柏木由紀

 7月に30歳を迎える、AKB48の柏木由紀。2年前には「30歳まで卒業しません」と宣言していたが、今年に入ってからもBiSHや豆柴の大群が所属するWACKの全7グループに、「ユキ・レイソレ」の名で加入するコラボもスタートし、アイドルとしての活動もますます充実しそうな勢いだ。

神7の卒業時の平均年齢は24.5歳

 これまで、アイドルといえば結婚のタイミングなどもあって「25歳定年」説がささやかれてきた。しかし、柏木のように30歳を迎える年でもなおアイドルとして、新しいことに挑戦する人が増えてきているという。

「近年は性別に年齢など、いろんなことにとらわれないという世の中の流れもあり、アイドルらしいキラキラ感を失わないまま、ずっと活動し続ける人もたくさんいます。その定年説は25歳から少し上がり、30歳ぐらいになってきているかもしれません。柏木さんは30代になっても現役アイドルとして活躍を続け、新しい女性アイドルのあり方を切り開いていくかもしれませんね」

 と、あるアイドルウォッチャーは言う。

 女性アイドルが卒業する時期は、実際にどのぐらいが多いのだろうか。柏木が所属するAKB48の「神7」と呼ばれたメンバー卒業時の年齢を振り返ってみるとーー。

・前田敦子……21歳
・大島優子……25歳
・篠田麻里子……27歳
・渡辺麻友……23歳
・高橋みなみ……25歳
・小嶋陽菜……29歳
・板野友美……22歳

 と、篠田や小嶋など、比較的高い年齢まで現役活動をしていたメンバーもいるが、平均して24.5歳で卒業している。

「ほかにも、指原莉乃さんは26歳、先日SKE 48を卒業した松井珠理奈さんは24歳で卒業しました。人によって卒業年齢はそれぞれですが、何歳までアイドルをできるかというよりも、アスリートの現役引退のように、自分がやりきった、限界だと感じたタイミングでの卒業だと思います」(同前)

 乃木坂46では、白石麻衣が昨年10月に28歳で卒業している。現役メンバーを見ると最年長は現在29歳の新内眞衣になる。

 複数のグループで構成される「ハロー!プロジェクト」を振り返ってみると、モー娘。初代リーダーの中澤裕子が卒業したのは27歳のこと。

「中澤さんがデビューしたのは24歳のときで、女性アイドルとしては高めの年齢でのデビューでしたね。ちなみにいちばん年下の福田明日香は当時12歳でした」(同前)

 歴代メンバーでは、安倍なつみが22歳、後藤真希と辻希美が17歳、加護亜依が16歳、道重さゆみが25歳、Berryz工房、カントリー・ガールズで活躍した“ももち”こと嗣永桃子も25歳と比較的若くして卒業している。「25歳定年説」真っ只中の時代というところだろうか。

 そんな定年説を払拭するかのように、近年の女性アイドルは息の長い活動をすることにより、こんな例も出てきている。前出のアイドルウォッチャーが続ける。

「新潟を拠点に活動している3人組グループNegiccoは33歳、31歳、29歳という年齢で、全員が既婚者です。それでもファンが離れることもなく、現在も変わらず活動を続けています。地下アイドルの世界でも、アラサーでもバリバリ活躍しているメンバーもたくさんいるので、柏木さんだけではなく30代アイドルは珍しい存在ではなくなってきています」

ジャニーズは「25周年」が鬼門

 では、男性アイドル界はどうだろうか。ある芸能ジャーナリストは言う。

「平成の初期ぐらいまでは、グループの旬やトップレベルの人気が保たれるのはせいぜい5年間といったところでした。メンバーが大人になると解散したり、個人の活動が増えてグループ活動が事実上なくなっていくものでした」

 それがいつしか30〜40代になっても現役の「トップアイドルグループ」が珍しくない時代になる。やはり、代表するのはジャニーズアイドルだ。

「SMAPの存在は大きかったですね。年齢を重ねたぶん、大人としての魅力とアイドルのキラキラ感を両立させ長く親しまれてきました。彼らの活躍がなかったら、後のTOKIOやKinKi Kids、V6などもこれほど息の長いグループになっていなかったのではないでしょうか」(同ジャーナリスト)

SMAP

 しかし、男性アイドルの“卒業年齢”を大きく引き伸ばしたSMAPも2016年末に解散してしまう。さらに、ジャニーズグループの“その後”を見ていくと「25」という数字が浮かび上がる。

「SMAP解散は、奇しくもデビュー25周年という大事な節目の年でした。TOKIOが山口達也の不祥事で活動を休止することになったのも25周年を目前に控えた2018年のこと。そして今年の11月に解散が決まっているV6も、昨年25周年という節目を迎えたことで、森田剛がこれからの人生を見つめ直したことがきっかけとされています。ジャニーズ限定ではありますが、男性アイドルグループの場合は実年齢というよりもグループの25周年というところに何か大きな転換点が存在するようです」

 来年2022年には、KinKi Kidsがデビュー25周年を迎える。彼らは25周年の壁をぶち破ることができるのだろうか。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