イラスト/やのひろこ

 外に出れば灼熱の太陽にさらされ、猛暑で食欲が落ち、疲れているのに熱帯夜でよく眠れない──。夏バテしがちなこれからの時期の生活に取り入れたいのが、エコで身体にもお財布にもやさしい“おばあちゃんの知恵”です。

 打ち水で外気温を下げたり、涼しく眠れる枕を使ったり、おいしく体調をととのえられる飲み物を飲んだり、植物の力で日焼けした肌をケアしたり……。

 古くから伝わる暮らしの工夫の中には、身近なものを活用しながら、お金をかけずに涼しく乗り切るアイデアがたくさん!

 すぐに役立つ暮らしの知恵を実践して、ムリなく賢く節約してみませんか。

暑さをしのいで涼しく過ごす知恵

【1】扇風機は開けた窓に向けて風を送る

 部屋の風通しをよくするには、扇風機の風を上手に利用してみて。部屋の窓やドアを2か所以上開けて、風が出ていくほうの窓際に扇風機を置いて外に向かって風を送りましょう。部屋にたまっていた熱気が排出されて、自然の風を取り込めます。水に湿らせたガーゼを扇風機の風になびくように結ぶとよりひんやりとした風を楽しめます。

扇風機は開けた窓に向けて風を送る イラスト/やのひろこ 

【2】網戸掃除で風通しをよくする

 害虫を防ぎつつ心地よい風を感じられる網戸は、ホコリなどの汚れで目が詰まると風通しが悪くなります。乾いたスポンジ2個で網戸を挟み、片方のスポンジで軽くたたくと反対側のスポンジにホコリが落ちて目詰まりがスッキリ! また、網戸のへこみは、ヘアドライヤーの温風を短時間当てると、元に戻りますよ。

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【3】首・手首・足首を冷やしてひんやり

 炎天下、暑くてバテそうなときには濡れた手ぬぐいやタオルで首まわりを冷やしましょう。首の頸動脈を流れる大量の血液を冷やすことで体温を素早く低下させることができます。太い血管が通っている手首や足首も冷やすとさらに効果的戸外で冷やすものが手元にないときには、コンビニや自動販売機で冷たい飲み物を買って当ててみて。

【4】緑のカーテンで涼を取り込む

 植物には、葉から出た水分が蒸発する蒸散作用によって空気を冷やす働きがあります。窓辺や壁にネットを張り、つる植物をはわせた緑のカーテンで見た目も気温も涼しく。緑のカーテンの外側と部屋の中とでは10℃近い気温差が生じることも。食べられる植物ならゴーヤやキュウリ、観賞用には風船カズラや朝顔がおすすめ。

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【5】うちわや扇子にハッカやミントのオイルをたらす

 昔の日本ではうちわは涼をとる道具でもあり、お客様をおもてなしするアイテムでもありました。同じく涼風をもたらす扇子は日本発祥の道具。うちわや扇子にハッカやミントのオイルを少量たらして使用すると、涼やかな香りの風を楽しめます。五感からも涼を取り込むアイデア。

うちわや扇子にハッカやミントのオイルをたらす イラスト/やのひろこ 

【6】湿気のコントロールでさわやかさアップ

 夏でも居心地のいい空間を維持するためには、湿気を抑えて風通しをよくすること。家具と壁の間に10cmほどのすき間をつくると通気性がアップ。また、布団はひと晩で牛乳ビン1本分の汗を吸うので、テーブルやイスにかけて湿気を飛ばしましょう。洗濯物の室内干しは湿度を上げるので、できるだけ晴れた日に外に干したいもの。

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【7】夏の洋服は色と形の選び方がポイント

 日差しが強い夏は、白やベージュなど太陽熱を吸収しにくい明るい色合いの服を選んで着ましょう。体感温度を低く抑えられます。ゆったりとしたワンピースタイプがおすすめ。ふわっとしたシルエットの服を着ると内側で空気の対流が起こりやすくなり、服の内部が冷まされて涼しい体感になるのです。

【8】打ち水は朝か夕に

 水分が蒸発するときに熱を奪う作用を利用して涼をとるのが打ち水。熱い地面に打ち水をするとスーッと涼しい風が漂い、1℃~3℃ほど地表温度が下がります。一軒家では庭や玄関前の道路などに、マンションならベランダが効果的。気温が高い時間帯は水がすぐに蒸発してしまうので、朝か夕がおすすめ。

