中井貴一(左)と向井理(右) 撮影/佐藤靖彦

 山崎豊子の不朽の名作が、WOWOW開局30周年記念作品としてドラマ化。大阪万博を控えた高度経済成長期に、富と権力獲得の手段として関西政財界で閨閥を張り巡らす阪神銀行の頭取・万俵大介を中心に、一族の繁栄と崩壊が描かれていく。その主人公・大介を演じるのは中井貴一、万俵家の長男で、阪神特殊製鋼・専務の鉄平を向井理が熱演。本格共演は初めてという2人が、親子を演じた感想から近況までを、たっぷりと語った。

中井家&向井家の共通点は餅つき!?

――自らの夢と野望の実現の中で次第に確執が深まっていったりと、難しい親子関係でしたが?

中井 そうですね。現場では和気あいあいという感じではまったくなかったんです。向井くんは鉄平という役をとっても真摯に受け止めている。大介との距離感とか非常に考えていて、なるべく話しかけないほうが作品にもプラスになるというのを感じました。

向井 貴一さんにはお聞きしたいことがたくさんあったので、お話しするタイミングがなかったのは残念ですが、まずは現場が優先。もちろん、ずっといがみ合っているドラマではないので、食事のシーンとかでピリッとした空気を貴一さんが柔らかくしてくださったり、雰囲気を自在に変えてくださって、すごくやりやすい現場でした。

――ドラマの中で、万俵家では正月にホテルでみんなで集まったりなどといろんな仕来りが。中井家と向井家には、そういう定番はありますか?

中井貴一 撮影/佐藤靖彦

中井 正月は昔から自宅で過ごしていますね。

向井 そうなんですね。

中井 結婚してからは、友人・知人を呼んで、餅つきをしていました。お米屋さんから臼と杵を借りて、みんなが連れてきた子どもたちに食べさせて。それを7〜8年くらい続けていたんですが、大みそかからの準備が大変。さすがに疲れてやめました(笑)。

向井 餅つきでしたら、仲よくさせていただいている相撲部屋に毎年年末に行って、餅を一緒について子どもに食べさせていました。ここ数年は行けてないんですが。あと向井家では、両親が関西なので鯛のお頭を焼いて、男性がほぐしてみんなで食べるというのをいまでもやっています。なぜ男性なのか理由は知らないのですが、子どものころから僕がほぐしてましたね。

先輩から後輩に渡しておきたいバトンとは?

――開局30周年記念作品でもある本作ですが、中井さんも今年で60歳の節目の年です。

中井 この仕事を始めて何周年とか、年齢が50を越えるとか、節目の年ってあまり興味がなかったんです。でも、還暦って言われ、“ん?”と思う瞬間がちょっとあって。今までは“5年後にはこういう仕事をしたい”というのはあったんです。でも、仕事だけではなく、“自分の人生をどう締めくくっていけばいいか”とか、そういうことも考えなければいけないのかなと60歳を迎えるにあたり、思うようになりました。

――ちなみに、向井さんは来年で40歳に。

中井 まだ40なの!

向井 僕としては“もう”という感じですが(笑)。芝居について、先輩たちから貪欲に吸収しようと思う反面、そろそろ後輩に伝えなければいけないのかなって思うようになってきました。例えば昔、戦争ものをやったとき、役作りのため自衛隊に泊まり込みで所作などを教えてもらったことがあって。そういう経験ってなかなかできないじゃないですか。芝居って生き方みたいなものが反映されると思うし、経験のない後輩にも伝えていきたいと思いますね。

向井理 撮影/佐藤靖彦

中井 それでいうと、30代前半に『戦艦大和』という作品をやったときに、現場に御年が70くらいの方が4人ほどいたんですが、話を聞いたら撃沈されたときの乗組員だったんです。

向井 すごいですね!

中井 もう“えっ!”ってびっくりして。その方からどんな状況だったのか、などお話を伺ったんですが、そういう経験を向井くんたち後輩に、バトンを渡すように伝えておかないとダメだなと。60歳になるからじゃないけど、そういう焦りも少しあります。

――では、次回共演するならどんな役でご一緒したいですか?

中井 仲のいい役(笑)。

向井 親子じゃないほうがいいかもしれません、関係性が面倒になりそうですし(笑)。

中井 あとは今回、(コロナ禍で)打ち上げもないし、5か月一緒にいてスタッフみんなで食事にも行けなかった。

向井 普通にご飯に行ける時代に戻ってほしいですよね。今度は、いろんなお話ができるといいなと思います。

ここだけの〝華麗なる〟エピソード

向井 ダジャレみたいになっちゃいますが、現場でカレーをたくさん食べました(笑)。

中井 向井くん細いのによく食べるんですよ。何杯食べたっけ?

向井 3杯です。

中井 しかも、1皿が結構な量で。ただ、僕が“よく食べるね〜”とあまりにも言うので、それからは気にしながら食べていたみたいですが。

向井 (笑)。

――中井さんは?

向井 そういえば昔は、打ち上げをハワイでやったりしてたって聞いたことあります。

中井 僕はハワイではやったことないけど、打ち上げの景品もたくさんあったし、ハワイ旅行が当たったりするのもありました。特にバブルのころは、規模が全然違いましたね(笑)。

『連続ドラマW華麗なる一族』

『連続ドラマW 華麗なる一族』
WOWOWプライムほか
毎週日曜 夜10時〜放送・配信中
原作:山崎豊子『華麗なる一族』(新潮文庫刊)

ヘアメイク/藤井俊二(中井)、石井薫子(向井) スタイリスト/宮本まさ江 衣装協力/D'URBAN(向井)