イラスト/沼田光太郎

 編集部が女性500人に行った調査では、9割以上が何らかのオジサンの行動で不満を抱えていた! 女性たちの怒りとともに、オジサンの行動の謎を解き明かす!

 梅雨も近づき、密室空間での不快指数がぐんぐん上昇するシーズンの到来。今回は、息苦しい空間の代表格、電車に生息する「アンソーシャルディスタンス オジサン」に対する女性たちの怒りの声を取り上げる。

「電車で肩幅以上に足を開いて座る意味がわからない。隣に座りづらいし、前に立つスペースさえなくなっている」(36歳・女性・専業主婦)

「こちらはきちんと足をそろえて座っているのに、隣で大股を広げて座っている。しかも、その足が私の足にくっついてくることが非常に不愉快」(50歳・女性・会社員)

 このように、いちばんのやり玉に挙がったのが、車内にはびこる大股開きオジサン。週刊現代が女性500人にとったアンケートでは、全体の40%が不快な行動として回答した。狭い座席でなぜか態度のデカいオジサンたちは、次のような迷惑行為の合わせ技を披露することもしばしば。

メールの内容が丸見えで心配

「酔っぱらって座席で居眠りし、こちらにもたれてくる。肩で小突いても起きないし、臭い」(36歳・女性・会社員)

「狭い座席で新聞をわざわざ広げて読み始める。こちらのスペースに侵入しないでほしい」(41歳・女性・会社員)

「座席でPCを広げて仕事してるふうを醸し出す男性。タイピングの振動が地味に伝わってきて邪魔だし、メールの内容も丸見えなので、情報漏洩は大丈夫か心配になる」(47歳・女性・専業主婦)

「リュックを背負ったまま乗り込んできたり、自分のカバンをコントロールできていない。人に当たっているのに避けようともしないのが不快」(51歳・女性・パート)

イラスト/沼田光太郎

「人のスマホをのぞき見してくる。バレてないと思ってるのか」(49歳・女性・会社員)

●Komatta-OJISAN図鑑
電車で大股開きオジサン

生態
 そんなに長くはない足をいっぱいに広げて、自分の存在を誇示する生き物。オジサン同士が隣り合ったときの陣地争いは見ものだよ!

ガニ股=男らしい

「電車で寝てしまい、気づいたら足を広げていた。悪気はない」(62歳・男性・公務員)

 こうなると、人との距離感がバグっているとしか思えないが、当事者のオジサンたちはどう思っているのか?

「若いころからのクセで、無意識のうちにやってしまう」(58歳・男性・会社員)

「もともと身体が大きいので、電車の1人分のスペースが狭い」(48歳・男性・会社員)

「スマホを見てしまうのは、何がハヤリなのか興味があるから」(39歳・男性・会社員)

 体格の違いについてはしかたがないかもしれないが、ガニ股=ワイルドというような古臭い男らしさにとらわれているような意見もちらほら。このように他人との距離に無頓着なオジサンが大量発生してしまうのはなぜなのだろうか。

「基本的に人間は、他人が入ってくると不快さや不安を感じるパーソナルスペースというものを持っています。一般的には男性のほうがパーソナルスペースは狭く楕円形で、女性は広く円形といわれます。そのため男性は人との距離が近くてもそれほど不快さを感じないのかもしれません」と教えてくれたのは、公認心理師の塚越友子さん。

「一方で、女性はそうはいかないので、できるだけパーソナルスペースを確保したい。ただし、こればかりは個人の感じ方次第という側面も大きいので、私は嫌だ、俺は別に嫌じゃない、というぶつかり合いで平行線になってしまうのが難しいところです」

 オジサンたちが足を開けば開くほど、女性との心の距離も広がっていくのが実情だ。


お話を伺ったのは……
塚越友子さん●公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラー。2008年に東京中央カウンセリングを開業し、個人カウンセリングを行うほか、自殺予防や家族心理学、産業心理学、コミュニケーション論などの知見を生かし、メディア等でも多数活躍。

(取材・文/吉信 武)