※写真はイメージです

 悪気なく使った言葉で、相手にムッとされたり、雰囲気が悪くなった……なんて経験ありませんか?人間関係をこじらせないために、失礼な言い回しと好感をもたれる言い換えワードをチェックして!

“余計なひと言”を愛される表現に変える!

 いま、“失礼なひと言”を“好感のもてる言い方”に変える実例を紹介する『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 言いかえ図鑑』という本が50~60代を中心に売れている。

年齢を重ねると言い回しがクセになっていることが多いんです。マイナスな言葉を使っていないか、自分で自分をチェックすることは大事ですね」とは、本の著者であり、心理カウンセラーの大野萌子さん。

「連絡ないから病気かと思った」「大変ね~」なんてセリフ、言ったり言われたりしたことはないだろうか。実は、その2つとも「よくない言い方です」と、大野さん。

自分では気づかずに、“マイナスの口グセ”が習慣化し、人間関係がギクシャクしてしまう人は少なくありません」(大野さん、以下同)

「病気かと思った」はまさにマイナスな表現。単純に「連絡をもらえてうれしい」と言ったほうがグッと好感度はアップ。また、付き合いが長くなると遠慮がなくなり、自分の価値観を押しつけがちになる点にも注意。

人から好かれる人は、話し相手の気持ちをプラスの方向に持っていけます。プラス言葉の達人を目指してください

大野萌子さん

ほどよい距離感でいい関係を【友人編】

 よかれと思ったひと言や仲のよさを強調するために使った言葉が、思わぬ地雷を踏むことに!

●うっかりワード《1》(ばったり出会って)「疲れてる?」
→OKワード「元気だった?」

・思っても口に出してはダメ!

 挨拶がわりにマイナスな言葉を言うのはNG。言われたほうは自分の身なりが気になって、不安になったり、不愉快になりがち。一気に気持ちがマイナス方向に引っ張られてしまう。疲れているように見えても、「元気だった?」「元気そうね」とプラスの言葉をチョイス。格段に気持ちのいい挨拶になる。

※イラストはイメージです イラスト/サトウヨーコ

●うっかりワード《2》「大変ね~」
→OKワード(相手の言った言葉を繰り返す)「仕事が忙しいんですね」

・大ざっぱで社交辞令のように聞こえがち

「仕事が忙しくて」「頭痛がひどくて眠れなかった」などと言われたら、「大変ね~」と答えるのは控えて。「大変ね」は、何でもひとくくりに表現できるので、使い勝手がいい反面、大ざっぱな印象を与えがち。「仕事が忙しいんですね」「眠れないほど痛かったのね」と相手の言葉を繰り返すほうが、丁寧に聞いてもらえたという印象に。

●うっかりワード《3》「わかる、わかる!」
→OKワード「(あなたは)そう思ったんだね」

・心地よい距離感を保つ表現に

 話を盛り上げたり、距離を縮めるにはいい言葉だが、相手の話を奪って自分の話を始める“会話泥棒”になりがち。また「あなたと同じ」という同感表現は、「私のことをわかってくれる」という依存心を抱かせやすい。意見のすれ違いがあると、「裏切られた」と一転して攻撃心が高まり、悪口を言われるなどされがち。相手に共感する程度の表現が◎。

※イラストはイメージです イラスト/サトウヨーコ

●うっかりワード《4》「ぜったいにいいから!」
→OKワード「私のお気に入り、試してみて」

・価値観の“押しつけ表現”に注意

 何をいい・悪いと思うかは人それぞれ。自分が気に入ったから、あなたも気に入るはず! という思い込みは、ありがた迷惑と思われてしまいかねない。何かをすすめたい場合は、「私のお気に入りなの。よかったら試してみて」という表現に。さらに「気に入らなかったら誰かにあげてね」と相手に逃げる余地を与えるとベスト。

遠回しな表現が誤解を招く【職場編】

 遠慮する気持ちが、遠回しで曖昧な表現となりがち。相手に伝わりつつ、失礼にならない言い方を!

