左から、SixTONESのジェシー、Snow Manのラウール、SexyZoneのマリウス葉

 7月公開予定の映画『ハニーレモンソーダ』で、単独初主演となるSnow Manのラウール。そして、8月に上演予定の舞台『スタンディングオベーション』でこちらも単独初主演をつとめることになった、SixTONESのジェシー。ハーフのジャニーズタレントの活躍が期待される夏がやってくる。

東山紀之はロシア系のクオーター

 亡くなったジャニー喜多川社長が、アメリカのブロードウェイミュージカルに強い憧れを持ち、歌って踊って魅せる、華やかな世界を日本でも作ろうと、ジャニーズ事務所を設立したのは有名な話だ。

「郷ひろみさん、川崎麻世さん、田原俊彦さん……日本人離れした雰囲気とスタイルを持つタレントは多数いましたが、憧れているわりに、これまでハーフや外国人タレントは少なかったんです」

 というのは、あるテレビ局関係者。

 のちにロシア系のクオーターであることを明かした東山紀之のような例もあるが、はじめからそれを打ち出して2011年にデビューしたのは、Sexy Zoneのマリウス葉(現在活動休止中)が初めてだった。ちなみに彼は、ドイツ人の父と台湾出身で日本育ちの母親のもとに生まれ、10歳までドイツで育った。

 彼ら以外にも、「実はハーフ/クオーター」というジャニーズタレントは意外に少なくない。

 ラウールと同じSnow Manで活躍する向井康二は、母がタイ人だ。

「テレビやコンサートでタイ語を披露したり、お母さんの得意なタイ料理を紹介するなど、タイハーフであることを武器のひとつにしていますね」(同テレビ関係者)

『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)などでも活躍する、ジャニーズWESTの中間淳太は台湾人のハーフで、こちらも語学が堪能なことをウリにし活躍している。

「中間くんは、台湾の実家がものすごい豪邸であることも知られています。マリウスくんのドイツの家もそうですね」(同)

ハーフタレントが増えた背景

 さらに、俳優として活躍する浜中文一の父親は中国人、ジャニーズJr.の人気ユニットAぇ!groupのメンバーで、『鉄腕DASH』にも出演する草間リチャード敬太の父親はアメリカ人、少年忍者には、イラン人の父親を持つヴァサイェガ渉がいる。

「かつてはヴァサイェガくんのお兄さん、ヴァサイェガ光くんもジャニーズJr.に所属していました。もう退所していますが、少年忍者にはロス出身のブランデンというハーフのメンバーもいました。ほかにも、黒人ハーフのジミー・マッキーやカミュ―・ケイド、Question?というバンド系グループで活躍した伊郷アクン、パキスタンハーフの増田良、さらにはアンダーソン・ケイシー、大久保ルイス、ウェスリー・マッシー、岡本カウアン、金鶴秀輝など、ある程度の人気があり活躍もしたハーフ系のJr.は意外にいます」(同)

 そして、ここ数年では「キャメロン」という謎多き少年の存在を覚えているジャニーズファンもいるのではないだろうか。前出のテレビ関係者は言う。

「年末年始の舞台にいきなり登場し、しかもドセンターで歌って踊り、ファンに大きな衝撃を与えました。映画『少年たち』にも、ラストの大事な場面で大活躍。しかも、ジャニーズJr.所属タレントとして正式に公表されることもなかったという謎の存在。“ジャニーさんのお友達”として紹介されたこともまた大きな衝撃でした。ジャニーさんの死後、現在に至るまでジャニーズ関連の舞台やコンサートに登場することはなく、結局、謎のままの不思議な存在です」

 ハーフ/クオーター系ジャニーズが、近年より目立つようになった背景にはどのようなものが考えられるだろうか。ある芸能ジャーナリストは言う。

「ひとつは単純にジャニーズの人気と知名度が上がったことですね。また、向井くんなどスカウトでの入所もありますが、日本国内で暮らすハーフやクオーターの子が増え、オーディションを受けやすくなったのではないでしょうか」

 さらに、世の中の多様性の広がりもある。ジャニー喜多川さんは昨年行われるはずだった、東京五輪に力を入れ、その開催を心待ちにしていたことはよく知られている。

「開催予定だった2020年に合わせ、フレッシュなJr.で構成予定だった大型ユニット『twenty twenty』構想というものがありました。海外からの五輪観戦客に向けた舞台も予定していたといいます。より国際色の強いジャニーズJr.を集めた結果、ハーフタレントたちは順調に育ち、ファンが増えていって現在の活躍に繋がっているのではないでしょうか」

 華麗に歌って踊れるK-POPアイドルの人気も高まり、海外出身のアイドルを応援する土壌ができた時代へと突入し、ジェシーやラウールの活躍には伸び代を感じる人は多いという。

 ダイバーシティの時代、ジャニーズの未来はますます国際色豊かになっていくかもしれない。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