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「酢みそ汁を20年以上、毎日飲んでいます。75歳のとき、肌年齢は66歳。さらに、糖尿病と肥満が改善しました」

 と語るのは、現在82歳、東京医科歯科大学名誉教授で医師の藤田紘一郎先生だ。酢みそ汁とは、酢とみそ汁を合わせた発酵食品のW使い。身体によさそう!

「身体の酸化はサビ、糖化はコゲとたとえられ、老化を促進し病気の原因となります。この活性酸素が影響する病気は、なんと200種類以上。みそには、抗酸化作用がある成分が豊富に含まれ、さらに糖質が少ない酢みそ汁は、糖化も抑えます」(藤田先生、以下同)

発酵食品W使いで健康に!

 また、ダイエットのサポートにも。酢みそ汁を実践した人の中には「1日2回の快便になり、体重がダウンして肌も快調に」(50代女性)、「作り置きをして続けたら便通が改善した」(30代女性)などの声も上がった。

「酢の成分である酢酸は短鎖脂肪酸のひとつで、腸内細菌のバランスを整えてくれます。代謝を活発にして太りにくくする腸内細菌、いわゆるヤセ菌を増やしてくれます」

 高血圧を気にして、みそ汁そのものを控える人もいるが、心配ご無用!

「日本人を対象にした調査で、みそ汁を飲む人のほうが、高血圧のリスクが下がるという結果が出ています。さらに酢の成分、酢酸にも血圧を下げる作用があることがわかっています」

 さらなる酢みそ汁のメリットは、腸内環境を整える食材と相性がよいこと!

「短鎖脂肪酸は腸内でも作られています。しかし、短鎖脂肪酸を作る善玉菌が少なければ作られる量も少なくなる。酢みそ汁の具材として、腸の善玉菌のエサになる食物繊維が豊富な野菜やキノコ類をプラスすれば、よりパワーがアップしますよ」

 酢みそ汁のポイントは、醸造酢と熟成みそを使うこと。

「酢は合成酢ではなく、醸造酢を。みそはいつも使っているものでOKですが、より熟成されたもののほうがメラノイジンという抗酸化成分を多く含み、効果的です」

 メリットいっぱい酢みそ汁生活、スタートしましょう!

基本の酢みそ汁の作り方

 抗酸化成分が豊富なみそ、腸内環境を整える酢を合わせるだけで、健康効果がパワーアップ。毎日飲んで、老けない、病気知らずの身体を手に入れよう

具材を煮るタイミングで酢を入れるだけ

 みそ汁2人分なら小さじ2杯の酢が目安。具材を煮るタイミングで酢を入れるのがコツ。あらかじめ酢キャベツや酢タマネギを作り置きしておけば、ポンと入れるだけでOK!

 毎日続ければ……短鎖脂肪酸と抗酸化力をUP! 糖化を抑える効果が!

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■食物繊維豊富な具材

 酢みそ汁は、食物繊維豊富な食材と相性バツグン。野菜、キノコ、海藻とは味のバランスがよく、毎日飽きずに食べやすい。食物繊維の中でも水溶性食物繊維が含まれる具材を選ぶと、腸内でさらに短鎖脂肪酸が増加してヤセ菌が増える。

■腸内環境を整える酢

 酢はみそと同様に、発酵して造られる日本古来の発酵食品。酢は悪玉菌の繁殖を抑えて、腸内環境の働きを整える働きがある。みそ汁と一緒にとることで、腸内環境を整える働きがパワーアップ。酢の味によって塩分を控えることにもつながる。

■栄養豊富な発酵食品みそ

 大豆は畑の肉といわれるほどタンパク質が豊富な食品で、抗酸化作用を持つイソフラボン、サポニン、善玉菌を増やすオリゴ糖など健康成分が含まれます。さらに、その大豆が発酵することで、乳酸菌をはじめ腸内環境を整える働きがプラス。

《酢みそ汁にはこんな効果も!》
■高血圧予防
……みその原料である大豆には、血圧を下げる成分メラノイジンがたっぷり
■がん予防……みそ汁は胃がん、乳がんのリスクを下げる。また、酢の成分・酢酸が大腸がんを予防
■ダイエット……みそと酢、具材が腸内細菌バランスを整え、ヤセ菌を増やす。代謝が上がりやせやすい身体になる
■アンチエイジング……みそには、肌の老化を予防する抗酸化作用がある成分が多く含まれている
■糖尿病予防……みそに含まれるメラノイジンが血糖値の上昇を抑える
■骨粗鬆症予防……みその原料、大豆に含まれるイソフラボンが骨粗鬆症予防に働く
■動脈硬化予防……みそに含まれる大豆タンパク質、食物繊維などが血中のコレステロールを低下させ動脈硬化を防ぐ
■更年期障害予防……みそに含まれる大豆イソフラボンがホルモンバランスを整えて更年期の不調を改善