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■そのほかにも!プチ節電術

【9】エアコンは自動設定に

 エアコンを自動設定にしておくと、部屋が冷えるまでは強風が吹き、その後は微風に切り替わって効率的に部屋の温度を下げてくれます。

【10】冷房時、扇風機は上向きに

 冷房によって生じた冷たい空気は下にたまります。冷房をつけるときには扇風機を上向きにして回すと空気が循環し、部屋が早く冷えます。

【11】エアコンの室外機に日よけをする

 室外機に直射日光が当たるとエアコンの電力効率が低下し、電気代が余計にかかってしまいます。室外機には日よけをして直射日光を避けましょう。

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寝苦しい夜にぐっすり眠る知恵

【12】身近なものでひんやり気持ちいい氷枕を作る

 500mlのペットボトルに水を半分入れ、冷凍庫で横にして凍らせると氷枕を作れます。使うときにはペットボトルに水を足し、タオルを巻いてひんやり具合を調整しましょう。また、スーパーなどのポリ袋に凍った保冷剤を入れて水を少量そそいで口を縛り、タオルで包んでも氷枕に。水もれ防止のため袋は二重にします。

身近なものでひんやり気持ちいい氷枕を作る イラスト/やのひろこ 

【13】自然素材の枕がやっぱり気持ちいい

 通気性と吸湿性に富んだそばがら枕は、そばがらが熱を逃がし頭を涼しく冷やしてくれます。小豆枕は中の小豆が涼やかで、頭への指圧効果がアリ。冷蔵庫で冷やすとより心地よく眠れます。枕の作り方はカンタンで、丈夫な綿天竺や綿ブロードで袋を縫い、好みの高さになるまでそばがらや小豆を詰めればできあがりです。

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【14】部分浴で寝つきがアップする

 お風呂でたっぷりと汗をかくと寝つきがよくなるもの。特におすすめなのが、全身浴よりも内臓への負担が軽く、リラクゼーション効果が高い半身浴と足湯。半身浴は胸から下だけ、足湯はくるぶしまでお湯に浸かります。お湯の温度は40度くらいで、半身浴は約20分、足湯は8分程度が目安。汗で老廃物が排出され心身ともにスッキリ。

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【15】手のひら温湿布で眠りにつきやすく

 熱帯夜でなかなか寝つけない夜には、身体をほぐしてリラックス。やり方は、おへそをはさむように両手の手のひらを当てるだけ。10分程度お腹を温めると副交感神経が優位になって身体がほぐれ、自然な眠気をもたらします。手のひらは肝臓(右肋骨あたり)や腎臓(背中側の骨盤の上あたり)に当てても効果的。

手のひら温湿布で眠りにつきやすく イラスト/やのひろこ 


【16】香りの力で入眠を

 植物が発する香りには心を鎮める成分が含まれています。ヒノキの木片やオイルが枕元にあると、緊張を緩和させるセドロールの働きで深い眠りに誘われます。また、玉ねぎの硫化アリルには鎮静作用があり、刻んだ玉ねぎを枕元に置いておくと安眠作用があるといいます。玉ねぎは、におうかにおわないか程度の少量に。多すぎると逆効果になるので注意。

【17】呼吸を意識した快眠体操でぐっすり眠る

 布団に横になって目を閉じ、全身にギュッと力を込めてから脱力する快眠体操をすると身体の緊張がほぐれます。コツは腹式呼吸。鼻から息を吸い込んでお腹を膨らませ、力むときに息を止め、口からゆっくりと息を吐いて脱力しましょう。腹式呼吸に合わせて5回ほど快眠体操をすると心身ともにリラックスして自然に眠くなります。

呼吸を意識した快眠体操でぐっすり眠る イラスト/やのひろこ

夏バテ予防&対策 0円で健康になる知恵

【18】バテない身体をつくるお茶

●梅醤番茶:湯のみに梅干しを入れてほぐし、しょうゆを少量たらして番茶を注いだ梅醤番茶は、夏バテ対策の定番のお茶。梅干しの疲労回復力と番茶の抗酸化力、胃を健康に保つしょうゆの健胃作用の相乗効果で身体がシャキッとします。

