バンドグループとして活躍していたころのTOKIO

 昨年7月、ファンが衝撃を受けた、長瀬智也のジャニーズ事務所退所と、残るTOKIOメンバー3人による新会社「株式会社TOKIO」の設立の発表から2年。今年4月、新会社の社長に城島茂が就任し、ジャニーズ事務所のグループ会社となったことは周知の事実。

(株)TOKIO設立は、長瀬智也退所の衝撃を和らげる手段

 新会社発足後も、株式会社TOKIOの活躍は順調に続く。なかでも4月1日付で福島県庁内に「TOKIO課」が設置されたことは大きな話題を集めた。

 とはいえ、これまでのレギュラー番組『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)と『TOKIOカケル』(フジテレビ系)は新会社設立後も、長瀬こそ出演はしないものの、スタイルも変わらず放送され、ジャニーズタレントとの共演も続く。毎年恒例の国分太一が司会を務める大型歌番組『テレ東音楽祭』も例年と変わらず放送され、番組には多くのジャニーズタレントが出演し、国分と軽快なトークを繰り広げていた。

 長瀬のみがテレビから消え、ほかの4人のメンバーは変わらず活動をし続けているが、結局「株式会社TOKIO」とはなんなのか。そして、何が変わったのだろうか。

「城島リーダーは、株式会社TOKIOの社長ではあるものの、会社の代表取締役は、ジャニーズ事務所の代表取締役社長である藤島ジュリー景子さんで、城島さんには代表権はないことはよく知られています。要は、よくあるのれん分けのひとつですね」

 というのは、ある芸能ジャーナリスト。芸能事務所の「のれん分け」は珍しいものではなく、ドリフターズや小泉孝太郎が所属するイザワオフィス、三浦春馬さんやサザンオールスターズが所属するアミューズは、ナベプロから独立している。俳優だけでなく多くの芸人を抱えるケイダッシュも、タモリや永作博美など大物が所属する事務所からののれん分けだ。

 株式会社TOKIOもジャニーズ事務所からの独立となったが、“辞めジャニ”としては珍しく現役のジャニーズタレントと共演しているということは、友好関係が続いているという証拠。では、なぜ独立という形をとったのだろうか。

「強制わいせつ行為で書類送検された山口達也を失い、さらにメインボーカルの長瀬智也まで脱退し、TOKIOとしてのグループ存続が難しくなってしまった。しかし残る3人のタレント性は高く、それぞれソロとして十分活動していける。メンバーが解散を望むなら別ですが、第二のSMAPだけは避けたい、グループ名はなんとしてでも残したいという思いが強かったんだと思います。だけど、本当のところは長瀬退所という大きな危機を、新会社設立というおめでたい話題で打ち消したかったのかもしれません。それだけ長瀬の脱退・退所は痛手だということです」

 現時点では「ただ長瀬がいなくなっただけ」という印象が強いが、TOKIOの独立は、今後の後輩たちへの道しるべになるのでは、という好意的な見方もある。

「これまでのジャニーズは、退所したらテレビに出られず、現役ジャニーズとの共演なんてもってのほか、という見方をされてきました。でも中居正広の退所後のジャニーズタレントとの絡みがあるように、TOKIOも事務所を離れても友好関係を築けるというお手本になっています。

 元々は歌とダンスにこだわってきた事務所ですが、長瀬と山口が不在のTOKIOに音楽活動の再開は考えられません。そのためジャニーズ所属の俳優陣や、歌とダンス以外の分野を開拓したいという子が出てきたら、株式会社TOKIOへの移籍を勧められるケースも出てくるかもしれませんね」(スポーツ紙記者)

 ここ数年、事務所の独立や設立によるトラブルが多発している芸能界。これまで所属していた事務所の協力を得て“賢い独立”をしたTOKIOは安泰、ということか。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