最強のみそ汁になる作り置き具材

【酢タマネギ】

 酢タマネギみそ汁は……だし汁に好みの量の酢タマネギを入れて煮立て、適量のみそを溶き入れれば完成。

材料(作りやすい分量)
タマネギ 1個
塩 小さじ1/2
酢 100ml

作り方
(1)タマネギを切る……タマネギの皮をむいて縦半分に切り、芯や芽を取り除き、繊維に沿ってスライスする。
(2)タマネギを塩もみする……ジッパー付きの保存袋に(1)のタマネギを入れ、塩を加えてしんなりするまでよくもむ。
(3)酢を加える……(2)に酢を加えて軽くもむ。
(4)保存容器に入れる……煮沸消毒した保存容器に(3)を汁ごと入れ、容器を密閉。冷蔵庫に入れ、翌日まで漬け込む。冷蔵庫なら7~10日は保存できる。

腸内のヤセ菌をぐんぐん増やす酢タマネギ 撮影/ますみかん

【酢キャベツ】

 酢キャベツみそ汁は……だし汁に好みの量の酢キャベツを入れて煮立て、適量のみそを溶き入れれば完成。

材料(作りやすい分量)
キャベツ 1/4個
塩 小さじ1/2
酢 100ml

作り方
(1)キャベツを切る……キャベツは5mm幅のせん切りにする。
(2)キャベツを塩もみする……ジッパー付きの保存袋に(1)のキャベツを入れ、塩を加えてしんなりするまでよくもむ。
(3)酢を加える……(2)に酢を加えて軽くもむ。
(4)保存容器に入れる……煮沸消毒した保存容器に(3)を汁ごと入れ、容器を密閉する。冷蔵庫に入れ、1時間ほど漬け込む。冷蔵庫なら7~10日は保存できる。

ダイエットの味方 みそとの相乗効果バツグンな酢キャベツ 撮影/ますみかん 

健康具材をプラスするメリット

(1)短鎖脂肪酸を増やして腸内でヤセ菌を活性化させ、健康長寿に

(2)抗酸化、抗糖化食材で身体のサビ、コゲを防止して若々しい身体を保つ

(3)食物繊維・オリゴ糖を多く含む食材で腸内フローラを整える

(4)代謝を上げて、身体をあたためる食材で病気を遠ざける

酢みそ汁の具材の選び方

《老化防止》
■身体を酸化させない食材

 キノコ類・ワカメ・コンブ・パプリカ・トマト・もずく・ナス・カボチャ・ニンジン・さつまいも・ダイコン・キャベツ・タマネギ・カリフラワー・長ネギ・ブロッコリー・モロヘイヤ・ほうれん草・クレソン・チンゲンサイ・小松菜・レタス・かいわれ大根・ブロッコリースプラウト・しょうが・にんにく・桜エビ・高野豆腐・油揚げ

《腸内環境を整える》
■食物繊維が豊富な食材

 たけのこ・ゴボウ・ワカメ・キノコ類・西洋カボチャ・とうもろこ・さつまいも・さといも・にんにくの芽・春菊・あさつき・ブロッコリー・オクラ・モロヘイヤ・か
んぴょう・切り干し大根・ひじき・さやえんどう・エシャロット・いんげん・グリーンピース・枝豆・大豆・ひよこ豆・おから
■オリゴ糖が豊富な食材
 大豆・豆腐・豆乳・納豆・とうもろこし・キャベツ・ゴボウ・タマネギ・アスパラガス・カリフラワー・ほうれん草・ニンジン・にんにく・ニラ・エシャロット・きくいも

■代謝を上げ身体をあたためる食材
 にんにく・しょうが・長ネギ・タマネギ・肉類・魚類・豆類・根菜類

『医者が毎日飲んでいる 老けない酢みそ汁』
藤田紘一郎・著(税込み1320円・宝島社刊) 長寿具材を使ったオリジナルの酢みそ汁、酢みそおかずのレシピ、体験者の声、気をつけたい食事のポイントなど、若返りとやせる秘訣が満載の1冊。 ※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします 
教えてくれたのは……藤田紘一郎先生●東京医科歯科大学名誉教授。医学博士。1939年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。寄生虫と熱帯医学、感染免疫学が専門。著書『腸内細菌と共に生きる』(技術評論社)ほか多数

(取材・文/山崎ますみ)