●そば茶:香ばしくて独特のおいしさのそば茶はポリフェノールの一種であるルチンを豊富に含んでいます。ルチンには毛細血管を強くする作用があるため血行が促進され、身体のすみずみまで栄養が届く効果が。バテやすい時期の水分補給に最適です。

●ドクダミ茶:体内の毒素や老廃物を排出する働きがあるドクダミ茶は、古くから夏バテ予防の特効薬として有名。市販のものを活用するのはもちろん、自生しているドクダミの葉を乾燥させて1cm程度に刻んだものを煮出す手作りドクダミ茶もおすすめ。

バテない身体をつくるお茶 イラスト/やのひろこ 

【19】江戸時代の知恵! 飲む点滴の甘酒で夏バテ予防

 ビタミンB1やB2、アルギニン、アミノ酸、ブドウ糖などが含まれる甘酒は点滴と同じ成分で、江戸時代には体力回復の飲み物とされていました。甘酒を飲むことで熱中症や夏バテ予防になります。また、食事の前におちょこ1杯の甘酒を飲むとドカ食いを抑えられてダイエット効果も。もち米でおかゆを作って麹を加えるだけで本格的な甘酒に。

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【20】夏風邪のひきはじめには長ねぎと梅で発汗&疲労回復

 長ねぎには身体を温めて汗を出し、疲労を回復させる成分が含まれ、梅干しには風邪のウイルスの増殖を抑える働きがあります。「風邪かな?」と思ったら、刻んだ長ねぎにみそ、梅干し、しょうがを加えて混ぜ合わせ、お湯をかけた風邪の特効薬を飲んで休みましょう。身体が温まり、回復力が高まります。

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【21】身体にいいビールの飲み方

 お腹を冷やさないことが夏の体調管理には大切。ビールは、ビタミンやミネラルをバランスよく含むので、発汗で失われたビタミンやエネルギーを取り戻す効果が。カロリーが気になる人は、レモンを搾って飲むといい。レモンに含まれるレモンポリフェノールには脂肪吸収を抑える作用があり、ダイエット効果が期待できます。ただし、適量を心がけて。

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■おばあちゃん的熱中症の対処法

【22】涼しい場所へ移動して横になる


「熱中症かな?」と思ったら、すぐに日陰やエアコンの効いた場所へ移動して横になること。周囲の人が熱中症になった場合も、涼しい場所へ誘導し横にして休ませましょう。

【23】水分を補給する

 スポーツドリンクや薄い食塩水などを飲み、失われた水分や塩分を体内から補います。自分でうまく飲めない場合や吐き気などがある場合は医療機関を受診しましょう。

【24】ベルトなどをゆるめて血流をよくする

 熱中症は脳や身体を流れる血液の量が減ることで起こります。ベルトなどで身体をしめつけていると血流が悪くなるので、ゆるめて安静にします。

【25】リンパ節を冷やして身体を冷やす

 わきの下や股の動脈を氷や保冷剤で冷やします。氷がない場合は冷えた缶ジュースやペットボトルでも可。それでも回復しなければ、必ず医師の診察を受けましょう。

エコで節約効果も!! 夏の家事の知恵

【26】洗たくのすすぎに酢を入れて衣類や洗濯機の殺菌

 私たちが普段、使っている洗剤はアルカリ性のものが多いといわれており、アルカリ成分が洗濯物に残っていると衣類がゴワゴワになってしまうことも。酸性の酢にはアルカリ成分を中和して衣類の繊維を柔らかくする効果があり、すすぎのときにカップ1杯の酢を入れれば柔軟剤代わりに。また酢には洗濯槽の殺菌効果も。

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【27】生ゴミに酢をかけてニオイを防止

 生ゴミを処理せずに放置しておくとイヤなニオイを放ちます。ニオイの原因は生ゴミをエサに増える雑菌やカビ。酢には雑菌やカビの増殖を抑制する効果があるので、生ゴミに直接かけると悪臭対策になります。また、酸性の酢には生ゴミのアルカリ性成分を中和してニオイを抑える働きも。