●うっかりワード《1》「ご苦労さまです」
→OKワード「お疲れさまです」

・目下の人に対して使う言葉だった

「ご苦労さま」は、上の立場の人が目下の人に言う言葉。上司はもちろん、同僚にも、うっかり職場で使うと「あなたの部下じゃない! 」と反発心を持たれかねない。相手をねぎらうときは、目上の人にも使える「お疲れさま」を。または、シーンに合わせて「おはようございます」「失礼します」などを使い分けるとベスト。

※イラストはイメージです イラスト/サトウヨーコ

●うっかりワード《2》「ついでにお願いね」
→OKワード「この件も追加でお願いできる?」

・失礼な甘えは嫌われる原因

 自分にとっては「ついで」にできそうな仕事でも、相手はそう思わない可能性がある。そもそも「ついで」という言葉はプラスイメージがない表現で、ないがしろに扱われていると受け取られかねない。「もうひとつお願いできる?」ともとの話と分けてお願いを。あくまでも追加なので、断られても仕方ないと割り切ったうえで話して。

●うっかりワード《3》「できたらやります」
→OKワード「できるかどうか確認して連絡します」

・曖昧な返事は相手に迷惑をかける

 すぐにできるかわからない場合は「確認して明日ご連絡します」と、返事ができる期日を伝えて。「行けたら行きます」も同様で、「確認してから明日お答えします」などと伝えると好印象。また最初からできないとわかっているのに、断るのは気が引けるからと、思わせぶりな返事をするのもNG。相手に迷惑をかけ、信頼をも失いかねない。

気遣いに欠ける言葉を使いがち【夫編】

 長年一緒にいるんだから察してよ、と曖昧な表現になったり、配慮に欠ける言葉を選びやすいので注意。

●うっかりワード《1》「仕事はうまくいってるの?」
→OKワード「最近、仕事どう?」

・言われた側は尋問されたような気分に

軽い気持ちで聞きがちだが、実はデリカシーに欠ける言葉。うまくいっているのかいないのか、という質問となり、相手は「うまくいっている」という答えを求められていると感じやすい。「どう?」と聞けば、ニュアンスもやわらかく、イヤなことも含めて話題を選択できるので、会話も広がりやすい。

●うっかりワード2「○○よりましじゃない」
→OKワード「(あなたは)頑張っているよね」

・励まそうとして言ったのが逆効果に

 例えば、希望の部署に行けず、仕事がつまらないとグチる夫に対して、「辞めさせられるよりましじゃない」なんて言えば、気分を逆なでしかねない。何かと比較するのではなく、「頑張っているね」と自分の感想や思いを伝えたり、「早く希望が叶うといいね」などと相手が求めることを言うのがベスト。

●うっかりワード3「少しくらい手伝ってよ」
→OKワード「休日はお風呂掃除、お願いできる?」

・いつ、何をしてほしいのかをはっきりと

 料理に掃除と休む間もなく動いている妻のかたわらで、ソファに座ったままくつろぐ夫。つい「手伝ってよ」と言ってしまいがちだが、言われた側は何をしたらいいかわからないもの。「見てればわかるでしょ、察してよ」と言いたくなるが、わからないのが夫というもの。いつ何をしてほしいのか具体的に伝えて。

無遠慮な発言がトラブルに【親子編】

 家族といえど、相手の立場を無視した言い方はNG。意見の押しつけや強い言い方も気をつけて。

●“親に”うっかりワード「その考え方、間違っているよ」
→OKワード「お母さんは、そういう考え方なんだね」

・頭ごなしに否定してもメリットなし

 たとえ間違っていると思っても、最初から全否定はダメ。いったんは「へえ、そんなふうに考えてるんだ」と相手の話を聞いて考え方を受け止めるのが肝心。それから、「私はこう考えている」と反対意見を伝えるようにして。一度理解されたという満足感から、反対意見にも聞く耳を持とうとするはず。

●“子どもに”うっかりワード「結婚しないの?」「子どもまだ?」
→OKワードなにも言わない

・人生プランには口出しをしない

 親としては心配して、つい口にしがちな言葉だが、本来、結婚や出産は当人の自由。したくてもできないのかもしれないし、そもそも希望していないのかもしれない。家族といえど口出しはタブー。話題にしないのがいちばん。ただし子どもから相談を受けたなら、しっかり受け止めて、親としてアドバイスするのはOK。

※写真はイメージです

◆親世代はやりがち!
「~しなさい、でも~」矛盾した言い方、してない?


「早く結婚しなさい、でも今の彼はだめよ」なんて、矛盾した言い方をしたことはないだろうか。受け手にとっては、「結婚しなくても、今の彼と結婚しても怒られる」ため、“どうしたらいいの!?”と、強いストレスと混乱が生じてしまう。

「子どもつくらないとね、でもこんな時代に生まれたらかわいそう」なんて表現も同じ。超NGな矛盾表現なのでご注意を。

お話を伺ったのは……大野萌子さん
心理カウンセラー、一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事。人間関係改善スキルを得意とする。机上の空論ではない“生きたメンタルヘルス対策”を提供している。近著『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がベストセラーに。

《取材・文/樫野早苗》