昆布水

「飲む点滴」ともいわれ、さまざまな健康効果や栄養効果が知られている昆布水。今回は専門家の指導の下、緑茶や梅干しを加えてさらに免疫力を最大化!1日1杯を毎日の習慣にして猛暑を乗り切ろう。

脱水などで使う点滴と同等のミネラル分を含む

 和食に欠かせない昆布。それを水に浸して作る「昆布水」の持つパワーが話題を集めています。「昆布は特に夏の健康対策におすすめ」という総合内科専門医の秋津嘉男先生は、ご自身も昆布水を毎日飲んでいるとか。

「昆布には海水と同様のミネラル分が含まれます。これを抽出した昆布水は、脱水時に使う点滴「リンゲル」と似た構成。まさに“飲む点滴”なのです」(秋津先生、以下同)

 最近、熱中症対策にスポーツドリンクが推奨されますが、これは本来、カロリー消費する運動時に飲むもの。

「日常生活での水分補給なら、糖分を含まない昆布水のほうが、より健康的といえるでしょう」

生活習慣病予防や免疫力アップ効果も!

 昆布に含まれる成分で、特に注目したいのが昆布特有の粘り成分です。

「粘りの正体は、フコイダンという水溶性食物繊維。これが、腸の蠕動運動を促進し、便通を整えてくれます。また、善玉菌のエサになり、腸内環境の改善にも。身体の免疫細胞の7割は腸に集まっているとされているので、感染症から身体を守るのにも大いに役立ちます。さらに、水溶性食物繊維には、糖の吸収を抑えて血糖値上昇を防ぐ働きや、血圧の上昇やコレステロールの蓄積を抑える作用も。昆布には、現代人の健康維持に貢献する大きなパワーがあるのです

 さらに、「昆布のうまみ成分は、甘味や酸味などのほかの味より多くの唾液分泌を促すことがわかっている」と秋津先生。

 唾液には、多くの消化酵素が含まれていますから、夏に多い消化不良の予防にもパワーを発揮します。

緑茶と梅干しでさらにパワーUP

 基本の昆布水は、水1リットルに10gの乾燥昆布を入れ、冷蔵庫で一晩置くだけ。今回は、身近な食材を加えてパワーアップさせた「緑茶昆布水」と「梅昆布水」をご紹介しましょう。

緑茶と昆布は相性抜群! ビタミンCやカテキンが豊富な緑茶には、抗酸化作用や免疫力を上げる作用があります。一方、梅干しに含まれるクエン酸は、エネルギー代謝を促すので疲労回復や夏バテ予防にもってこい。血液をサラサラにし、免疫力を高めるので、昆布水との相乗効果を狙えるでしょう

 緑茶も梅干しも昆布の風味とよく合うので、そのまま飲んでも、だしや調味料として料理に使ってもOK。通常の昆布水と同じく冷蔵庫で1週間くらい保存できるため、作り置きすると重宝します。

 ただし、昆布はヨウ素を含むので、甲状腺の病気をお持ちの方は、始める前に医師にご相談ください。

「新・昆布水」の作り方&アレンジレシピ

 日本人の食に欠かせない昆布、緑茶、梅干しで簡単&おいしい健康食を! 冷蔵庫に常備すれば、夏バテ、夏太り、感染症予防の強い味方に。

緑茶昆布水

緑茶昆布水

<材料>
昆布…10g
水…1リットル
緑茶ティーバッグ…ティーポット用1個

<作り方>
(1)容器に昆布、緑茶ティーバッグを入れ、水を注ぐ。
(2)冷蔵庫で一晩浸け込む。保存は冷蔵庫で1週間。

梅昆布水

梅昆布水

<材料>
昆布…10g
水…1リットル
梅干し(大)…3粒

<作り方>
(1)梅干しの種を除いて包丁やフォークで細かくたたく。
(2)容器に昆布、1を入れ、水を注ぐ。
(3)冷蔵庫で一晩浸け込む。保存は冷蔵庫で1週間。

梅昆布水を使って…梅昆布にゅうめん

梅昆布にゅうめん

<材料>
そうめん…1束(50g)
梅昆布水…1と1/2カップ
白だし(希釈用)…大さじ1
梅干し…1個

<作り方>
(1)耐熱容器にそうめんを半分に折って格子状に入れ、梅昆布水を注ぐ。
(2)ラップをふんわりとかけて(耐熱保存容器などを使用する場合はフタを上にのせればOK)電子レンジで3分加熱する。
(3)ざっと混ぜて白だしを入れて器に入れる。梅干しを添える。

「飲みうがい」を習慣に!

 感染から10分で細胞の中に侵入するといわれているウイルス。それを防ぐためとはいえ、10分おきにうがいをするのは大変! そこで秋津先生がオススメするのが飲みうがい。

「昆布水を卓上に置いて、10分おきにちびりちびりとひと口飲むだけ。液体がのどに付着したウイルスを洗い流し、胃に到達。強力な胃酸で大抵の病原体は死んでしまいます。特に抗菌作用の高いカテキンを含む緑茶昆布水や、わずかな塩分で粘膜への浸透がよい梅昆布水は飲みうがいに最適ですよ」

こんなにもある「新昆布水」の健康効果

(1)腸の蠕動運動を促し便通改善
(2)腸内環境を整え免疫力UP
(3)血糖値、血圧の上昇を抑える
(4)悪玉コレステロールを減らし血液サラサラに
(5)肥満、生活習慣病の予防
(6)うまみが唾液分泌を促進し消化をサポート
(7)自然な塩分とうまみで減塩がかなう


教えてくれたのは……秋津嘉男先生●秋津医院院長。下町の一次医療を担う総合内科専門医として信頼を集める。テレビ出演、著書も多数。『免疫力があがる「昆布水」レシピ』(高橋書店)の監修に携わる。