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 モラハラ夫を結婚前に見抜くことはむずかしい。なぜなら、人当たりがよく、自分の裏側を絶対に見せないからだ。そんなモラハラ夫を持つ妻たちのサイトをのぞくと、あるキナ臭いトピックスがあがっていた。それは、先月、長文の文書を公表したあの人についてだ――。

 コロナ禍で家庭内の精神的暴力に大勢の女性たちが声を上げている。一見いい人そうな夫たちにいくらでもモラハラの芽が潜んでいたりするのがこわいところだ。

 このモラル・ハラスメント、通称モラハラは、相手に暴言を吐いたり態度などで精神的に傷つけることをいう。その結果、相手が精神障害に陥ったりなどすれば傷害罪で逮捕されてもおかしくないれっきとした犯罪。では、モラハラ夫に捕まった妻たちは、実際どんな目に遭っているのだろう?

「たまには友達とランチにでも行けば? と言って私に2000円くらいのお金と3時間くらいの自由な時間をくれるんです。いつも育児をがんばってくれてるから、とか言って映画のチケットを取ってくれることも。

 ただ自分はといえば、その代わりのように数万円使って何日間か遠出しちゃいます。コロナ禍なのに、ですよ。何も知らない周りからは『優しい旦那さんで幸せですね』なんて言われてしまいますけど、とんでもない」

 そんなエピソードを話すのは、モラハラ夫から被害を受ける妻たちの代弁者ともいえるサイト「モラデイズ」管理人のルカさん。

 こんなふうに小さな貸しの代わりにずっと大きな利益を手に入れようとするのは、モラハラ夫の典型的な特徴のようだ。

モラハラ夫はマザコンの可能性も

 離婚問題を多く手がける弁護士によると、

「親に甘やかされて育ってきたことの多いモラハラ夫は、他人の痛みがわからなかったり、なんでも人のせいにしがち。いわゆるマザコン、という例も多いようです」

 聞けば聞くほど関わりたくないモラハラ夫。結婚前にその性格を知っていればどうにか回避できる術もありそうだが──。

「正直わからないですよ。計算高くて外づらはいいから。結婚前は逆によく見えたりするからやっかいですよね」とルカさんは漏らす。

自己愛性パーソナリティ障害

 家庭を持ってから徐々に本性を現すのは、モラハラ夫の常套のパターン。精神科の医師たちが指摘するモラハラ系に当てはまる性格のひとつに、自尊心が高いくせに、自分で自己肯定感を上げる努力をしないというものもある。手っ取り早く自分の立場を上げるため、身近にいる人を貶めて自己愛に浸ろうとするのだという。

 こうしたモラハラ人間の、人を操る心理テクニックに引っかかる例は多い。自分にとって都合のいいことだけを繰り返して相手をマインドコントロールするのはモラハラ夫にとってのお決まりなのだ。

 他者からの評価には敏感で、己の成功や権力だけを求める……という特徴的な性格のモラハラ夫たち。なにか精神的な問題でもあるのか。

「自己愛性パーソナリティ障害という精神疾患に当てはまるケースも。本人が自覚しておらず、改善はむずかしい」というのが専門家の意見だ。

 本人たちには少しもモラハラなどという認識はなく、むしろ自分は相手を正しく導いているという、なんとも自己中心的な思い込みがあったり、些細な間違いやミスをしつこく指摘し、説教したり、責め立てたりするのが日常茶飯事。

 愚かで出来の悪い妻を優秀な自分が導いてあげているという感覚なのだろうか。これが「昭和」時代では、亭主関白という名でまかり通っていた部分もあるから、おそろしい。

“コンコルド効果”で別れられない

「夫から人間的な価値が低いと毎日罵られます。呼ばれたらすぐ行かないと怒られたり、自分のことは自分でしてと言っただけでキレられたりすることもしょっちゅうです。『妻を思いどおりに動かすことができる俺』と勘違いしているんでしょうね」(モラデイズ投稿より)

「映画を一緒に見ていても、夫の考えと違う感想を言った途端『おまえに何がわかるんだ!』と怒鳴られます。自分の感じたままの意見を言えないことがストレスにもなるし、自信もなくなります。ただの雑談すらできなくなってしまいました」(モラデイズ投稿より)

