※写真はイメージです

 佐々木希を妻に持つアンジャッシュ・渡部建、アナウンサー小川彩佳の夫である株式会社メドレー取締役の豊田剛一郎氏──。誰もが羨む美貌と華やかな経歴を備えた「ハイスペ妻」を持つ男たちの不倫が取りざたされるたび、世間では「なぜ、あれほどの美人の妻がいるのに……」という声が聞かれます。

不倫夫の3割は「妻のほうが見た目がいい」

 もちろん単に外見がいいだけで、夫という他者の心をつなぎとめられるわけではありません。なにより浮気や不倫は、するほうが100%悪いもの。
 
 しかしこれまで長い間、世間では夫が不倫に走る原因として、「忙しさにかまけて、妻が身なりに構わなくなったから」「加齢によって見た目が衰えたから」など、「夫の不倫=妻の外見の衰えや、美容や手入れを怠った天罰」という考えが漠然と、しかし根強く植えつけられていました。

 はたして不倫と容姿の美醜は、どこまで関係あるのでしょうか。

 ここで取り上げるのは、浮気調査を得意とする総合探偵社・株式会社MRによる現在不倫中の既婚男性271人を対象にしたアンケートです。

「配偶者と不倫相手の見た目について、どちらのほうがいいと思うか」という問に対して、「不倫相手のほうがいい」と答えているのは約5割。そして約3割は「配偶者のほうが見た目がいい」と回答しているのです。

 ここでわかるのは、「不倫相手には、容姿の端麗さを求めていない人も一定数いる」ということです。

 さらに、不倫した夫が「妻に感じる不満」として挙げているのが、「(妻が)自分に対して性的な魅力を感じていない(53.8%)」「性交渉に誘っても断られる(43.8%)」というセックスレス問題。さらに「家族・親戚・知人などに悪口を言われる(32.6%)」「自分がつらいときに支えてくれない(32.5%)」といった、妻からの承認不足やコミュニケーション不全についての回答も散見されます。

 この調査を行った株式会社MR社長の岡田真弓さんは、次のように語ります。

「アンケート結果からは、たとえどんなに妻の外見がよくても、日常の肉体的・精神的なコミュニケーションが不足すると、それを満たすために夫が不倫に走ることが示唆されています。不倫相手に、容姿よりも癒やしやカラダの相性を求めるようになると不倫は泥沼化しやすい、ともいえますね」

夫の帰宅が遅くなり、下着も激変

 ここで実際にあった不倫カップルのエピソードをご紹介します。

 依頼者は、化粧品メーカーで広報として働く後藤夏菜子さん(仮名・41歳)。結婚10年目となる3歳年上の夫の不倫を疑い、岡田さんの探偵社を訪ねてきたといいます。

 夏菜子さんは、学生時代には地元のミスコンに他薦されたこともある華やかな雰囲気の持ち主です。アラフォーになった現在も、広報として表舞台に立つことも多く、日々の美容やダイエットにも余念がありません。

 そして大手飲料メーカーで管理職として勤務する夫と5年前に中古マンションを購入。二人の間に子どもはいません。

「ふたりで頑張って働いて、家のローンを返して、穏やかに年取っていくのかな……そう思っていました」

 しかし2年前、夫の行動に変化が現れました。

「帰宅が遅くなり、やたら土日の出張が増えました。これまで下着や靴下はユニクロでしか買ったことのないのに、ハイブランドのボクサーパンツに変わっているんです。お風呂にも携帯電話を持ちこむようになったし。“これは怪しい”とピンときましたね」

 2か月に及ぶ調査の末、結果はクロ。

「これは想定内でした。ただ、愛人が……“想定外”だったんです」

華やかな妻がいても“尽くす”地味女と不倫

 慎重に言葉を選ぶ夏菜子さん。愛人は、夫の学生時代の友人でした。そして詳しい報告を受けるためにMR探偵社を訪れたのですが、証拠映像に写った愛人の姿に、思わず絶句したといいます。

