冷凍する前にウインナーの皮に楊枝で4~5か所穴をあけておくと解凍後の調理が簡単に。包丁で数本切り込みを入れるだけでもOK。小分けして冷凍用ポリ袋に入れ冷凍しておくと、解凍時間が短縮され、調理時に皮がはじけにくくなります。

【ウインナー】楊枝でプスッと穴をあけてばくはつ防止に イラスト/やのひろこ

【ハム・ベーコン】ハムは砂糖をひとふりベーコンは1枚ずつラップして
 ベーコンは長めに切ったラップに間隔をあけて1枚ずつ並べ、ベーコン同士がくっつかないように包みます。ハムは乾燥防止のため、4~5枚重ねたハムの表面に砂糖をふってからラップで包んで。ベーコンもハムも冷凍用ポリ袋に入れて冷凍します。

【ハム・ベーコン】ハムは砂糖をひとふりベーコンは1枚ずつラップして イラスト/やのひろこ

【卵白】アルミカップに入れて口を閉じてフリーザーへ
 生卵の黄身は冷凍できませんが、白身はアルミカップに入れて、ラップに包んで冷凍できます。使うときは室温に置けばすぐに半解凍状態になるので、泡立て器で泡立ててメレンゲにして、卵焼きや天ぷらのころも液を作るときなどに使えます。

【卵白】アルミカップに入れて口を閉じてフリーザーへ イラスト/やのひろこ

【豆腐】密閉容器に移して水を替えて保存
 1丁まるごと使い切れずに残ったときは、密閉容器に移しましょう。そして、豆腐がかぶるほどの水を注いで冷蔵庫へ。毎日、水を替えれば、数日間、美味しさを保てます。ミネラルウォーターを使えば、さらに美味しさがアップします。

 豆腐は冷凍すると、豆腐の中の水分が凍って解凍したときにスが入った状態に。味がしみ込みやすくなるので煮物にするのがおすすめ。

【豆腐】密閉容器に移して水を替えて保存 イラスト/やのひろこ

・冷凍して高野豆腐のような食感に
 豆腐を冷凍するときは、開封前ならパックごと。使いかけならひと口大に切って金属トレーで急速冷凍してから冷凍ポリ袋に移しかえて冷凍。

・みそ漬けにしてチーズ風に
 豆腐はしっかり水きりしキッチンペーパーで包む。煮切った酒・みりんを加えたみそを塗り保存容器に入れてひと晩~1日ほど冷蔵庫に置く。

(取材・文/白鳥紀久子)

参考文献/『日本人が忘れたおばあちゃん100人の生活の知恵』、『母が教えてくれなかった食費節約ワザ300』(ともに主婦と生活社)