節約のためと、不織布マスクを使い回していると…

 時代が変われば節約法も変わります。激安品を求めてスーパーをはしごしたり、トイレのタンクにペットボトルを入れたり。食費も、光熱費も間違ったアクションをしてしまうと損するだけでなく、健康に悪影響が! 余計な出費を招くことにもなりかねません。しっかり情報を最新バージョンにアップデートして!

 少しでも出費を減らしてお金を貯めたい─その一心で、日々、節約に励んでいる人は少なくない。最もスピーディーに効果を実感できるポイントとは?

「家計の支出には、2種類あります。住居費や通信費など毎月必ずかかる“固定費”と、食費や交際費のようにお財布から出ていく“変動費”です。節約と聞くと食費など目先の出費に意識が向きがちですが、まずは固定費の見直しから始めるのが効果的です」と節約アドバイザーの和田由貴さん。

 実際、住生活ジャーナリストの藤原千秋さんは、固定費の見直しが大きな節約に。

「うちは5人家族で全員がスマホを使ってます。以前、大手キャリアのスマホだったときには毎月のスマホ代に3万円もかかっていたのですが、格安スマホに変えたら5人分で月1万円を切りました。食費などの変動費で月2万円を節約するのは大変ですが、固定費は1度見直せば大きな節約効果が続くことを実感しています」

 日々の節約も長い目で見れば大きな効果をもたらす。でも、よかれと思って取り組んでいる節約が、実は健康を害するおそれがあるものも。

「特にコロナ禍の今はなおさらですが、感染予防の意味でも、衛生面を犠牲にする節約はやるべきではありません。例えばマスクは節約すべきではないですね」(藤原さん)

 さらに、コロナ禍による自粛生活が続いた昨今、旅行やレジャーに代わる楽しみのひとつが食となった。旅行に比べてお金はかからないが、そこにも落とし穴が。1度、生活に根づいた習慣から抜け出すことは難しく、コロナ後も同じ感覚だとムダ遣いになってしまうからだ。

「おいしいものをお取り寄せする、いい食材を買ってプチ贅沢をするなど、食を楽しむこと自体に問題はありません。お取り寄せや高級食材は、特別なもの。そうとらえておくほうが、コロナ後のスムーズな節約生活につながります」(和田さん)

 また、節約に関する知識自体、時代の変化により今では意味がなくなったものも。

「家電も住宅設備も、日々進化しています。その中で、昔のままの節約情報で止まっていると、逆に損をすることもあります」(藤原さん)

 意味のある節約行動につなげるために、次ページをチェッックしよう!

見直し固定費ベスト3
固定費は1度見直しをすると節約効果が持続するのが一番のメリット。
1.住居費(家賃・ローン)
 ローンの組み換えや、家賃の交渉もしてみる価値あり!
2.通信費
 格安スマホ激戦時代。料金の検討を。
3.保険料
 年齢や今の家族構成に合ったものを選択すべし。

食費編

安い商品を求めて地域のスーパーを回る、お得な見切り品はとりあえず買っておく、お惣菜は絶対買わない。その節約方法、実は逆にコストがかさんでいます!

底値を求めてスーパーをはしご……
→移動費も考えるとソン!

スーパーのはしごは当たり前?

「自転車や徒歩ならまだしも、車を使ってスーパーのはしごをすることはガソリン代など交通費もかかっていることをお忘れなく。また、買い物の回数に比例してムダなものを買う頻度が増えるので、買い物の回数は少ないほうが節約につながります」(和田さん)

お惣菜は絶対買わない
→人数によっては作ったほうがソン!

例えば単身や2人暮らしの場合は、時間とお金の節約になる。「揚げ物など手間と材料費がかかるお惣菜なら買ったほうがラクでトクな場合も。食事をすべてお惣菜でまかなうと高くつきますが、適度に取り入れると逆に節約につながるんです」(和田さん)

惣菜の作りおきをする
→献立を考えるのが不得意ならソン!

まとめ買いしての作りおきは性格によってはムダに。「献立を考えるのが苦手で、しっかり材料を使いきれなかったり、同じものを食べることに飽きやすい人は、作りおきを意識すると食材をムダにしてしまいがち。無理してやらないほうがベターです」(和田さん)

食材が余ったら冷凍する
→鮮度が落ちているならソン!

余ったものを冷凍しても使うことを忘れがち。「半端野菜などは冷凍せず、すぐに使ってしまいましょう。肉などは鮮度に不安がある残りものを冷凍しても、“これ使って大丈夫かな”と、結局は使わずに捨ててしまう可能性が高い」(和田さん)

スーパーの目玉商品を買う
→つられて買いすぎたらソン!

「チラシなどで目をひく激安の目玉商品は、実は客寄せ的なアイテム。目玉商品にひかれてスーパーに出向くとほかの商品もついつい買ってしまうというワナが」(藤原さん)。お会計をした後に、「この商品、買いすぎちゃった!」と気づいても後の祭り。

見切り品を買いあさる
→買いすぎると消費しきれずソン!

