炎上しがちな小泉進次郎環境大臣と滝川クリステル

 滝川クリステル(43)が育児をめぐって批判にさらされた。6月17日発売の『週刊新潮』によれば、1歳半の長男をインターナショナルスクールに迎えに行った帰り、クリーニング店に立ち寄り、約30分間、わが子を「車内放置」していたという。

滝クリと進次郎氏のイメージ変動

 気温29度という暑さのなかとあって、ネットでは熱中症を心配する声も。もちろん、エアコンを稼働させるなどしていたのだろうが、それはそれで、別の批判の声も出た。夫の小泉進次郎(40)が環境大臣であることから、エネルギー問題への配慮が足りないのではというわけだ。

 なお、この夫婦といえば、昨年11月にも物議をかもした。一家三人で犬の散歩中、犬が歩道で3回小便をしたにもかかわらず、それを「放置」したというものだ

 それにしても、ふたりはイメージの変動が激しい。まず、滝川については8年前、東京五輪招致成功の立役者として、時の人に。プレゼンで披露した「お、も、て、な、し」ポーズが脚光を浴び、新語・流行語大賞にも輝いた。

 翌年1月には『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)にゲスト出演。あの「おもてなし」ポーズをやってくれとしょっちゅう言われるため、

「一発芸みたいに思われてるんです」

 と、苦笑していた。とにもかくにも、当時の彼女は国民にとっての大きな夢を引き寄せたという意味で、女神的存在だったのだ。

 一方、8年前の進次郎はというと、自民党青年局長から内閣府大臣政務官へとステップアップ。翌年の衆院選では8割を超える圧倒的得票率で3選を果たした。地元だけでなく、全国的にも人気で、応援演説に引っ張りだこ。未来の総理と目されるようになった。

 そんな「持ってる」感あふれる男女が、2019年8月に結婚。首相官邸で報告を受けた菅義偉官房長官(現・首相)は、ふたりが一緒に訪れると聞いた際「関係がぴったりこなかった」としたうえで、

「少しはピンときてもよかった。勘が悪いなと思った」

 と、冗談もまじえつつ、祝福したものだ。

 実際、世間の反応も驚きの声が多かったが、日仏ハーフの帰国子女で才色兼備な滝川は、未来の総理・進次郎の妻にピッタリという、納得の声へとすぐに変わった。

 ちなみに、その時点で滝川は妊娠中。しかし、これは跡継ぎを期待される政治家ならではの事情から、当時41歳の彼女との結婚を疑問視する声が出ることを見越し、それを封じようとしたのだという見方もされた。揶揄されがちなデキ婚すら、称賛させるふたりはまさに、無敵のカップルだったといえる。

 折りしも、元号が令和に改まって3か月。新たな時代をリードしていきそうな大物夫婦の誕生に、多くの国民が希望を抱いたわけだ。

国民が祝福するも徐々に失速

 が、今思えばここがピークだったのかもしれない。結婚翌月、進次郎は環境大臣に就任。戦後の男性大臣としては最年少ということで、右肩上がりが続くかと思いきや、これが失速のきっかけとなった。

 国連で発した「気候変動問題に取り組むことはきっとセクシーでしょう」という言葉が「キャッチーだけど、具体性に欠ける」と叩かれたり、

「今のままではいけない、だから日本は今のままではいけない」

 などの同じ意味のことを繰り返す表現が「小泉構文」として面白おかしくいじられたり。父の小泉純一郎は、国民を高揚させるようなスピーチの名人だったが、進次郎はそこまでの器ではなさそうな印象も持たれ始めた。二世は期待が大きい分、結果を残せないと反動で失望も大きくなりがちなのだ。

 この背景には、結婚で女性人気が翳(がげ)り、もともと進次郎を好きでもなかった男性たちが本音をあらわにし始めたということもあるのだろう。

 一方、滝川も妻となり母となったことをイメチェンに活かせていない。今回の「車内放置」報道はむしろマイナスだし、フリーアナとしてのスタンスも曖昧だ。唯一のレギュラーである『教えてもらう前と後』(TBS系)でも今ひとつ元気がなく、お笑い芸人が目立つ番組だからか、お飾りっぽい存在になってしまっている。キャリアを重ねた女性芸能人としては、ちょっと物足りない感じだ。

 それでも、五輪が昨年、通常どおりに行われていたら、状況は違っただろう。あの「おもてなし」映像も盛んに流され、出産直後の滝川もあちこちに呼ばれていたはず。進次郎の失速だって、これほどではなかったかもしれない。

 しかし、五輪は今年に延期となり、1か月前になってもまだ、迷走している感が否めない。ネットでは、五輪招致自体が「貧乏くじ」だったという見方も。滝川がふりまいたセレブで華やかな雰囲気も台無しになってしまった。

 この8年間で、夫婦はそろって「持ってる」感を失い、国民は未来の総理&ファーストレディー候補にちょっと幻滅しかけている。そして、令和という新時代を明るく彩るはずだった五輪まで、夢見ていたかたちではなくなりつつあるのだ。

 コロナ禍のせいとはいえ、踏んだり蹴ったりの今の日本。希望の象徴だった滝川と進次郎には何か明るい話題を提供してほしいものだ。この際、一家三人で「おもてなし」ポーズを披露する、というのもアリかもしれない。

「お・も・て・な・し」を披露する滝川クリステル
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。