飲み会に集う研修医たち。楽しそうにコンビニで買い出しを行っていた

「病院内では職員同士のコロナ感染も報告されています。それなのに、若い医師や研修医たちは頻繁に飲み会を……」

 関係者はため息をつく。

コロナ患者を治療する病院で
若い医師たちが頻繁に飲み会を

 1月から発令されていた新型コロナウイルスの感染拡大による、東京都の緊急事態宣言は3月21日に解除されたが、収束は程遠く、感染者は増え続けている。

 2月からは国内の医療従事者を対象としたワクチン接種が開始。一般向けにも4月から接種が始まるが、変異株の到来もあり、効果を疑問視する声も上がっている。

 そんな中、3月中旬、東京・江戸川区にある私立病院、東京臨海病院の関係者から週刊女性に冒頭の告発が届いた。

 内部の事情を詳しく聞くと、

「東京臨海病院はコロナ感染患者を治療する病院です。ところが働く若い医師や研修医、看護師たちは病院が禁止しているにもかかわらず、緊急事態宣言下でも、頻繁に飲み会や宅飲みを行っていました。

 2回接種が必要とされるワクチンは1度しか打っておらず、対策は不十分です」

 衝撃の内容だが、さらに驚くべき事実が……。

「そのせいか、職員同士の感染や入院患者への感染も報告されているんです」

 東京臨海病院は現在、経営悪化に苦しんでおり、新たに病床を増やせないことなどを度々、訴えている。

 病院HPを閲覧すると、3月15日付で「新たに職員がコロナに感染した」という文書が発表されていた。

東京臨海病院のHPには職員の感染状況が記載

 同様の報告が昨年から何度も発表されているなかで、繰り返し飲み会に参加していたとすれば、由々しき事態だ。

 前出の関係者によると、

「3月の発表の後にも医療スタッフに重症者を含む感染者が出たようです。

 そんな状況下で、ひどい人は平日、毎日のように飲み会に興じています。10人以上のときは隠れて宅飲みを……。

 特に研修医同士は仲がよく、昨年の緊急事態宣言下も含め、この1年間、頻繁に合コンを開催したり、テーマパークに遊びに行ったりしていました」

 まさか、病院内での感染拡大は、彼らが原因をつくっているのではないか……。

 昨年4月には慶応大学病院でも、大人数で会食を行ったことで研修医18人が集団感染しており、二の舞いとなることが懸念される。

約20人が参加、狂ったような奇声

 週刊女性は実態を調べるため、3月23日、研修医らが飲み会を行うという墨田区・押上の民泊施設に向かった。

 この日は3月で研修医生活を終えて、4月から正式に医師となる研修医らの送別会が病院で催された。

 直後の2次会会場と思われる民泊施設はスカイツリーから徒歩5分。カラフルな内装で広さは合わせて140平方メートル、ベッドルームは3つと大型だが、どれだけの人数が集まるのか……。

飲み会会場となった民泊施設。裏には東京スカイツリーが見える

 夜9時ごろ、タクシーに乗ってマスクをつけた5人の女性陣が到着。すでに千鳥足だ。

 その後続々と男女のグループが中に入っていく。白衣姿ではなく、みな、20代半ばの若者らしい洗練されたオシャレな私服に身を包んでいる。

 手には大量の酒類などが入ったレジ袋を携え、中には病院での1次会で受け取ったと思われる花束や色紙を大事そうに眺める姿も。

 参加者を数えると、約20人の研修医らの姿が確認できた。

 深夜の酒宴は大盛況だった。

 徐々ににぎやかさは度を越え、夜中の0時を過ぎるころには、

「ウェイ! ウェイ! オオオー!! ウリャー!」

 と狂ったような奇声や謎の拍手が響き渡り、閑静な住宅街が異様な空気に包まれた。

「ちょっと騒がしすぎるよ!」

 あまりの騒音に驚いた住民たちは次々に窓を開け若者らの部屋を確認すると、うんざりした表情で怒声を上げる。

 部屋の窓は閉じられカーテンも閉められているが、ドンドンと飛び跳ねるような音と振動は遠くまでも伝わる。

 すると通報を受けた警察官が到着。一件落着かと思われたが、そうはいかなかった。

参加者に直撃すると
「何のことですか?」

 警察官がインターホンを押し、ドアをノックしても、うるさすぎて研修医たちは気づく気配がない。

深夜12時過ぎ、あまりの騒音に現場に到着した警察官も驚きを隠せない様子だった

 到着して10分以上たってやっと状況を理解したのか、突然音が収まり、5分ほどしてドアが開いた。

 近所一帯が緊張した雰囲気に包まれ、15分経過。部屋から出てきた警察官は、

「もう静かになると思います。お酒を飲んで騒いでいました」

 とあきれた表情。

 窓を開けていた住民たちは不満そうな声を上げたが、ほどなくして騒動は終わった。

 それでも朝まで電気は消えず、徹夜の飲み会だった。

 医療従事者としてこのような飲み会は適切といえるのか。帰宅中の参加者に直撃したが、

「何のことですか? 臨海病院? 水族館の名前ですか?」

 などとごまかした。

週刊女性記者の直撃取材を受ける研修医

 ならばと、飲み会の騒動について病院に問い合わせたが、

「勤務時間外のことですので、病院としてお答えすることは控えさせていただきます」

 感染リスクを考えれば、勤務時間外だろうと職員を厳しく管理するべきだが……。

「当院では職員に対して、会食の自粛を含め感染予防を実施するよう徹底しています。当院HPに記載している感染情報は、飲食の場が原因ではないと判明しています」

 しかし、具体的な根拠は個人情報として明かさなかった。

新型コロナ患者対応に四苦八苦している東京臨海病院

 このようなことが許されるのか? 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、

「医療者は1年以上、感染のリスクのある中でストレスに晒されています。友達に会えず、旅行も行けず、家族と別居して暮らす人もいる。飲み会も、PCR検査を徹底して、陰性の人だけで行えばリスクは少ないでしょう」

 と同情的だ。

 ストレスもあるだろうが、医師の自覚が問われる。