賞味期限や消費期限が近い見切り品は、買ってすぐに食べるのなら購入はアリ。「安いからといってすぐには食べないものまで買うのはNG。特に見切り品を冷凍保存するのは鮮度面でも衛生面でも不安があり、あまりおすすめできません」(藤原さん)

生活編

待機電力を減らすために電源コードを抜く、キッチンのスポンジを掃除道具に使う、トイレタンクにペットボトルを入れて節水……。その節約方法、すでに時代遅れです!

トイレのタンクにペットボトルで節水する
→壊れたら大ゾン!

トイレのタンクにペットボトル入れてる?

「最近のトイレは節水が考慮されているものが多く、流す水量を減らしてしまうとトイレや配管が詰まってしまうことも。結果的に修理代金がかかるため節約どころではなくなってしまいます」(和田さん)。「集合住宅のトイレ詰まりでほかの部屋に被害を与えてしまうと多額の補償金や賠償金を請求されてしまう可能性も。たった数十円の節約が、大変な出費につながる危険をはらんでいます」(藤原さん)

不織布マスクを使い回す
→不衛生でマスクの意味がなくなる!

不織布マスクが不足している時期ならいざ知らず、手ごろな価格で入手できる今、使い回しは不衛生なだけ。「最近は抗菌作用など高機能な布マスクが販売されており、洗って使い回しをしたい人はそうしたものを使用するのも一案です。まずは健康を守ることを第一に!」(藤原さん)

洗剤やシャンプーを水で薄める
→雑菌が繁殖して不衛生!

希釈して使うタイプのもの以外は、水で薄めると雑菌が繁殖して腐敗する可能性があります」(藤原さん)。「ボトルタイプはポンプの根元に輪ゴムを巻いて下まで押せないようにして押し出される量を少なくするなど、使用量を減らすことに意識を向けたほうが節約効果が高いです」(和田さん)

夫の小遣いをカットする
→協力が得られず節約効果が出ない!

小遣いの目安は収入の1割で、例えば月の予算が30万円なら3万円。この割合を超えている場合はカットするのもアリですが、まずは自身の見直しを。妻の小遣いが生活費と一緒になって、明確になっていないことも」(和田さん)。「小遣いが適正な金額の場合はカットするよりも使い道を記録してもらうことがおすすめ。夫の金銭感覚が養われるため、長い目で見れば節約につながります」(藤原さん)

スポンジの使い回し
→菌をまき散らして不衛生!

キッチンのスポンジには台所に生息している菌がついているため、トイレやお風呂場で使用すると本来、その場所にいない菌を移植することになり、悪臭などの原因になりとても不衛生です!」(藤原さん)。また、スポンジやブラシは菌の温床でもあるため、食器洗いスポンジは毎月、トイレブラシは最低でも年に1度、お風呂場のスポンジは2か月に1度は交換しよう。

家計簿は妻が把握
→妻のみの管理ではムダ支出が見えづらい!

せっかく家計簿をつけていても、妻がひとりで抱え込むと家族はお金の流れを知ることができず、節約もうまくいかない。「例えば、グーグルカレンダーに、住居費や光熱費、通信費、サブスク、学費など毎月の支出が決まっているものの金額を引き落とし日に記入。一家で出費を把握して、家族それぞれが支出を意識するようにならないと、節約はうまくいきません」(藤原さん)

電源コードはマメに抜く
→今どき家電は待機電力がほぼかからない!

最近の家電は待機電力がほとんどかからないものが多く、電源コードを抜き差ししても節電効果は微々たるもの。また、番組表をダウンロードするタイプのテレビは、電源コードを抜くと番組表が消えてしまい、新たな取得の際に電力がかかることも。エアコンは頻繁に電源コードを抜き差しすると故障の原因になるおそれも」(和田さん)

番外編

見直せば節約につながる!意外な3つの「ムダ遣い盲点」

調味料

加えるだけで味つけができる合わせ調味料は便利なアイテムではあるものの、日常的に使ってしまうと高くついてしまう。家にある基本の調味料で味つけをするほうが節約になる。

丸ごと冷凍

例えば、肉を丸ごと冷凍した場合、解凍した際にすべて使い切らないとムダになってしまう。小分けにしてラップに包んで冷凍しておけば必要な分だけを使うことができる。

災害用品

常温で保存できる缶詰やレトルト食品、乾麺などは日持ちがするため、気づくと賞味期限が切れていることもある。定期的に見直しをして、賞味期限が近いものは消費したい。


節約アドバイザー・和田由貴さん
日本女子大学家政学部卒業。消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。『月3万円貯まるムダなし生活術』、『適当!カンタン!楽しい! 和田由貴のシンプル節約術』など著書多数。

住生活ジャーナリスト・藤原千秋さん
大手住宅メーカー営業職を経て主に住まい、暮らしまわりの記事を専門に執筆、監修、企画、アドバイザリーなどの業務に携わる。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』、『人生が整う 家事の習慣』など著監修書、マスコミ出演多数。