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【28】白い衣類の黄ばみは煮込み洗いで解決

 汗じみなどで黄ばみが目立ってきた白いTシャツやワイシャツには「煮込み洗い」がおすすめ。水1リットルにつき小さじ2杯程度の粉せっけんを加え、30分ほど煮込んでからもみ洗いをすると汚れがスッキリ! なお、煮込み洗いでアルミ鍋を使うと化学反応で鍋が黒ずむ可能性があるので、ステンレスかほうろうの鍋を使用。

白い衣類の黄ばみは煮込み洗いで解決 イラスト/やのひろこ

【29】畳の掃除は塩を使ってサッパリ

 汚れを落ちやすくするうえに除菌効果もある、身体にも安心のお掃除アイテムのひとつが塩。塩を畳にまいてから歯ブラシでトントンとたたくと畳に入り込んだ汚れが浮き上がり、掃除機で吸い取れば掃除は完了。また、バケツ1杯に大さじ1杯程度の塩を混ぜた水で畳や床を拭くと、サッパリと掃除ができます。

畳の掃除は塩を使ってサッパリ イラスト/やのひろこ 

■夏こそ知っておきたい冷蔵庫の賢い節電術

【30】内側にビニールシートを


 冷蔵庫の開け閉めのたびに冷気が外に漏れると庫内の温度が上がり、余計に電力を消費してしまいます。冷蔵庫の大きさに切ったビニールシートの上部を両面テープで貼ると、冷気の漏れを防止できます。

【31】日が当たらない場所へ

 冷蔵庫が直射日光にさらされると冷却効率が低下し、電気代がかさんでしまうこともあります。直射日光が当たらず風通しのよい場所が設置場所として理想です。

【32】冷蔵庫の周囲にすき間を

 冷蔵庫の庫内を冷やすためには、外への放熱が必要。冷蔵庫の左右には5mm以上、上部には5cm以上のすき間があると、放熱しやすくなり冷やす力が落ちません。節電のためにも、できるだけ周囲にすき間をあけて。

【33】7割収納に

 暑い季節は食材が傷まないよう、ついつい冷蔵庫に詰め込んでしまいがち。庫内がパンパンだと冷気の循環が悪くなり、余分な電力が必要になります。中身を7割程度に抑えると電気代を約10%も節約できます。

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強い日差しもオフ!「0円」美容の知恵

【34】日焼けのあとには紅茶風呂

 強い日差しに焼かれた肌は紅茶のお風呂で癒しましょう。紅茶に含まれるタンニンには炎症を鎮める効果があり、古くからヤケドに効くとされてきました。ぬるめのお湯を張った浴槽の中に濃いめに入れたポット1杯分の紅茶かティーバッグ2袋を入れればOK。紅茶の代わりに緑茶でも代用できます。

日焼けのあとには紅茶風呂 イラスト/やのひろこ 

【35】牛乳パックでほてった肌に潤いを

 クレオパトラは美容のために牛乳風呂に入っていたといわれているほど、牛乳は美肌づくりに欠かせない栄養源。冷たい牛乳を含ませたコットンを、ほてった肌の上に直接のせる牛乳パックをすると、牛乳の脂肪分が日焼けした肌を保護してくれます。コットンが体温でぬるくなったら、再び冷たい牛乳に浸してオン。

牛乳パックでほてった肌に潤いを イラスト/やのひろこ 

【36】塩洗髪でサラサラの髪に

 せっけんやシャンプーが普及する前の時代、女性たちが黒髪のお手入れに使っていたアイテムのひとつが塩。手のひらにひとつまみの塩をとり、少量の水で混ぜ合わせたものを頭全体になじませ、頭皮をマッサージして洗い流す塩洗髪をしてみましょう。塩の浸透圧で毛穴の汚れが浮き出てサラサラの髪になります。

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【37】残った果物の皮で全身エステ

 食べた後に残った果物の皮や果肉には美容成分が詰まっています。入浴時に美肌効果のあるフルーツ酸が含まれているスイカやメロンの皮で全身をマッサージ。ひじやひざの黒ずみが気になったら、ビタミンCたっぷりのレモンの皮や搾りカスでこすりましょう。また、天日干ししたミカンの皮を湯船に浮かべれば肌の潤いがアップ。
※肌の弱い人は様子を見ながら行って

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《監修/NPO法人おばあちゃんの知恵袋の会 取材・文/熊谷あづさ》