中田翔選手、村田諒太選手

《中田翔選手。打席に立つだけで雰囲気の出る類稀な選手。世の中では罰を与えろとか言う輩もいるみたいだが、罰ばっかり与えて面白い人間を消すのはやめようよ》

 8月25日、自身のインスタグラムを更新したWBA世界ミドル級スーパーチャンピオンの村田諒太選手。日本ハムファイターズのチームメイトに暴力行為を働いたとして無期限の出場停止処分を受けるも、8月20日に読売ジャイアンツに電撃トレードされた中田翔選手を“擁護”するような内容だった。

 これに賛同する声もある一方で、《暴力は決して許されるものではない》《論点をすり替えて暴力を肯定する発言にはがっかり》《どんな優秀な人でも悪いことをしたら裁かれるのは当然》などと、多くを占めたのは否定的な意見。コメントに添えた写真も、同日の東京ドームの試合でバックネット裏から撮った中田選手だったことも手伝ってか、間も無く炎上することに。

 スポーツ紙野球担当記者は「日頃から、かわいがる後輩とじゃれ合ったり小突いたりすることは日常茶飯事」としながらも、

「今回は口答えされて逆ギレした上に、相手が脳震盪(しんとう)を起こすほどの明らかに行き過ぎた暴力行為があったと。ボクシング選手で、尚且つ世界チャンプの村田選手ならば、どれだけ危険な行為であったかは容易に推測できると思うのですが……。

 SNSをはじめとしたネット上での誹謗中傷が問題視される昨今、行為に対して必要以上に叩かれるケースも見受けられますが、中田選手の場合は、もしも被害届が出されたら逮捕もあり得た一件。ちょっと口を挟んだだけならば軽率な意見だったのかも」

発言力ある“インフルエンサー”の顔

 現役ボクサーであると同時に、インスタはフォロワー数7.5万人と“インフルエンサー”としての顔を持ち、発言には大きな影響力がある村田選手。今年7月にもテレビ番組から出演オファーがあったことをフェイスブックで明かし、断った上で《全選手が死に物狂いで獲得した金メダルに順位をつけるのか…》と苦言を呈していた。

「彼が“ダメ出し”した番組とは、7月20日放送の『1万2000人が選ぶ! 私が感動した金メダルはこれだ!』(テレビ朝日系)だったのですが、元は『オリンピック金メダリスト総選挙』というタイトルで、メダリストに順位をつけるランキング方式をとっていたよう。ところが、村田選手に追随して世論が動くとタイトルや内容も変更。インフルエンサーの影響力を大いに示したのです」(ニュースメディア編集者)

 その発信力を知ってか知らずか、中田選手の件で声を上げたものの逆に世論は「NO」を突きつけた、ということか。「今回は“私情”も絡んでしまったのでは?」とはスポーツジャーナリスト。どういうことか。

村田選手は大の野球好きで、今年10歳になる長男もプレーしているそう。親子で野球教室に通ったこともあり、たびたび球場にも訪れています。それこそ始球式も経験していますね」

 確かに、東京五輪の野球で金メダルを獲得した際には、テレビ画面の画像を添えて《野球最高》とインスタを更新している。そんな野球愛が先行してしまったのだろうか。「加えて中田翔選手との関係です」と前出のスポーツジャーナリストは続ける。

「2人は以前、スポーツ番組で共演したことがあって、2017年12月には元世界チャンピオンの内山高志さんの引退記念パーティーにも招待されています。共にステージ上で鏡開きに参加しては、内山さんに勧められて3人で升酒を酌み交わしていました。それを機に2人は交流を深めていたのでは?」

「暴力反対」を訴えていた村田選手

8月14日、インスタで「暴力反対!!」を訴えた村田選手

 中田選手の暴力行為が発覚した8月11日、その3日後の14日に村田選手はインスタに意味深な投稿をしている。ジム内だろうか、上半身裸の村田選手がトレーナー男性からパンチを受けているような画像をアップして《暴力反対!!笑》と訴えていたのだ。

 暴力を振るった中田選手に寄り添った主張をした彼だけに、この投稿自体、“ダブルスタンダード”にも思えるが、立ち位置は一貫しているとも。

「もちろん、村田選手の投稿は暴力とはかけ離れた仲間内の冗談で、むしろ互いに信頼関係が伺える楽しげな写真です。これは中田選手とチームメイトの間で起きた騒動を暗に伝えたものではないでしょうか。つまりは、冗談から始まった“日常”の延長にすぎない騒動だった、と。それこそ事の成り行きを本人から聞いたとも考えられますよ。

 とはいえ、いかなる理由があろうと暴力行為が許されないのは当然です。ただ、聞くところによると、被害を受けた選手も予想以上に事態が大きくなり過ぎたこと、そしてかわいがってもらっていた先輩を結果的に追い出してしまったことを気にしていると言います。

 村田選手の発言はそんな中田選手を助けたい一心だったのでしょうが、そもそもは会見を開いて事情と経緯なりを本人からいっさい説明させずに、出場停止の処罰を受けていた最中の中田選手を放出した日ハム球団の姿勢にも問題があるように思いますが」(前出・スポーツジャーナリスト)