 そんなモラハラ夫たちは、自分は素晴らしい人間だ、という誇大妄想的感覚が共通するだけではない。傷つきやすい自尊心のせいで、自分が見下されることを極端に恐れる……という情緒不安定さも兼ね備えているという。

 つまり、自分に自信がないために、嘘でも曖昧なことでも、自分の得になることだけを繰り返しとなえ続ける。そのサブリミナル効果は抜群で、聞かされるほうはいつしかそれが正しいと惑わされてしまったりする。ある意味、一方的な押しつけが正義と思い込まされてしまうのだろう

 そんな夫との生活に苦しむ妻たち。第三者から見ればさっさと離れてしまえばいいというのは明白だが、そう思い切れないのには、お金の面や世間体というわかりやすい理由以外の問題があるようで──。

“コンコルド効果”のせいです。これまでに費やしてきた時間やお金が惜しくて引くに引けなくなった状態のことをいいます。ギャンブルが代表的な例なんですが、モラハラから逃げられない原因のひとつにも、このコンコルド効果の心理が考えられます」(ルカさん)

 これまで耐えてきたのだから、もう少し我慢すればあとはきっとうまくいくはず……などという気持ちに陥ってしまうらしいのだ。

モラハラ夫に似たにおいが……

 夫のモラハラに耐え続けるだけの妻たち……。しかし自分の非は絶対に認めないと思われがちなモラハラ夫だが、実は決して謝らないというのは大きな誤解らしい。

 ただ、謝るタイミングは「自分が少しも損をしないとき」だけ。簡単に言えば「俺が謝ってるんだから今度はお前が俺に従え」というわけだ。小さな貸しを作っても大きな利益が得られるのがわかっているのだろう。

「我慢の先に幸せがあるとは限らない」というルカさんは、先月、とあるニュースに気持ちが妙にザワついたという。

「長文文書」を公開した小室圭さんだ。

 A4用紙28枚、約6万字の文書を一気に読み通したというルカさん。自分は何も悪くないということを繰り返し指摘しているような“彼”に、なぜだか既視感を覚えたそうだ。

 注目すべきは文書中に23回も「(お金を)返してもらうつもりはなかった」と元婚約者が言っている、という記述が出てくる点。自分の非は小さく認めつつ、しかし自分に都合のいいことしか語っていないというバランスの悪さは、つい先日までのモラハラ夫との生活でいつも感じていた気持ちにどこか似ていたという

 実際、モラデイズに集う渦中妻たちは自分の夫と似たにおいに敏感らしく、まだ籍を入れていない今だからこそ「眞子さま、お逃げになってください」という悲痛な声もあがったという

 どうか杞憂であってほしいが……。

モラハラ夫からの脱出シュミレーション

 ルカさんに言わせると、妻に逃げられたモラハラ夫の出方はおおよそ決まっているという。いざ、あなたが脱出をはかる際に、相手がどんな行動をとるのか、以下にご紹介するテンプレートをシミュレーションしておこう。

●反省して謝る
 ここぞというときには、反省して謝罪するのが典型。しかしここでだまされてはいけない。この殊勝な姿勢が続くことは絶対にない。夫を視界に入れて心を揺さぶられないよう、弁護士など第三者をたてて別離をはかろう。

●妻が出ていく理由はないと主張する
「離婚を言われる心当たりはない」「自分たちは仲のよい夫婦だった」とありえないことを言い出すのもパターンだ。承諾できないとごねることも多い。謝罪しても妻の気持ちが変わらなかった場合、徹底して「自分に非はない」と主張するから要注意だ。

●好条件を出してヨリを戻そうとする
 経済制裁をしていた夫なら、給料を全額渡す。不倫していた夫なら、相手と別れる。すべてを譲歩してマインドコントロールをしかけてくるはずだ。
 妻が戻ってきたら、こっちのもの。再度、自分の言いなりになると思っている。モラハラ夫が出してきたエサは釣りだと思おう。

●態度が一転、妻に非があると攻撃
 画策してもうまくいかないと感じるや、もともとの性格が牙をむき、妻へと向かう。勝手に出ていった、妻が悪い、俺は悪くないと、逆ギレ。「俺が、こんなに傷ついたのをわかっているのか」と、どの口が言う、ということまでほざきだす。

(取材/オフィス三銃士 取材協力/「モラデイズ」https://moradays.me/)