「愛人って、妻よりも若くてキレイで、オジサンウケのする女子って思っていたんです。それなのに夫の愛人は、髪はボサボサ、ほぼすっぴんだし、洋服もお世辞にもオシャレとは言えない。言い方は悪いですが、“どこにでもいるおばさん”と思いましたね。正直、『女として勝った』と思いました」
 
 夏菜子さんは、打ち明けます。

「でもすぐに『なんで、夫はこんなオバサンがいいの!?』と思ったら悔しくて悔しくて……。私は年中ダイエットだってしているし、メイクもオシャレも手抜きしていないのに」

 夏菜子さんの言葉は、続きます。

「思い当たるとしたらセックスレス。実は、わが家は長年ご無沙汰で……。少し前に不妊治療をしていたのですが、なかなか子どもができず、それ以来、ギクシャクしてしまって」

 前出の岡田さんは、次のように語ります。

「愛人サイドも、自分のアピールポイントを外見ではなく、“尽くすこと”と心得ているケースもよくあります。妻よりも至れり尽くせりで接して、男性に固執する愛人女性も少なくありません」

 さらに努力家でハイスペの妻を持ちながら、真逆のタイプの女性に深入りする不倫夫には、

「『妻よりも自分が上に立ちたい』と潜在的な思いを抱えている人もいます。そういう人の中には、就職、結婚、自宅の購入、昇進……そして不倫まで、まるで人生のスタンプラリーのように捉える向きも。あからさまに言葉にこそ出さないものの、男社会ではこのような価値観は、いまだ根強く存在していると思います」(岡田さん)

疑っても夫のLINEを見るのはNG!

 夏菜子さんのように夫の不倫が疑われた際には、確たる証拠を得るために探偵社に相談をするのも手。しかしその際、依頼者が「絶対にやってはいけないこと」があるのだとか。

総合探偵社・株式会社MR代表取締役の岡田真弓さん

探偵に依頼をしたら、ヘタに夫を問い詰めないこと。警戒心を持たれると不倫調査に影響が出ます。またご自身で夫の携帯を漁って、LINEを見ようとする方もいますが、避けたほうがいいですね。

 離婚協議で、慰謝料請求をするときに確たる“証拠”として認められるのは、性行為の場面を写した動画や写真、ホテルに出入りする写真などの探偵による報告書です。LINEはあくまでも状況証拠です。夫の怪しいLINEを見て精神的なダメージを負うよりも、調査期間中はすべてプロにお任せをして、自分はリフレッシュするぐらいの心持ちのほうがよいですね」(岡田さん)

 たとえ、不倫調査の結果が「クロ」だった場合も、夫婦関係はそこで終わりではありません。実際に岡田さんが見てきた中でも、浮気や不倫という修羅場を乗り越えて、関係を修復してきた夫婦も多いのだとか。

つらい事実にどう向き合い、夫婦関係をどう改善していくか。そこが重要だと考えているので、弊社では調査中から調査後1か月は無料で専門カウンセラーによるカウンセリングを行います」(岡田さん)

 なにより大事なのは、浮気を知ったショックや怒りでカッとなって判断をしないこと。

「愛人に慰謝料の請求するのも、その事実を知ってから3年という猶予があります。離婚をするにしても、夫婦生活を続けるにせよ、慌てずに第三者に相談をして、一度冷静になったほうが心の傷を癒やしつつ、有利な条件で進められます」(岡田さん)

 前出の夏菜子さんも「すぐには離婚は考えていません。まずはカウンセリングで傷を癒やして、愛人にはガッツリ慰謝料を請求したいですね」とニッコリ。

 加齢や外見の変化は、誰しも気になるもの。しかし若さと美を保てば、必ずしも夫の愛情を手元に引きつけておけるわけではない。また中高年の浮気や不倫では、ルックス以外に愛人に求める要素が大きい──男女の欲が渦巻く不倫の現場には、美醜を越えた複雑さが横たわっているのです。

※プライバシーを守るため、実際の事例を一部変更、再構成しています。

《取材・文/アケミン》